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バイクの足回り – リアショック(ツイン/モノ)の種類と働き

リアタイヤからの衝撃をしっかりと吸収し、安定した走行を確保してくれるリアショック。モンキーやエイプのリアショックは、ストリート用からレース対応モデルまで豊富にラインナップ。カラフルなスプリングを備えたオシャレなモデルも多数リリース中だ。

追従性の良さと高い安定性を確保

リアショックはリアの足周りの衝撃を吸収し、タイヤと路面の接地力を安定させるサスペンションシステム。スイングアームを介して上下に動作することにより、スムーズな走行を可能にする“リアの足周りの要”となるパーツだ。

一般的に、小排気量車のノーマルリアショックには、多くの高性能型社外製リヤショックに備えてられているバネレート調整機能(体重やタンデムの有無によってバネの硬さを調整する機能)が付いていない。また、ストリート走行を前提に作られているため、限界ギリギリまで攻めるサーキット走行、またボアアップ等でパワーアップしたマシンにはどうしても役不足。リヤショック自体のポテンシャルがエンジンパワーについてゆけず、不安定な走りになってしまうのがネックとなる。

そこで登場するのが、社外の高性能リヤショック。多くのタイプは路面に対する追従性が高く、高速域での直進性やコーナリングも非常に安定。タイプによってはカラースプリングを採用するなどドレスアップ度も高く、存在感を存分にアピールしてくれる。

サスペンションの動きは、こんなイメージ

仮にスプリングのみである場合、路面の凹凸によって縮んだスプリングの反動が治まらず、伸縮が続いてしまう。

スプリングにダンパーを追加すると、スプリングの反動が抑えられるとともに、サスペンションの圧側(サスが沈む方向。コンプレッションと呼ぶ)と伸び側(サスが戻る方向。テンションと呼ぶ)の動きも滑らかになる。

路面の凹凸を通過後、いつまでもボヨンボヨンと車体が上下に揺れている場合は、ダンパー内のオイル漏れが考えられる。

リヤショック、各部の名称と働き

■ショック長…上下のマウント部分の距離のこと。ショック長が調整できる「車高調整機能」を備えたタイプもあり。

■プリロード…荷重の大きさによって変動するサスペンションの作動量を調整する箇所。スプリングの締め付け&緩めることによって乗り味が変化する。このプリロード調整は、「イニシャル調整」とも呼ばれる。無段階調整式、5~10段階前後の段階調整式などがある。専用工具で調整するのが一般的。

■ダンパー…内部に粘性オイルや高圧ガスを封印した減衰力を生み出すパーツ。粘性オイルや高圧ガスの抵抗によって、スプリングの伸縮が滑らかになる。設置されたダイヤルで伸び側・縮み側の伸縮抵抗力(減衰力)が調整できる高性能モデルもラインナップ。

■スプリング…路面からの衝撃を吸収する、バネ状スプリング。巻きピッチ(バネとバネの間隔)を大きめに設定したストリート向けのモデル、巻きピッチを狭めに設定したマルチなモデル、巻きピッチを不等にしたレーシーなモデル、場所によってスプリング径を変えた高性能モデルなど種類は様々。

■サブタンク…リザーバータンク、リザーブタンクとも呼ばれる高圧ガス(窒素ガス)を封印したタンク。縮みの工程で、封印された高圧ガスがオイルの圧力を吸収するしくみ。スポーツモデルをメインに採用。サブタンク別体型(写真)と一体型の2種類あり。別体型はクリヤショック本体がコンパクトに仕上がるため、取り付け場所の自由度が高い、冷却性が高い等のメリットがある。

ツインショック型

2本のリヤショックで衝撃を吸収するスタンダードなタイプ。スイングアームの長さによって、リヤショックのサイズを選ぶのが一般的。手頃な価格のストリート用から、リザーバータンクを備えた本格派モデルまで種類も豊富。カラーも各種揃っているのが嬉しいところ。

短めのリヤショックを採用して車高を落としたダックスやシャリィのローダウンカスタム(通称・浜松仕様)も人気。フレーム側やスイングアーム側の接続部を加工・変更してリヤショックの角度を変更するなど、自分流のスタイルに仕上げるハイエンドユーザーも存在する。

☆メリット…取り付け構造が簡単で、取り外し等のメンテナンス性も良好。

★デメリット…モノショック型よりもマス(重量)が分散。一般的に運動性能が若干劣る。

写真はハイエンドカスタムやレースにも多用されるクァンタム製のサブタンク付タイプ。

モノショック型

1本のリヤショックで衝撃を吸収するスポーティーなタイプ。エイプ、XR50/100モタード、KSR110などのスポーツモデルに採用されている。

社外品はツインショック同様、手頃な価格のストリート用から、リザーバータンクを備えた本格的なレース対応モデルまで幅広くラインナップ。

サイズはNSF100やNSR50/80と同寸の210mmがメイン。

☆メリット…スイングアームのピボット部上に装着されているため、マス(重量)が集中化されて扱いやすく、運動性能も高い。

★デメリット…エンジン近くにマウントされるため、ツイン型よりもリヤショックの冷却性に劣る。またツイン型よりも動作部の構造が複雑で、着脱に手間がかかる。

→ スポーツ50ccのエイプ50

→ エンジンパーツも豊富なエイプ100

→ 充実の足周り、XR50/100モタード

→ カスタムベースに人気のKSR110

→ HRCが放つ4ミニレーサー、NSF100

ノーマルモンキーはツインショック型だが、モノショック型スイングアームも装着可能。写真は付属のリヤショック取り付け用ブラケット(○内)をフレーム部に固定するタイプ。ブラケットの固定位置を変更すれば、車高の調整も自由に行える。写真右はモンキー用モノショック型スイングアームに付属の専用ブラケット(Gクラフト製)。

リジッド式

サスペンション機能を持たず、スイングアームを固定式にしたタイプ。直線・短距離専用のドラッグカスタムに多用される。

その理由は、車高を低くして空気抵抗を抑えるため、またスタート時のトラクション確保(リヤショックの伸び・沈みをなくすことで、スタート時のロスを防ぐ)のため。

ドラッグカスタムの他、外観重視のストリート系ローダウンカスタム、ロー&ロングの外観を強調したチョッパースタイルのアメリカンカスタムなどにも用いられる。

☆メリット…スタート重視のドラッグレースでは、リヤにトラクションをかけることでスタートダッシュが鋭くなる。

★デメリット…振動が激しく、乗り心地は極めて悪い。

モノショック型のリジッド式サスペンション採用車。リジッド式は乗り心地が悪く、コーナリング性能も悪いため、スプリントレースや公道走行には向いていない。

現行モデルよりもさらにレジャー思考の強かった6インチの初期型モンキー(Z50M)は、前後ともリジッドサスペンションを採用。

→ リジッド式のビンテージモンキー

リヤショック長の適応表(モンキー)
スイングアーム長 ショック長(ツインショック) ショック長(モノショック)
ノーマル 260mm
40mmロング 285mm  
60mmロング 285mm  
80mmロング 305mm  
100mmロング 305mm  
120mmロング 305mm  
140mmロング 330mm 210mm
160mmロング 330mm 210mm
200mmロング 330mm 210mm
※Gクラフト社製スイングアーム推奨値

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→ フロントフォークの交換術

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