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モンキーのドラム式ブレーキのシュー交換・メンテナンス

モンキーのドラム式ブレーキのシュー交換

ディスク式よりもシンプルな構造の「ドラム式ブレーキ」。ドラム式ブレーキの構造やしくみを見てみるとともに、各部の分解方法やメンテナンス方法、ブレーキシューの交換を実施してみます。

モンキーのドラム式ブレーキのブレーキシューは消耗品

ドラム式ブレーキの「ブレーキドラム」の中に水が浸入し、ブレーキシューの摩擦部の表面に水が付着。するとこれが膜となって、「滑り」の原因になります。

ローターやキャリパーが露出したディスク式に比べ、密閉されたドラム式は、「ブレーキドラム内に熱がこもりやすい」など、やや不安定な一面があります。

その一方で、ブレーキ周りが軽量かつシンプルに仕上がり、低コストながらストリートでは十分な制動力を発揮してくれるという長所もあります。

ブレーキドラムのブレーキシューは消耗品です。交換方法を見てみましょう。

バイクのドラムブレーキ – 長所は低コストで軽量。短所は…

モンキーのドラム式ブレーキの分解方法

写真のモンキー改のフロントブレーキはディスク式に変更済みですが、リアブレーキはノーマルのドラム式。リアのドラムブレーキを分解するには、リアホイールを「浮かせる」必要があります。今回は社外のセンタースタンドを使用しました。

リアタイヤを空転させ、ドライブチェーンのジョイント部分を捜索。ジョイント部分はクリップが固定されており、これをラジオペンチで取り外します。

ドライブチェーンは写真の3つのパーツで接続。クリップは弾き飛んで紛失しやすいので十分注意しましょう。

フット式ブレーキペダルの動きをリア用ドラムブレーキ本体に伝えるブレーキロッド。同パーツの後端には、リヤブレーキペダルの「遊び」を調整するための調整用ナットが固定。14mmのボックスを使い、このナットを取り外します。

調整用ナットを取り外すと、ブレーキロッドがフリーの状態になります。

14mmのメガネレンチと19mmのボックス&ラチェットレンチを使い、リアホイールを固定しているアクスルボルトを緩めます。

片方の手でリアタイヤを支えつつ、もう一方の手でアクスルボルトをゆっくりと引き抜きます。次にスイングアーム側の凸部に合致したドラムブレーキ側のパネルの凹部を後方にズラす要領で分離すれば、リアホイールは簡単に外れます。

ホイール組み付け時にアクスルボルトを挿入する場合は、アクスルボルトにグリスを塗布しておきましょう。

ドラム式ブレーキの中身

「ブレーキドラム」と呼ばれるブレーキシューが押し付けられる箇所。ブレーキシューとの摩擦により、ホイールの回転力を抑えるしくみです。ブレーキドラム内はブレーキシューのカスと水が混じり合って泥状になり、酷く汚れていました。

ブレーキクリーナー&ウエスを使って汚れを除去後、摩耗部に堆積していたブレーキシューのカスをペーパーで掃除。再度ブレーキクリーナー&ウエスで仕上げました。

ペーパー(紙やすり)でキレイに仕上げ作業

ペーパーで磨き作業中。汚れの度合いにより番手(目の粗さ)を変更してやること、また摩擦部に傷を付けないよう作業することがポイントです。

ブレーキシューのしくみ

ドラムブレーキパネルに固定されたブレーキシュー。ブレーキシューは半月板状になった2個が2本のスプリングで接続されています。

ブレーキシューは摩擦部の摩耗・硬化・劣化により、徐々に効きが甘くなってくる消耗部品。写真はノーマルですが、摩擦部の抵抗(μ)を上げて制動力アップを実現した社外品もあります。

「ドラムブレーキの効きが甘いなあ…」と感じた人は、早めに交換しましょう。

ブレーキOFFの状態

ブレーキが作動していないところ。この状態ではまだスプリングが縮まり、ブレーキシューも動いていません。

ブレーキONの状態

ブレーキアームが作動したところ。ブレーキシューの2つのスプリングが上下に伸び、ブレーキシューも上下に移動しています。

ドラム式ブレーキは、ブレーキシューの摩擦部がブレーキドラムに接触することで、ホイールの回転を抑えるというしくみです。

ドラム式ブレーキのしくみと構造

ブレーキシューの取り外し方法

ドラムブレーキパネルに固定されたブレーキシューを取り外します。今回は大きめのマイナスドライバーを使用。

まずはドラムブレーキパネルと片方のブレーキシューの間にマイナスドライバーを差し込み、ブレーキシューを持ち上げる要領で動かします。

テコの原理でマイナスドライバーを持ち上げると、片方のブレーキシューが上部に持ち上がります。

ブレーキシュー本体にセットされた2個のスプリングを押し広げるようにブレーキシューを外側へ引っ張ると、ドラムブレーキパネルからブレーキシューが「カパ」っと外れます。

ブレーキドラム同様、ドラムブレーキパネルもブレーキシューのカスで酷く汚れています。ブレーキシューを再装着する前に、ブレーキクリーナーとウエスを使ってキレイに掃除します。

ブレーキシューの摩擦部分。ドラム式ブレーキは、ココがブレーキドラム内に接触します。この「摩擦抵抗」により、ホイールの回転力を抑制するしくみです。

もしもブレーキドラム内に水が浸入して摩耗部分の表面に水が付着した場合、この水が薄い膜となってブレーキが滑る(効きが悪くなる)可能性があります(水がはければ、元通りブレーキは復活します)。

ブレーキシューの取り付け方法

ドラムブレーキパネルにブレーキシューを取り付けます。力自慢であれば、両手でブレーキシューを持ち、左右にギュー!っと広げながらドラムブレーキパネルに設置すればOK。そうでない人は…

ラジオペンチで片方のスプリングを外しておいた後、矢印側のブレーキシューをブレーキアームに噛ませます。

ラジオペンチを使い、外しておいたブレーキシューのスプリングを確実に引っ掛けます。

ブレーキシューの反対側にあるブレーキアームを動かして、「ブレーキシューは正常に動くか」「各部は確実に取り付けられているか」をよく確認します。

ドラムブレーキパネルにブレーキシューをセットしたら、ドラムブレーキパネル&ブレーキシューをブレーキドラム側にドッキング。セットしたらドラムブレーキパネル側にあるブレーキアームをONにして、「ブレーキは確実に効いているか?」をしっかりと確認します。

スイングアーム側の凸部にドラムブレーキパネルの凹部を合致させ、片方の手でリアタイヤを固定。

もう一方の手で、グリスを塗布したアクスルボルトをゆっくりと挿入し、ナットを仮締めします。

社外スイングアーム等、スプロケット側にカラーが入る場合は、装着忘れに注意しましょう。

フット式ブレーキペダルの動きをリア用ドラムブレーキ本体に伝えるブレーキロッドの調整用ナットを仮止め。チェーン張り調整が終わったら、14mmのボックス&ラチェットレンチで最終調整します。

ドライブチェーン接続時の注意点

ドライブチェーンを接続するチェーンクリップは、ラジオペンチを使って固定します。チェーンクリップは必ず「切り欠き側(ハメ込む側)が、チェーンの進行方向とは逆」になるよう注意。もしも「切り欠き側(ハメ込む側)が、チェーンの進行方向」になった場合、走行中にチェーンが外れてしまいます。

スイングアームの両側にあるアジャスター機能を使い、「チェーンの引き」を調整。アジャスター機能は「ホイールを真っ直ぐに調整するための機能」でもあります。左右の目盛りを同じ箇所に合わせるのが基本です。

「チェーンの引き」はチェーンの「たるみ」を調整するためのもの。チェーンはピン!っと張りすぎてもダラ~ンと緩みすぎてもダメ。今回はまず、30mmにセット。テスト走行中に「もう少し張った方がいいなあ」と感じたため、20mmまで張ってみました。

チェーンやリアタイヤは「フレームと一直線」であること(チェーンラインを出すという)。またチェーンは「フロントスプロケットからリヤスプロケットまで真っ直ぐ」であることが基本です。

もしも真っ直ぐでない場合は、スイングアームの両方にあるチェーンアジャスターの位置が異なっている、

リアスプロケットの表裏を間違えている(12Vノーマルの場合は水平面をハブ側に、6Vノーマルの場合は凹面をハブ側に装着)可能性があります。

チェーンの張りとラインがOKであれば、アクスルシャフトのナットを規定トルクまで本締めします。

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