スクーターのシート下スペース(メットイン)とヘルメットの着用義務

こんにちは。4ミニ.net運営者の北です。

スクーターのシート下スペースは、今や当たり前の装備ですよね。ヘルメットを持ち歩かなくてすむ、非常に便利な機能です。今ではバイクにヘルメットは欠かせないアイテムですが、かつては事情が少々違っていました。

僕が小学生の頃、高校生のオニーサンたちがガニ股&直立姿勢で原付スクーター(当時はソフトバイクとも呼ばれていた)に乗っているのをよく見かけました。昭和50年代後半のことです。僕たちは密かに、彼らを「ガニマー」と呼んでいました。

オニーサンたちの風貌はほぼ共通しており、ヘアスタイルはリーゼントやパンチパーマ、もしくはソリ込み入りの角刈り。服装は丈の長い学ラン、ダボダボのズボン(ボンタン、もしくはドカンと呼ばれた)、原色のタートルネック(ハイネック、古くはトックリと呼ばれた)、原色の靴下、先の尖った白いエナメルの靴。そして冬はマスクを着用。まるで漫画「ビーバップハイスクール(仲村トオル・清水宏次朗主演で映画にもなった)」から抜け出てきたような、極めてイカツイいでたちでした。

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目次

当時、オニーサンたちに人気だった車種

ヤマハ パッソル

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ホンダ タクト

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どちらも女性ユーザーをターゲットにしたスクーター。「ソフトバイク」とも呼ばれていました。女性ユーザー向けでしたが、なぜか硬派でイカツいオニーサマたちに人気がありました。パッソルの姉貴的存在の「パッソーラ」というモデルも支持されていましたね。

当時、タクトで2人乗りするビーバップなコンビを目撃したことがあります(50ccの2人乗りは違反です)。荷台が斜めになっているため(なぜだろう? 荷物も落ちやすいはず)、後ろの人は何度もケツがズリ落ち、かなり苦しそうでした。

女性ユーザー向けの商品を、イカツイ男がこぞって愛用する。これと似た現象で、硬派でイカツいオニーサマたちは、26cmくらいの大きなサイズの足なのに、なぜか22cmくらいの小さめのサイズの婦人物サンダルを、大袈裟に「カラカラ」と音を立てながら履いていました。この光景は、嘉門達夫氏の「ヤンキーのにーちゃんの唄」の歌詞にも出てきます。

僕は試したことはありませんが、これ、相当歩きにくかったと思いますよ。持ち前の気合いで履いていたのでしょうか。人よりも目立ちたいがためでしょう。「これ、絶対に自分でカスタマイズしてるよな?」と思わせるような、今となっては正気の沙汰とは思えないド派手な金色のラメ仕様のサンダルを愛用していたオニーサマもいました。余談ですが「うんこ座り」もオニーサマたちのお決まりのポーズでしたね。

男のソフトバイク、ヤマハ タウニィはどうだった?

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「男のソフトバイク!」というキャッチフレーズで、世界的サックス奏者の渡辺貞夫氏をイメージキャラクターに抜擢。鳴り物入りでデビューしたものの、ビーバップなオニーサマたちにはまったく受け入れられませんでした。

オニーサンたちは、なぜガニマーだったのか?

原付スクーターのガニ股走行は、今でもごくたーまに見かけます。なぜ彼らはガニマーなのでしょう?

1)原寸大、等身大以上に自分を大きく見せようとしている。

2)自分の存在を他のクルマやバイクに誇示している。

3)虚勢を張っている。

4)何だか強くなった気がする。

が主な要因なのではないでしょうか。

↑これと似たパターンが、

ヤクザ映画を鑑賞後、肩をいからせて歩いてしまう

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●解説:いわゆる「なりきり」。ヤクザ映画のなりきり代表格は高倉健や菅原文太など。僕の知人でしぐさ、口調、言葉遣い、髪型のすべてを矢沢永吉になりきっていた男(佐藤・仮名)もいた。当時、佐藤の口ぐせは「オレはいいけど、佐藤はどうかな?」。ちなみに矢沢永吉の自叙伝は「なりきり」ではなく「成り上がり」。座布団一枚。

格闘系アクション映画を鑑賞後、おもむろに頭や肩をグルグル回し始めたかと思うと、突如シャドーボクシングをする人

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●解説:こちらも「なりきり」の一種。映画館でブルース・リーやジャッキー・チェンの作品を鑑賞後、ロビーで素人バレバレのシャドーを繰り出す男によく遭遇した。格闘技経験者は人がいないのを見計らい、トイレの鏡の前でハイキックを放ったりする。なお、格闘技経験のない友人がシャドーを繰り出すのを見て「お前、ボクシングや空手なんてやったことないだろ」「おいおい、無理するなよ」おちょくり半分で突っ込むのは精神的に友人を追い込むこととなり、ついては殴り合いの喧嘩に発展する恐れもあるので厳禁。

繁華街にて美女をエスコートし、これ見よがしに胸を張って歩くオッサン

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●解説:「オレってこんなに凄いんだぞ!」「お前らとは格が違うんだぞ!」と、まるで自分が偉くなったような勘違いをしている現象。フェイスブック等で有名人とのツーショット写真を頻繁にアップしてしまうのも、これに酷似している。ちなみにオッサンは、擦れ違う男たちが彼女を見たかどうか? またどういう反応をしたかどうかの細かなチェックも怠らない。

こぜりあいが起こった時、相手にさり気なく腕のタトゥーを見せ、脅しをかけるチンピラ

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「気をつけろ。オレって実はこういうワイルドで危険な奴なんだぞ」という威圧的行為。裏を返せば、「できればこの場は穏便にすませたい」「ケンカはしたくない」ということ。

運が悪いことに、脅しをかけた相手がただのオッサンだと思いきや、実は背中一面に般若の入れ墨を背負った“ホンモノ”のお方で、「お前、見かけねえツラだなぁ。どこのモンだ?」と逆に凄まれ、焦りまくって脱ぎかけた服を元通りに着用し、即効退却というパターンも少なくない。

タトゥーのチラ見せは、対素人については一定の効力を発揮するが、対プロフェッショナルに関しては火に油を注ぐことになる可能性が高いので気をつけるべし。

シークレットブーツを履いている男性アイドル

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靴を脱がれた時の衝撃度は相当のものだろう。12cmアップ仕様の場合、普段は身長180cmの長身の人が、靴を脱いだ途端に168cmへとリトル化するのだから。

シークレットブーツ愛用者に向かい、「○○さんって、足が長いですよね」等々、身長に関する話題は厳禁。これはカツラ愛好者に、髪の毛に関する話題を振ってはいけない、また「ズラ」「桂(かつら)三枝」等の単語が禁句であるのと同じ。

また、当然ながらお座敷へのお誘いもタブー。カツラ愛用者と同様、相手への気遣いが必要となる。相手が上司や得意様など立場的に上の場合は、事前に足元をよくチェックしておくべし。

上品に足を揃えて乗ることに何となく抵抗がある

 

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「当時のツッパリ(死語)たちは自分を大きく見せるためにガニ股で走ってた。『オレ様をなめんなよ!』と虚勢を張ってたわけだ。それに大の男が上品に両足を揃えて乗るなんて恰好悪いとも思った。言うなれば、ツッパリ(死語)の美学だな」

以上は僕の知人で自称・10代の頃は荒くれ者だったというA氏の話。何が美学だよ!

コンパクトで軽量な女性向けのソフトバイクに体重のある男が乗った場合、安定感に欠ける

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前出の自称・10代の頃は荒くれ者だったというA氏によると、

「オレはパッソルに乗っていたが、パッソルって小柄なオバちゃんでも乗れるようコンパクトで軽量な設計だった。図体のデカい男が乗った場合、やや安定感に欠けるところがあったんだ。両膝を大きく広げて乗ると、比較的安定したような記憶がある」

とのこと。「やじろべえ」の原理だ。

ヘルメット着用義務の歴史

 

「ガニ股云々の話などどうでもいい。それよりもヘルメットを被らないのは危険じゃないか?」

「当時の警察は一体何をやってたんだ!」

と突っ込みを入れた真面目な方もいると思います。

しかし当時、まだ原付1種のヘルメット着用義務はありませんでした。ヘルメット着用努力義務はあったものの、「安全のためにかぶったほうがいいですよ」という程度のゆるーいもの。ヘルメットをかぶらなくても違反には問われなかったのです。

1986年、ついに原付1種(50cc以下)もヘルメット着用を義務化

昭和50年中頃より原付スクーターブームに火が点き、販売台数も急上昇。

それに伴って事故も増え、1986年に50cc以下もヘルメット着用が義務化されました。

ヘルメット着用義務までの流れ

1965年(昭和40年):高速道路などでのヘルメット着用努力義務を規定化

1972年(昭和47年):自動二輪車乗車に対する最高速度40km/hを超える道路でのヘルメット着用を義務化

1978年(昭和53年):自動二輪乗車員に対するヘルメット着用の義務化。また、原付1種(50cc以下)にヘルメット着用努力義務が課せられる

1986年(昭和61年):原付1種(50cc以下)のヘルメット着用を義務化

 

原付1種(50cc以下)のヘルメット着用義務化によって起こった革命とは?

ヘルメットが収納できるシート下スペースの登場

シート下スペースがなかった時代、スクーターにもミッション車のようにヘルメットホルダーが装着されていました。

ただし当時はバイクが非常に多かった時代。繁華街などではヘルメットホルダーに固定しているヘルメットの顎ひもをカッターナイフ等で切り、ヘルメットを盗むという悪い輩もいました。盗難を防ぐためにはどうすればいい? そう。ヘルメットを持ち歩くのです。

買い物に行った時、わざわざヘルメットを持ち歩く…。これって考えただけでも不便ですよね。原付1種のヘルメット着用義務は、当時のユーザーからも極めて不評でした。

そこで各メーカーはアイデアと工夫を凝らし、「シートの下にヘルメットが入る画期的なスクーター」を開発・リリースしたのです。

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日本初のシート下スペースの第一号機は1985年(昭和60年)に誕生

1986年(昭和61年)に原付1種(50cc以下)のヘルメット着用が義務化された時、すでにシート下収納スペースを設けた50ccはリリースされていました。日本で初めて採用したのは、1985年(昭和60年)に登場したヤマハ・ボクスンというモデル。

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ボクスンは「フルフェイスヘルメットが収納できるスクーター」としてデビュー。斬新な腰高フォルムのボクスンは、残念ながらスクーターを日常の足とする大衆からの人気を獲得することができず、すぐさま生産終了となりました。

庶民に大人気となった「メットイン」のタクト

スクーターのシート下スペースが庶民に認知されたのは、1987年(昭和62年)1月に登場したホンダ・タクト  フルマーク、通称「メットインタクト」から。

mc198804_tact03_01001H同車は当時大人気だったタクトをベースに、フルフェイスヘルメットも収納できるシート下スペース「メットイン(ホンダの商標登録)」を採用。「もう出先でヘルメットを持ち歩かなくていい」「小さな荷物ならメットインスペースに置いておけば大丈夫」と評判を呼び、爆発的なヒットとなりました。

メットインタクトが誕生したのはこんな時代

1987年は空前のバイクブームの時代。メットインタクトのキャッチコピーは「留守番電話、レンタルビデオ、ヘルメットの入るスクーター」。今では当たり前この3つは、当時の人々を驚かせた便利なもの・ベスト3と呼ぶべきものです。メットインタクトに乗って東京の街を巡る佐藤浩市さんのテレビCMも話題となり、メットインタクトの知名度は急上昇しました。

タクトにはこんなモデルもあり

1981年(昭和56年)に発売されたタクトには、リアのサイドカバーに収納スペースが設置されていました。

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シート下スペースの容量も徐々に拡大

車体の大きさはそのままに、シート下スペースの容量を稼ぐため、各メーカーは様々な手法を駆使しました。その一つが、エンジンのシリンダーヘッドとシリンダーの向き(矢印)を、縦方向から横方向にレイアウト変更する方法です。

出っ張ったシリンダーヘッドとシリンダーを横向きにすることで、シート下スペースを「深く」することができました。

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最近の原付スクーターはジェット型ヘルメットがスッポリと収納できるモデルが多数。レインウエアやグローブなども入ります。

 

豪華な装備を誇るイマドキのスクーター

今ではスクーターにとってシート下スペースは当たり前となり、さらに便利な機能や装備が投入されています。今後のさらなる進化に期待したいところです。

あると便利な「コンビニフック」

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足下のインナーカウル中央部に装備されたコンビニフックは、コンビニやスーパーの買い物袋などを吊り下げることのできる、近所でのちょっとした買い物などに便利なアイテムです。「今日はとっても暑いから、シート下スペースには買ってきた飲み物や食べ物を入れて走りたくないなぁ」という時にも本領を発揮。スクーターを普段の足とする人はもちろん、通勤・通学に用いる人も、この装備は要チェックです。

キーシャッターは盗難防止に効果あり

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キーシリンダー(キーを差し込む箇所)にマイナスドライバーを突っ込み、ロックされたハンドルを強引に解除して駐車中の車両を盗み出す。かつてはこんな荒手の盗難も少なくありませんでした。しかし最近は、キーシリンダーにシャッター機能を盛り込んだ“キーシャッター”を装備したモデルがあるので安心。キーシャッターとは鍵穴を金属の壁によってシャットアウトする、鍵穴へのいたずらを防いでくれる頼もしいシステムです。

スマホの充電もOK

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スマートフォンやタブレット、パソコンなどの充電も可能なアクセサリーソケット。この装備はハンドルにスマホ固定用ホルダーを装着し、スマホをナビゲーション替わりにする時にも便利です。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

北 秀昭

4ミニ.net運営者。兵庫県生まれ。千葉県在住。サイト運営のほか、モーターサイクル専門誌や情報誌のライティングやディレクションなどを手掛ける。サイト運営によってウィンしたSEOやライティングなど、「生のウェブマーケティング」をMAXに活かしていきたいと思う40+α歳。趣味はジョギング。人生の最大の喜びは家族とのバカ話。