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縦型スポーツモデル、ホンダ(HONDA) エイプ(APE)50

「CB系の縦型エンジンを積んだゼロハンが発売されるらしい」そんな噂が出たのは1990年代終盤。数年後の2001年2月、エイプ50は華々しくデビュー。2007年には排ガス規制によってFI化。2008年には前後ディスク化&アルミキャストホイールによって足回りを強化したType Dが追加された。

プロリンク式リヤサスなど、足回りも充実

モンキーを始め、4ミニカスタムの人気がヒートアップした2001年、”噂のゼロハン”がついに登場した。その名は「エイプ(Ape)」。ネーミングは英語で「類人猿」「猿人」「尾のないサル」を意味する。

新設計のフレームには、小排気量車の4ストスポーツモデル、CB系に採用されたショートストローク型の縦型エンジンを搭載(シリンダーやシリンダーヘッドが上方に向いたタイプ。前傾12°)。ベースはXR80R用とし、低中回転域での実用性を重視したマイルドな味付けとなっている。

ライトチューンならカスタム費用もリーズナブル

クランク軸のフリクションを低減する2次側クラッチ、ライトボアアップエンジンにも対応する5速ミッション(各レシオはCB50/CRF100F等と共通)など、走りを重視したアイテムを装備。80cc程度のライトボアアップなら、比較的リーズナブルにカスタムできるのも大きなポイントだ。

足回りはフロントに正立フォーク、リヤにプロリンク式モノショックサスペンションを採用するなど非常にスポーティー。ホイールは前後12インチとし、タイヤは前後120/80サイズのセミワイドタイプをチョイス。

モンキーとは異なり、簡素化のためキャブレター仕様車にはバッテリーが搭載されていない(FI車にはバッテリーを標準装備。社外のバッテリーキット装着により、キャブレター車をバッテリー搭載型にすることも可能)。 ヘッドライトケースはモンキーと、ガソリンタンクはベンリィCD50/90と互換性あり。

→ベンリィ50/90

エンジンは「XR80R」がベース

XR80R とは、CB系の縦型エンジンを搭載したオフロードレース専用の300台限定モデル。1986年(昭和61年)に発売された。 このモデルは、軽量かつ剛性の高いダイヤモンドフレーム、角型断面のスイングアーム、プロリンク式リヤサスペンション、140mmロングストローク型フロントフォーク、6.5L大容量タンクを装備。 ホイール径は前16インチ、後14インチ。前後タイヤはモトクロス専用のブロックパターンがセレクトされた。MAXパワーは8.8ps。

●XR80RのSPEC 

全長:1730mm/全幅:755mm/全高:955mm/ホイールベース:1195mm/乾燥重量:64kg/燃料タンク容量:6.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒79.7cc/ボア×ストローク:47.5mm×45.0mm/圧縮比:9.7/最大出力:8.8ps/10,500rpm/最大トルク: 0.66kgm/9,000rpm/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前2.50-16 後3.60-14/当時の価格:17万9000円

→XR80/XR80R/XLR80R/CRF80F

エイプ100との違い

エイプ50登場から1年後の2002年、兄貴分であるエイプ100が発売された。エイプ50とエイプ100の外観上の大きな違いは、

1)排気量の大きい100は、シリンダーヘッドの位置が50よりも高い。

2)100はシートレールを延長してダブルシートを、またステーを追加してタンデム用ステップを装備。

3)パワフルかつ二人乗り用に設計された100のスイングアームとアクスルシャフトは、50よりも太くて頑丈なタイプを採用。また、ホイールベースも5mm増加。

4)強度を高めるため、100用のリヤホイールは窓(穴)が塞がれている。


50のリヤホイール。100とは違い、窓(穴)が設けられている。

→カスタムに人気のエイプ100

エイプ50にエイプ100用社外パーツは装着できるのか?

商品に「50/100共用」と明記してあれば装着可能(純正の外装パーツはシート等を除き共通)。社外パーツの場合、足周りパーツもほぼ共通。ただしマフラーは50/100共用が多い一方、商品によっては50専用・100専用に差別化されていることもある。

注意したいのが、ボアアップキットなどのエンジン用パーツ。50と100はボア径やストローク量だけでなく、クランクケースの細部のつくりなどが微妙に異なるのが特徴。そのため、50用エンジンに100用エンジンパーツは取り付け不可の場合がほとんど。エイプ用パーツを購入する際は、必ず50/100共用なのか、50専用なのか、100専用なのかをよく確認しよう。

初期型のエイプ50


初期型は清楚なクラシカルホワイトと、眩しいファイティングレッド(写真)を設定。価格は19万9000円(当時)。


2001年に発売されたストライプタイプのデラックス。価格は20万9000円(当時)。

●エイプ50のSPEC(2001年モデル) 

型式:BA-AC16/全長:1710mm/全高:970mm/全幅:770mm/乾燥重量:75kg/燃料タンク容量:5.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:42mm×35.6mm/圧縮比:9.2/最大出力:3.7ps/7500rpm/最大トルク:0.37kgm/6500rpm/点火方式:CDI/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後120/80-12

★縦型エンジン搭載車の変速比の比較

1速 2速 3速 4速 5速 共通車両
エイプ50 3.083 1.882 1.400 1.130 0.960 CRF100F、CB50、TL50、XE50/75(後期)、R&P
エイプ100 3.083 1.882 1.400 1.130 0.923 XR100R
CRF80F 2.692 1.823 1.400 1.130 0.960 XR80R
XE50/75(前期) 3.083 1.882 1.333 1.041

バイクのミッション,ギアレシオとクロスミッション

★縦型エンジン搭載車 エンジンスペックの比較

50cc 最高出力 最高トルク 圧縮比 ボア×ストローク(mm) キャブレター(口径)
XR50M 3.3ps/8000rpm 0.33kgm/5000rpm 9.2 42.0×35.6 14φ
エイプ50 3.7ps/8000rpm 0.37kgm/6000rpm 9.2 42.0×35.6 14φ
R&P 4.1ps/9000rpm 0.36kgm/7000rpm 9.5 42.0×35.6 15φ
TL50 4.2ps/9500rpm 0.36kgm/7500rpm 9.5 42.0×35.6 15φ
XE50 4.5ps/9000rpm 0.37kgm/8000rpm 9.5 42.0×35.6 15φ
CB50JX 6.3ps/1万500rpm 0.43kgm/8500rpm 9.5 42.0×35.6 18φ
51cc~90cc 最高出力 最高トルク 圧縮比 ボア×ストローク(mm) キャブレター(口径)
XE75 6.0ps/8000rpm 0.57kgm/6000rpm 9.0 48.0×41.4 15φ
XR80R 8.8ps/1万rpm 0.66kgm/9000rpm 9.7 47.5×45.0 20φ
CRF80F 8.8ps/1万rpm 0.66kgm/9000rpm 9.7 47.5×45.0 20φ
CB90JX 10.5ps/1万500rpm 0.76kgm/9000rpm 9.5 50.0×45.0 20φ
100cc 最高出力 最高トルク 圧縮比 ボア×ストローク(mm) キャブレター(口径)
XR100モタード 6.5ps/8000rpm 0.67kgm/6000rpm 9.4 53.0×45.0 16φ
エイプ100(08) 6.3ps/8000rpm 0.67kgm/6000rpm 9.4 53.0×45.0 16φ
エイプ100(初期型) 7.0ps/8000rpm 0.71kgm/6500rpm 9.4 53.0×45.0 16φ
XR100R 9.8ps/9000rpm 0.81kgm/7000rpm 9.4 53.0×45.0 22φ
CRF100F 9.8ps/9500rpm 0.81kgm/7000rpm 9.4 53.0×45.0 22φ

【縦型エンジン搭載マシンをチェック!】

→ カスタムに人気のエイプ100

→ 名車、CB50/90、XE50/75、XL50/80

→ モタードルックのXR50/100モタード

→ XR80/XR80R/XLR80R/CRF80F

→ モトクロスレーサー、XR100R/CRF100F

→ ワイドタイヤ採用のR&P

→ 縦型100cc搭載の4ミニレーサー、NSF100

3000台限定のスペシャルカラー

2002年1月に発売されたファイティングレッド×バーニッシュブルーのスペシャルカラー。3000台限定。価格は21万9000円(当時)。

全42タイプのカラーオーダープラン

2002年2月には「燃料タンクを7色」「フレームを3色」「フェンダー・サイドカバー・ヘッドライト周りのセットを2色」設定したカラーオーダープランを新採用。合計42タイプの組み合わせが可能。ホームページ上でシミュレーションが可能だった。価格は21万4000円(当時)。

デラックスタイプを追加

2003年1月に登場したデラックス。シックなブラックカラーのガソリンタンクには、ウイングマークを採用。ヘッドライトケース、ハンドル、トップブリッジにはメッキを、クランクケース、シリンダーヘッドカバー、フロントフォークボトムケースにはバフ掛けを実施。ホイールはシャンパンゴールドとして高級感を大幅にアップ。価格は20万9000円(当時)。

2004年1月には人気色のクラシカルホワイトに加え、鮮やかなリバーサイドブルーがラインナップ。スタンダードの価格は19万9000円(当時)。

2005年9月、「デラックス」のカラーリングを変更。ガソリンタンクとサイドカバーにストライプを施し、爽やかなイメージに仕上げている。デラックスの価格は22万5000円(当時)。スタンダードの価格は21万円(当時)。

2006年12月にスタンダード、デラックスのカラーが変更。スタンダードはクラシカルホワイト、ブラック、レッドの3色。デラックスはスポーティーなイメージのツートンを採用。スタンダードの価格は21万円(当時)。デラックスの価格は22万5750円(当時)。

吸気系はキャブレターからFIに変更

2007年12月、平成18年の新排ガス規制に合わせ、混合気を供給する吸気系をキャブレターからFI(フューエルインジェクション)に変更。また、マフラーのエキパイ部には、新たに触媒が採用された。 ブラック、ホワイト、オレンジのスタンダード、ツートンカラーのデラックスがラインナップ。エンジンの出力やトルクに変更はない。スタンダードの価格は26万2500円(当時)。デラックスの価格は27万8250円(当時)。

スタンダードのカラーは、人気のブラックとホワイト、そしてオレンジ(写真)の3色をスタンバイ。

●エイプ50のSPEC(2007年FIモデル) 

型式:JBH-AC16/全長:1710mm/全高:970mm/全幅:770mm/乾燥重量:84kg/燃料タンク容量:5.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:42mm×35.6mm/圧縮比:9.2/最大出力:3.7ps/8000rpm/最大トルク:0.37kgm/6500rpm/点火方式:フルトランジスタ/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後120/80-12 

CB750FOURをイメージした期間限定車

2008年1月に登場した受注期間限定モデル、「エイプ・50スペシャル」。往年の名車、CB750FOURをイメージしたキャンディーブレイズオレンジとストライプデザインを採用。クロームメッキヘッドライトカバー、クロームメッキハンドル、専用サイドカバーマークなど装備も充実。価格は27万8250円(当時)。

ディスクブレーキを採用したType Dが新登場

2008年11月、前後にXR50/100モタードやNSF100にも採用の、6本スポーク型アルミキャストホイールとディスクブレーキを装備した「エイプ・50 Type D」がリリース。制動力とカスタム度を大幅に向上させた。

ディスクローターのタイプは、前が片押し2ピストン型、後が対向2ピストン型。ディスクローター径のサイズは、前が220φ、後が160φ。グレーに塗装されたエンジン、ブラックに塗装されたフロントボトムケースとスイングアームもポイント。

重量はドラムブレーキ式(スタンダード)よりも2kg軽いのが特徴。エンジンはスタンダードと同じ。Type Dのボディカラーは2種類設定。価格は30万9750円(当時)。

スタンダード(ドラムブレーキ仕様)は2008年11月にカラーリングを変更。カラーは前モデルでも好評のブルー、ブラック、ホワイトの3色。スイングアームやフロントボトムケースはType D同様、ブラックカラーに変更されている。価格は26万2500円(当時)。

【縦型エンジン搭載マシンをチェック!】

→ カスタムに人気のエイプ100

→ 名車、CB50/90、XE50/75、XL50/80

→ モタードルックのXR50/100モタード

→ XR80/XR80R/XLR80R/CRF80F

→ モトクロスレーサー、XR100R/CRF100F

→ ワイドタイヤ採用のR&P

→ 縦型100cc搭載の4ミニレーサー、NSF100

 

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