バイクのメッキを完璧にガード – クロームメッキの弱点をカバーしてサビを阻止する方法

外装、足回り、各種カバー類など、バイクには様々なメッキパーツがあります。メッキを長く、美しく保つための秘訣を解説します。

目次

メッキは美しい。加えてサビも防ぎます!

ノーマルはもちろん、カスタムパーツにも多用されるメッキ製品。外装パーツはもちろん、今ではスイングアーム、ホイール、フレームなどへの実施も当たり前となりました。

「メッキ(鍍金)」とは、銅・ニッケル・クロム・金などの金属皮膜を、目的の素材にコーティング(被覆)する技術のこと。バイク用パーツとしては、スチールやアルミなどの金属、一部の樹脂などに採用されています。

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写真上は、鏡面クロームとブラスト加工を組み合わせてツートンにしたフォークブーツ。クロームメッキ、ブラスト、マスキングを巧みに駆使した職人技が成せるワザです。

メッキのポイント!

・スチールなど腐食(酸化)しやすい金属の表面にメッキを施すことでサビを防ぐ

・仕上がりが鏡のように美しくなる

メッキは通電率を向上させるため、電気系の基盤などにも採用されています。バイク用品や自動車用品など、装飾性を重視するアイテムには、一般的に仕上がりの美しいクロームメッキが採用されています。

主なメッキの種類

クロームメッキ

バイクの外装パーツなど、見た目重視の装飾用に多用。仕上がりが美しく、強度が高く、しかも耐腐食性に優れています。

金メッキ

ゴールドクロームとも呼ばれます。途中工程まではシルバークロームと同じですが、最終工程でクロームではなく金をメッキを施します。

亜鉛メッキ

ネジやスポークなど、耐腐食性が要求される箇所に多用。装飾用にはあまり採用されません。

銅メッキ

クロームメッキの下地や通電性の高さが要求される基盤などに多用。装飾用にはあまり採用されません。

メッキとアルマイトはココが違う

アルマイトとは硫酸に電気を流して表面を酸化させ、薄い皮膜を生成させるアルミに最適な化学的加工方法。ただしスチールや樹脂には適さないのが特徴です。

アルミ製パーツをアルマイト処理でドレスアップ

アルマイトはメッキや塗装よりも皮膜が薄いため、フライス盤等による細かな削り跡などが消えない、紫外線に弱いなどのデメリットがある一方、銀、金、赤、青などカラフルな色が選べるというメリットもあります。

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How to メッキ加工

メッキ加工とはどんな場所で、どんな風に行われているでしょうか。作業場を少し覗いてみましょう。 ■取材協力:メッキ工房NAKARAI

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アルミホイールの場合、塗装を剥がし、研磨機を使って徹底的に磨き込みます。6層もの分厚いメッキを採用している「メッキ工房NAKARAI」では、下地となるメッキを実施した後にも磨き込みを実施。

作業場所には洗浄用、水洗い用、メッキ処理用など、様々な液体の入った槽、研磨室などが設置。下地となる銅メッキを実施後に再び磨き込み、洗浄槽や水槽に浸けられキレイに洗浄します。

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6層もの分厚いメッキを施すため、ホイールはいくつもの槽に浸けられます。メッキ処理の終わったパーツは、専用のフックに掛けられてしばらく保管。品質チェックが終われば作業完了です。

メッキのプロ集団、NAKARAIさんに聞く

すべての金属や樹脂パーツにメッキはOK?

素材にもよりますが、スチールやアルミなら基本的に大丈夫。でもマグネシウムやチタンは熱の膨張率が異なるため、メッキ後に「水ぶくれ(気泡)」ができる可能性があります。

樹脂パーツも基本的にはOKですが、中には塗装が剥がれにくいものもあり(特殊塗装を採用している等)、作業をお断りするケースもあります。

また、注意したいのがアルミの鋳造品。アルミ以外に亜鉛、マグネシウム等が含まれているため、水ぶくれができやすい。これに対応するため、メッキ工房NAKARAIでは数々の専用設備を使い、6層もの分厚いメッキを採用。手間はかかりますが、水ぶくれの原因となる巣穴を最小限に防いでいます。

メッキはサビやすく、手入れが面倒というイメージがあるんだけど…

鏡のように美しいクロームメッキですが、最大の弱点があります。それは薄いメッキの皮膜に、目には見えない無数の穴が開いていること。これはクロームメッキの性質上、直しようがありません。

クロームメッキ自体は腐食しにくいのですが、この無数の穴から水、油、ホコリなどの異物が入り込み、素材であるスチールなどに到達。その結果、メッキの表面に点錆びが発生。酷くなればメッキが浮き上がり、剥がれてしまうというわけです。

メッキを美しく保つための基本は、絶対にサビさせないこと! これが第一なのです。

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また、研磨剤配合のワックスなどで磨き過ぎると、表面の薄いクロームメッキ皮膜が曇ってしまったりする(光沢がなくなる)ので注意しましょう。

クロームメッキの最大の弱点を克服するには、まずこの穴を埋めて点錆びを防ぐことが大切。これによりステンレスに迫る耐腐食性が確保できます。

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極薄のクロームメッキの皮膜(0.002μから0.02μ)には、目には見えない小さな穴が存在します。

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表面の穴を粒子で塞いでやること。これだけで耐腐食性が大幅に向上します。

クロームメッキの穴を埋めるには「保護剤」を塗布することが重要

メッキ部品の表面に保護剤を塗布すること。これだけでサビは大幅に防げます。

まずはクロームメッキにキズが付かないよう、ゴミやホコリをしっかりと除去。

次に少量の保護剤をクロスに含ませ、パーツの表面に薄く塗り込みます。たったこれだけで、メッキの寿命は大幅にアップしますよ。

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市販のメッキ保護剤を使い、実際にクロームメッキパーツをお手入れ中。使い方は至って簡単です。

使用したメッキ保護剤

メッキ工房NAKARAIからリリースの「メッキング」というメッキ保護剤。『メッキ=錆びやすい・剥がれやすい・お手入れが大変』という既存の常識を覆した有名なアイテムです。

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表面の穴から浸入しようとする水・油・ホコリの3大腐食要因を、ガラス成分がシャットアウト。クロームの光沢剤も配合されており、塗布後はクロームメッキ独特の青光りが増すのも特徴です。

高級メガネ拭きの100倍以上のキメの細かさを誇る、キズの付きにくい専用クロス(2枚)も付いてオトクですよ。

もしもメッキが錆びてしまったら…

クロームメッキの皮膜は非常に薄いもの。

ビを落とすために研磨剤などで強く磨き過ぎれば、皮膜を傷付けるだけでなく、皮膜自体を削ぎ落としてしまうこともあります(輝きが鈍る大きな原因)。

「ちょっと油断したスキにサビが浮いてしまった…」という場合は、手遅れにならないうちに市販のサビ取り専用剤を使いましょう。小さなサビであれば、クロームメッキを剥がすことなくサビのみを除去してくれます。

使用したサビ取り剤

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使ったのはメッキ工房NAKARAIがリリースするサビ取り剤「サビトリキング」。クロームメッキを剥がすことなく、サビのみを除去するのが特徴。

落ちたサビで表面のメッキが傷付かないよう汚れを絡め取る汚れ拭きクロスも3枚付属。

サビ除去後は「メッキング」でしっかりとケアしてあげれば完璧です。

まとめ

メッキ製品をいつまでも美しく保つためには、とにかくサビさせないことが重要。サビさせないためには「マメな洗車」と「メッキ保護剤の塗布」をしっかりと行うことでです。

サビを発見したら、サビ取り剤で早期にケアしてあげること。

もしもここまでサビてしまったら…

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完全にアウト。

プロによる再メッキが必要です。

<備考:メッキ処理の相場>

リサーチしたところ、

小径ホイール用のフェンダー:2万円~2万5000円くらい

トップブリッジ:1万5000円~2万円円くらい

フロントフォークブーツ1本:2万円くらい

ホイール1本:5万円くらい 

がおおよその相場でした。

※メッキ工場、素材の状態、部品の大きさ等により価格は前後します。

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