チューニングエンジンのパワーバンド(もっともパワーが出る回転域)を有効に伝えるためのポイント、それはミッションを変更すること。モンキーやエイプのミッションはストリート用からレース用まで幅広くラインナップされているので、チューニングの度合い、用途などに合わせて選択が可能だ。
社外ミッションキットは、排気量をアップしたモンキーの必需品
「ノーマルモンキーのギヤを2速に上げた時の“ガチャン”という衝撃を何とかしたい」
「ノーマル4速では物足りないので5速に変更したい」
「サーキットで使用。パワーバンドを保つため、6速クロスミッションにしたい」
などの希望を叶えてくれるのがミッションキット。
特に、エンジンをチューニングしたモンキーの場合、
<1> ノーマルの4速ミッションはギヤレシオが離れているため、エンジンのパワーが有効的に伝わりにくい。
<2> シフトアップのたびにエンジンの回転数がパワーバンドから外れてしまい、加速に時間がかかる。
<3> シフトダウン時にオーバーレブを起こす可能性あり。エンジンの破損を招く恐れがある。
などのデメリットが発生する。
乗り比べてみればすぐに分かると思うが、エンジンをチューニングしたモンキーで公道やサーキットを走る場合、ノーマル4速ミッションのままではかなり走りにくい(ただし短距離を競うドラッグレースでは、ノーマル4速を使用する人が多い)。
パワーアップしたエンジンを楽しむには、やはりミッションの交換は必須といえよう。
ミッション変更の目的は、「パワーを有効的に活かすため」
勘違いしてはいけないのが、「ギヤが増えると、最高速が大幅に向上する」という考え。
例えば4速から5速、また4速から6速に変更するということは、「4+1=5」「4+2=6」ではなく、「4を5に分けなおす」「4を6に分けなおす」ということ。
ギヤの各レシオの見直し、また多速ミッションの場合はミッションを分割してシフトチェンジの回数を増やすことで、パワーバンド内のパワーを逃すことなく使い切ることができる。これが社外ミッションの目的なのだ。
ミッションのレイアウトとギヤの厚みの関係
ノーマルモンキーは4速、ノーマルエイプは5速を採用。4速の場合はメインシャフト側に4枚、カウンターシャフト側に4枚、5速の場合はメインシャフト側に5枚、カウンターシャフト側に5枚のギヤがそれぞれ装着されている。
モンキー用の社外6速ミッションの場合、4速ミッションが収まるスペースに6速分のギヤを収納。ということは、基本的にギヤ1枚あたりの厚みも薄くなる。
そのため、モンキー用6速の場合、急激な加減速は絶対に禁物。シフトダウン時はスロットルを煽って回転を合わせるなど、デリケートな扱いが必要になってくる。
また、高圧縮のボアアップエンジンの場合、キックスターターを注意深く踏み降ろしながら、ピストンをきっちりと上死点(ピストンが一番上にある状態)に合わせてエンジン始動することが重要。上死点を考えず、無闇やたらにキックをすると、ミッションの歯車が欠けるなど各部の破損を招く恐れがあることを覚えておこう。
ドラッグモンキーはノーマル4速が主流?
極限までチューニングされたレースマシンに、ミッションの交換は必須。
ただし、短距離を競うドラッグ仕様のモンキーには、ノーマルの4速ミッションを使用する人が多い。理由は、シフトチェンジの回数が減らせる、ギアレシオが比較的ドラッグレースに向いているなど。
ドラッグレースに興味のある人は、出場マシンを要チェックしてみるべし。写真の車両はキタコが製作したドラッグ仕様のモンキー。
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