こんにちは。4ミニ.net運営の北です。
「バイクのスピードメーターやタコメーターを交換したい」と思っている皆さん。バイクのスピードメーターには「アナログ表示」や「デジタル表示」のほか、「機械式」や「電気式」というタイプがあるのをご存知ですか。「よく分からない」という人は…
バイクのメーターの違いは、基本的に時計と同じだと考えてみましょう。
写真上はどちらも時計です。左は指針で表示される「アナログ表示」、右は数字で表示される「デジタル表示」。
「どちらが見やすいか?」と問われれば、大きく意見が分かれるところでしょう。
ここであなたに質問。アナログ表示とデジタル表示の時計の違いとは、一体何でしょう?
ただし見た目を除いて。
思い付くものを、5つ想像してみてください。
僕の持っているデジタル表示の時計は
1)曜日が表示される
2)AM・PMが表示される
3)アラーム音の大きさを調整できる
4)手でアラームを停止させた後の5分後に、もう一度アラームが鳴る『寝坊防止機能』が付いている
5)アラームを鳴らす時間が複数設定できる
のがアナログ表示との違い。その他にも、デジタル表示式は便利な機能がいろいろと付いていますよね。
多くのデジタル表示の時計は「希望の時間を知らせてくれる」という観点からみた場合、非常に便利だといえます。特に朝の弱い人なら、『寝坊防止機能』は外せないでしょう。
一方、ほとんどのアナログ表示は、デジタル表示ほどの便利な機能は付いていません。しかしアナログ表示にはデジタル表示にはタチウチできない、決定的な利点が1つあります。
それは、時間経過の感覚がつかみやすいこと。
あなたの職場や学校の壁には、デジタル表示ではなくアナログ表示の時計が設置されていませんか? あれはデジタル表示よりもアナログ表示のほうが、
「テストの終了時刻まであと10分だ」
「この仕事は4時間で終わらせなきゃいけないのに、開始してからもう5時間も経過しているぞ」
等々、時間の感覚を瞬時につかみやすいからです。
人間は1日24時間のサイクルで生きています。このサイクルを崩して過度の寝不足や食事時間の不規則を招いた場合、途端に体調を崩したりします。人間のサイクルを12時間+12時間で表現したアナログ表示の時計は、人間の脳や肉体にとって実になじみやすいものなのです。
これと似た現象が、バイクや自動車のエンジンの回転数を教えてくれるタコメーター。
エンジンの回転数は数字で表示されるよりも、指針やバー表示(目盛りが増えたり減ったりする表示)のほうがイメージしやすい。突き詰めていえば、エンジン回転数、エンジン音、回転を上げたことによる車体の振動、アクセル開度、タイヤと路面との摩擦などのイメージをつかみやすい=これらを指針やバー表示にしたほうが脳にリンクしやすい、という感覚ですね。
写真上は「機械式」と「電気式」の時計。発条(ゼンマイ)構造の機械式時計は、時々ゼンマイをクリクリと巻いてやらないと止まってしまいます。今でも味のある機械式時計にこだわる人がいらっしゃいますよね。
僕が小学生1年生の頃、教室にふるーい振り子の付いた柱時計がありました。当時の僕は、時計が止まった時にゼンマイを巻く『時計係』。柱時計の扉を開け、T字型の専用工具の先端(凹状になっていた)を文字盤上にある小さな凸部に差し込み、右手でゼンマイをグリグリと巻いていました。巻き終わるまでにはかなりの時間と労力がかかり、作業が終了する頃には右手が疲れたという記憶があります。最初は「面白そうだ」と感じたゼンマイ巻きでしたが次第に面倒くさくなり、「時計係になんてなるんじゃなかった」と思ったものです。
一方、電気式(電池式)は文字通り、電気(電池)の力で動くしくみです。最近の時計はほとんどがこのタイプです。
「どちらが良いか?」と問われれば、こちらも意見が分かれるところでしょう。機械式はメカニカルで味わい深いですし、電気式(電池式)は停電もしくは定期的に電池を交換していれば、1秒たりとも狂いません。しかも表示はカラフル。
もしもあなたが時計を購入する場合、何を基準に時計を選びますか? 僕なら「好み」「見やすさ」「用途」「使いやすさ」「ブランド」などをポイントにすると思います。
やっぱりバイクのメーター選びは、時計選びと似ていますね。
上記を頭の片隅に入れながら、まずはバイクのメーターの主な種類を見てみましょう。
目次
メーターの種類
アナログ表示型のスピードメーター
指針によって速度が表示されるタイプ。ライディングスピリッツを煽り立てる、メカニカルかつ躍動的なタイプです。
国産50ccの純正メーターは基本的に60km/h表示なので、ボアアップ等による原付2種変更時や速度アップ時には要交換となります。デジタル型に比べ、アナログ型は一般的にリーズナブルなのが特徴です。
ブラックパネルやホワイトパネル、140km/h表示や160km/h表示などタイプは様々。
こんな人におすすめ!
多くはスピードと走行距離の表示のみ。「できるだけシンプルなほうがいい」という人にはピッタリでしょう。
デジタル表示型のスピードメーター
メーターケーブルの回転運動をデジタル信号に変換し、速度をデジタル表示させるタイプ。スピードがほぼ1km/h単位で確認できるのが大きな特徴です。
速度の増減によって目まぐるしく変動する速度表示など、アナログと表示型は趣の異なる独特の視覚的要素を持っているのがポイント。バッテリー搭載用、コンデンサーを内臓したバッテリーレス車用などがあります。一般的に価格はアナログ型よりもやや高め。
こんな人におすすめ!
メーター周りのイメージが一新されるため、指針式のアナログ表示にあきた人にはピッタリ。6Vバッテリー採用車やバッテリーの付いていないタイプの車両には取り付けできない場合もあるので注意しましょう。
スピードメーターケーブルの接続部分。ケーブルの回転によって速度を表示させるこのタイプは「機械式」と呼ばれます。ちなみに自動車やビッグバイクにスピードメーターケーブルを使用することはほぼなく、車速センサーにより速度を検地する「電気式」が多用されています。
機械式に採用のスピードメーターケーブルは、スピードメーターからフロントホイール側のスピードメーターギアボックスに接続。ホイールが回転するとギアボックス内のギアとメーターケーブルが回転するしくみです。
フロントホイールとフロントフォークの間に固定する、機械式のスピードメーターギアボックス(モンキー用)。モンキーの場合、8インチから10インチ以上にインチアップした場合は要交換。写真はキタコ製10インチホイール用。
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機械式のタコメーター(アナログ表示型)
機械式スピードメーター同様、メーターケーブルの回転によって回転数を表示させるしくみ。
モンキーのアナログ型タコメーター(機械式)のタコメーターギアボックス。6V&12Vモンキーはシリンダーヘッド左に固定するしくみ。
モンキーのアナログ型タコメーターのギアボックスを取り外したところ。エンジンが始動してシリンダーヘッド内のカムスプロケットが回転すると、直結したギアボックス内のギアが回転。メーターケーブルによってこの回転をタコメーターへ伝達するという、文字通り機械的なシステムが採用されています。
一般的に機械式タコメーターは、電気式タコメーターよりも価格が安い。また、エンジン周りのカスタム度が高まるなどのメリットがあります。
ただし電気式よりもエンジンのフリクションが増す。また、ニュートラル時などにスロットルをあおった折、ケーブルの回転が抵抗となってしまうため、電気式よりもやや指針の戻りが遅い等のデメリットがあります。
電気式のタコメーター(アナログ表示型)
メーターケーブルやエンジン側にギアボックスを接続する必要がないため、エンジンへのフリクション(抵抗)が軽減できます。また、機械式よりもスロットルの動きに対し、指針がリニアに反応するのが特徴。
こんな人におすすめ!
「極限までエンジンの抵抗を減らしたい」というスポーツ志向の人にピッタリ。6V車や旧型スクーター、バッテリーのないレス車には装着不可のモデルもあるので注意しましょう。
電気式のタコメーター(デジタル表示型)
上の電気式のアナログ表示タコメーターと同じく、点火プラグが発生するパルスを検知し、指針によって回転数を表示させるタイプ。
数字による表示のため、具体的な回転数が掴みやすいのが最大の特徴。最高回転数など細かなデータが記憶・表示できるマルチなモデルも多数。このタイプは、レースやエンジンのセッティングなどにとても便利です。
こんな人におすすめ!
細かな走行データが記録できる電気式のデジタル表示式は、チューニング車に最適。サーキットを走るレーサーにも人気です。「これからエンジンをカスタムしたい」「レースを楽しみたい」という人にピッタリでしょう。
電気式のタコメーターは、パルス検知用の配線をプラグコードに巻き付けるシステムです。
電気式タコメーターの中には手軽に回転数が取れるクリップ接続型モデルもあります。
電気式のマルチタイプメーター
「機械式のデジタル表示スピードメーター」と「電気式のデジタル表示タコメーター」を1つにした画期的なメーター。スピード表示と回転表示に加え、オドメーター、電圧計、時計、各種インジケーターなどの表示もできるマルチなタイプ。
写真は美しいLED照明(※注1)を採用したタイプ。
こんな人におすすめ!
「スピードも回転数も、すべての表示を1つにまとめたい。しかも多機能で」というワガママな人にピッタリでしょう。
※注1:LEDって何?
LEDとは発光ダイオードのこと。信号機、電卓、懐中電灯、またクリスマスイルミネーションなどにも使用されています。光系カスタムの必須アイテムですね。
LEDと電球との主な違いは、
1)電球よりも応答時間が格段に早いため、光り方に“キレ”がある
2)消費電力が少ない
3)電球の10倍以上の寿命を持つ
LEDには赤、青、緑、白、黄などのカラーがあます。
こんな多機能なメーター、取り付けはさぞかし難しいんだろうなあ…、と思っている皆さん。
オッサンになった今でも「電気作業=感電する」という負のイメージを持っている僕ですが、意外や意外。取り付けは予想よりもはるかに簡単でした。
ミニバイクからミドルバイクまで幅広い人気のこのアイテムを、早速モンキーに取り付けてみましょう!
電気式デジタルの交換作業
アナログ型の機械式タコメーターから、デジタル型のマルチメーターに交換してみます。
交換するのはABCから発売されている「ACEWELL MD-052-353」というメーターです。
モンキーやエイプの純正ヘッドライトケースにスッポリと収まるのがポイント。スピード、タコ、オド、時計、電圧計、最高速メモリー等々、便利な機能が盛りだくさん。別売りのマグネット等を使えば、速度センサー化も可能です。12Vバッテリー装着車専用。サイズはφ52×45.1mm。バッテリーレス車や6Vエンジンには取り付けできないので注意しましょう。
アナログ表示のノーマルメーターに、アナログ表示の機械式タコメーターを組み合わせ(メーターはCFポッシュ製)。メーターに付属の専用ステーを使い、ハンドル部に固定しています。まずはこのタコメーターを取り外します。
次にエンジンのシリンダーヘッドに接続しているメーターギアボックスを取り外します。取り外し後は、外していたノーマルのカバーを再び取り付けます。
ヘッドライトケースからヘッドライト本体とハーネスを外します。するとご覧のように、配線がウジャウジャの状態…。これを見た瞬間、思わず目まいがしました。
気を取り直し、ノーマルスピードメーターに接続されているメーターケーブルを取り外します。
ケース内でメーターを固定しているスプリングを取り外した後、ノーマルメーターを取り外します。メーターは簡単に外れると思いましたが、なぜか外れない…。雨水の浸入を防ぐゴムが固着していたため、引き抜くのにかなり苦戦しました。
慎重に引き抜いたつもりなのですが、ヘッドライトケース側に劣化したゴムがしつこくヘバリ付いています。なんだかキタナイ…。ケースに傷を付けないようカッターナイフで削り落とします。
ここでマルチメーターの登場。写真はメーターの底部です。
多機能メーターにスプリングフックを固定するための付属ステーを装着。付属のスプリングフックがやや届きにくく感じられたため、部品箱の中に転がっていたボルト、カラー、ナットを使い、付属の2枚のフックを下方にオフセット装着しました。なお、今回は強度確保のためにフックを2枚重ねて固定しました。
メーターの取り付け部分に付属のゴム製パッキン&クッションを装着します。
マルチメーターをヘッドライトケースに収めます。違和感なくピッタリとセットできました!
ウジャウジャした配線がジャマになるので、一部のカプラーやギボシを抜きます。カプラーは合致するもの・しないものがあるので大丈夫。しかし問題なのはギボシ端子。オス側もメス側も、一度外してしまうと、どれとどれが接続されていたのかがまったく分からなくなります。そこで今回はビニールテープと油性ペンを使い、写真上のように接続されていたギボシ端子に名称や合番を付けました。
メーター側とヘッドライトケース側をスプリングフックでつながります。このスプリングフックはメーターの抜けを防止するためのもの。
ノーマルのメーターワイヤーケーブルは引き続き使用します。まずは付属のメーターワイヤーセンサーとノーマルのメーターワイヤーを接続。
ノーマルのスピードメーターとは異なり、付属のメーターワイヤーセンサーはメーター本体とは別体式。従ってメーターワイヤー取り回しの自由度が大幅にアップします。
タコメーターの動作を確認するため、プラグコードにセンサー線を仮巻き。このタコメーターは電気式のため、ワイヤーケーブルは使いません。センサー線によって回転信号を検地し、回転数を表示させるしくみです。
サービスマニュアルで調べてみたところ、ライトケース内にある写真の黒い配線(二股になった4のメス)は「フロントブレーキ」と「速度警告灯ユニット」の電源。
メーターの動作テストには、この電源を使うことにします。
マルチメーターに付属の配線図によると、写真右の線(茶)はデジタル時計用の電源線、写真左の線(赤)はメインスイッチ用の電源線。写真にはありませんが、メーターから伸びるもう1本の黒い線(アース用)を車体にアースします。
過電圧によってメーターが破損する恐れあるため、電源を接続する前には必ずテスターで各配線の電圧を調べておきましょう。
まずはテストを実行します。
時々登場する驚愕の顔。何やら問題が発生した模様です!
デジタル時計が表示されました。しかしブルーのLED照明も、中央に表示されるはずの数字も出てきません。試しにエンジンを始動。しかしスピード表示はもちろん、バーグラフ表示されるはずのエンジン回転数も現れません。
このマルチメーターは12Vバッテリー装着車専用です。前回バッテリー交換したのは…。早速バッテリーを新品に交換しました。モンキーのバッテリーって、小さいくせに結構高いです(涙)。
LED照明や数字が無事表示されました! 表示されない原因はバッテリーの劣化にあったようですね。
よかったよかった!
先述にてプラグコードに回転数を読み取るためのタコメーターセンサー線を巻き付けましたが、電気信号が弱すぎるのか回転数を示すバーグラフが時々消えてしまいます。
そこで説明書に従い、イグニッションコイルのプラス側にタコメーターセンサー線(黄色)を接続。するとメーターのバーグラフが消えることなく、安定して表示されるようになりました。
マルチメーターのスイッチの電源(赤)などには、ホームセンター等で発売されているギボシ端子を接続します。
今回は急遽ラジオペンチでかしめましたが、これは悪い例。本来は電工ペンチ等の専用工具を使うのが基本ですよ。そのほうが確実に、しかもキレイに仕上がります。
上でかしめたスイッチの電源(赤)のギボシ端子(オス)を、速度警告ユニット用電源だったギボシ端子(メス)に接続したところ。速度警告ユニットとは30km/hを超えると点灯するインジケーター。このモンキーは88ccの原付二種なので、30km/hの速度警告は必要ないというわけです。
写真上は、左右ウインカー用配線をギボシ端子に仮付けし、動作テストを行うところ。テストがOKならば、2本の配線を1つのギボシで接続します。
今回使用したカプラー&配線は「1 スピードメーターケーブルに接続するスピードセンサー」「2 回転数を表示させるタコメーターセンサー」「3 時計電源・スイッチ電源・アース」「4 左右ウインカー・ニュートラル・ハイビームの各種ランプ」。なお、「5 油温センサー」は使用していません。
上のイラストは配線方法をまとめたものです。
メーターの動作確認が終わったら、タイラップを使ってメーター内のコネクターや配線をキレイにまとめます。
配線をキレイにまとめた(つもり)ヘッドライトケース内。後はヘッドライトを装着すれば作業完了です。
美しいブルーのLED照明で、夜間走行が楽しくなりました。
デジタル式速度表示(0.1km/h単位まで表示)やバーグラフ式の回転表示(写真はデジタルとの同時表示。1回転単位まで表示される)も、レーシーな雰囲気です。
タコメーターのバーグラフはスロットルの動きにも素早く反応し、電気式ならではのレスポンスの高さが魅力。
デジタル時計に加え、ボタンひとつでトリップメーター、オドメーター、平均速度、最高回転数、総運転時間、電圧計などがボタンひとつで瞬時に切り替わります。
多機能・見やすい・カスタム度120%の3拍子揃ったハイパフォーマンスなメーターという印象を受けました。
まとめ:メーター交換する時の注意点
メーターの取り付け作業には、
1)必ず車体配線図(ゴリラやモンキーの場合、メーカーのサービスマニュアルに記載。サービスマニュアルはバイクパーツショップ等で発売)を用意しましょう。また、
2)各配線を接続する前に、必ずテスター(ホームセンター等で発売)を使用して電圧等を測定することをお忘れなく。