モンキーやエイプのアウターローターとインナーローター

アウターローターはジェネレーターとも呼ばれる発電部分。電磁コイルの周りで回転するフライホイールの重さ、フライホイールの有無によってエンジンの特性や走行フィールは大きく違ってくる。モンキーやエイプのアウターローターを例に説明しよう。

アウターローター(ジェネレーター)の役割・その1

4ストミニやスクーターなど、ジャンルを問わずに採用されているアウターローター(ジェネレーター)。このパーツは、保安部品など灯火類への電力供給、プラグの着火、バッテリーの充電など、発電機の役割を担っている。

クランクシャフトに直結されたエンジン横にある丸形のフライホイール(はずみ車)が、電磁コイルの周りを回転することで電力を発生。フロントタイヤに発電機のローターを密着させ、走り出すとライトが点灯する自転車の発電機と同じしくみだ。

アウターローター(ジェネレーター)の役割・その2

クランク軸に直結したフライホイールに重みを持たせることにより、外へ向かおうとする遠心力が発生。クランク軸が回転→一緒に回転するフライホイールに一定の荷重が掛かり、軸が安定してくる→発進時は滑らかでマイルド、走行時はトルクフルなエンジン特性になる。

ノーマルのアウターローターはなぜ大きい?

モンキー&エイプのアウターローターのフライホイール部は、ビッグサイズの大径タイプ。重量も約1kgとかなりヘビーなもの。その理由は、

<1> 常時点灯のヘッドライトやテールランプ、ウインカーの点滅など、常に多量の電力が必要。そのためにはフライホイールの回転半径を大きくし、発電量を稼がねばならない。

<2> 扱いやすさと乗りやすさを重視したノーマル。アイドリングや低中速回転域でエンジンを安定させるためには、フライホイールに一定の重みを持たせ、遠心力を高める必要がある。

→ レースの観点から見たアウターローター

アウターローターのコイル部分

アウターローターのフライホイール部分を取り外すと、コイル部が露出する。真中のクランク軸に直結されたフライホイールが、この周りを回転することで電力を生み出すというしくみ。回転運動を電力に置き換えているというわけだ。

→ アウターローターの分解・組み付け

フライホイールの内側

中央の穴にクランク軸を貫通させ、ナットで接続。フライホイールの内側 は磁石になっている。

アウターローターのしくみ

内側に磁石を仕込んだフライホイールが、コイルの周りをグルグルと回転して発電する。アウターローターはインナーローターよりも回転量が大きく、電力量も多い。フライホイールの軽量化によってレスポンスを向上させた市販の軽量型アウターローターは、灯火類の使用もできるモデルが多数。

市販の軽量型アウターローター

実用性とスポーツ性を併せ持った、市販の軽量型アウターローター。このタイプはノーマルに比べ、フライホイール部を小径にして軽量化。エンジンのレスポンスやピックアップを向上させているのが大きな特徴だ。

多くのモデルがバッテリーへの充電も可能なチャージコイルを備えているため、保安部品の使用も可能。ストリートから耐久レースまで、幅広く対応できる設計となっている。

ちなみに装着後のアイドリングの回転数は、ノーマルのアウターローターよりもやや高めとなる(~3000rpm前後)。

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軽量型アウターローターの内側(磁石部)とコイル部。

写真上は鋭いレスポンスを実現してくれるキタコ製のアウターローターキット。

ノーマルの12Vモンキー用フライホイールを軽量加工したもの。慣性モーメントを減少させることによってレスポンスを向上させている。10%軽量加工、20%軽量加工など、メーカーやショップによって重量は様々。

レース専用のインナーローター

軽量型アウターローターよりも、さらにレスポンスやピックアップの向上を実現させたインナーローター。スプリントレースや耐久レース、ドラッグレースなどに使用される、生粋のレーシングアイテムだ。

インナーローターは、外周に磁石を設けた小径ローターの両サイドに、小さめのコイルを設置。フライホイールによる重みがない=クランク軸に掛かる負荷が大幅に軽減されるため、アウターローターよりもエンジンが軽やかに回転。低中速回転を多用するストリート用マシンよりも、高回転を多用するレースマシンに適したタイプ。

ただし、インナーローターは磁石の回転半径が小さいため、アウターローターよりも発電量が大幅に低下。そのため保安部品の灯火やバッテリー充電などの機能が持てず、スパークプラグの着火のみを目的としたモデルがメインとなる。公道での使用を視野に入れない、サーキットランを目的としたユーザー向けのレース用パーツだ。

→ レースの観点から見たインナーローター

インナーローターのしくみ

磁石を仕込んだ小径ローターが、コイルの内側を回転。フライホイールを採用したアウターローターよりも、クランク軸に掛かる負荷が少なく、ピックアップやレスポンスは大幅に向上する。

写真はキタコ製のインナーローターキット。

【電装系の関連ページ】

→ 6Vモンキーのポイント調整

→ 点火タイミングの進角・遅角

→ 電装系チューンの定番パーツ、CDI

【アウターローターの関連ページ・中級編】

→ レースの観点から見たアウターローター

→ レースの観点から見たインナーローター

【アウターローターの関連ページ・上級編】

→ アウターローターの分解・組み付け

 

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