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キャブレターの油面を調整 – ヨシムラミクニTM-MJN編

ヨシムラミクニTM-MJNキャブレターの油面を調整

「サイドスタンドを使って停めていたバイクを直立させると、キャブレターからガソリンがジョ~っと漏れてしまう」という場合は、キャブレターの油面を調整する必要があります。人気の4スト用キャブレター、ヨシムラミクニTM-MJN24キャブレターを使い、実際に油面のセッティングを行ってみましょう。

キャブレターからガソリンの漏れてしまう。その原因は?

この12Vモンキー改に装着されたキャブレターはヨシムラミクニTM-MJNφ24。フロートチャンバーボディー(ガソリンを溜めておく場所。フロート室とも呼ばれる)やエンジンのクランクケース上部には、ガソリンが漏れて乾いた茶色い汚れがあります。

エンジン停止後にサイドスタンドを立て、再びバイクを直立させるとキャブレターからガソリンが若干量ながら漏れるという現象が起こるのですが、その原因はどこにあるのでしょう?

まずはキャブレターを取り外す!

ヨシムラミクニTM-MJNφ24キャブレターをエンジン側から取り外します。まずはマイナスドライバーを使い、エアフィルターをつなぐバンドを緩めます。緩めたら、エアフィルターを引き抜きます。写真のエアフィルターは雨天走行を想定し、金属製のワンオフカバーを被せています。

ガソリンタンクからキャブレターにガソリンを送り込むためのフューエルホース(燃料供給用ホース)を取り外します。今回はガソリンタンクに取り付けられたガソリンコック側のフューエルホースを取り外します。

マイナスドライバーを使い、キャブレターとゴム製のラバーマニホールドをつなぐバンドを緩めます。

バンドを緩めたら、引き抜く要領でキャブレター本体を取り外します。

キャブレター本体を取り外したら、今度はスロットルワイヤーが接続されたトップカバー(赤色)の固定用六角ボルト2本を緩めます。

トップカバー(赤色)を取り外すと、スロットルやスロットルバルブの動きを制御するスプリングが姿を現します。

赤いトップカバーを引っ張ると、スロットルワイヤーに接続されたスロットルバルブ周りがすべてスッポリと取り外せます。

エンジン側から分離されたヨシムラミクニTM-MJN24キャブレター。中身を細かくチェックする前に、キャブレター内のガソリンを抜き、キャブクリーナーを使って各部の汚れをしっかりと洗浄します。

写真左は四方の4本の六角ボルトを緩め、フロートチャンバーボディー(ガソリンを溜めておく場所。フロート室とも呼ばれる)を取り外したところ。右側に置かれたフロートチャンバーボディー内はガソリンで満たされています。フロートチャンバーボディーの底に設置されたボルトを緩めれば(写真右)、フロートチャンバーボディー内のガソリンを抜くことも可能です。

キャブクリーナーを使い、外側と内側の汚れをキレイに落とします。キャブクリーナーは頑固な油汚れも除去してくれるのがポイント。「キャブクリーナー」と「パーツクリーナー」の違いは下記を参照して下さい。

キャブクリーナーとウエスでキレイになったヨシムラミクニTM-MJN24キャブレター。油面調整の下準備はバッチリです。

STEP・1 フロート周りを取り外す

フロートを固定している細いシャフト(丸棒)を右側に寄せ、フロート本体を取り外します。フロートとは「浮き」のことで、フロート室に溜まるガソリン量を調整するためのものです。一定量のガソリンが溜まると、フロートが浮いてガソリンの供給をストップ。原理は水洗トイレの水タンクと同じです。

手に持っている小さな部品(写真左)は、ガソリン流入口(写真右)に挿入される「ニードルバルブ」と呼ばれるパーツ(写真左はガソリン流入口から抜き取ったところ)。ガソリン流入によってフロートが満たされ、フロートが浮く→ ニードルバルブがフロートとともに上昇→ ガソリン流入口がニードルバルブの上昇によって塞がれ、ガソリンの流入をストップするしくみです。

STEP・2 フロートに破損はないか?

まずはフロートに破損がないかを目視でチェック。次にフロートチャンバーボディー内を水で満たし、フロートを浮かべてみます。指でフロートを沈めてみて、水面にポッカリと浮くことが確認できればOKです。

STEP・3 フロートは正常に動くか?

フロート周りを組み込んだところ。もしも汚れ等が原因でフロートの上下の動きが固着してしまった場合、「ガソリンが供給されない」、もしくは「ガソリンの供給過多によりキャブレターからガソリンが漏れ続ける」等のトラブルが発生します。写真&下記が正常なフロートの動きです。

●写真左はフロートが100%沈んだ状態。つまりフロート室内にガソリンがまったく無い状態=ニードルバルブが下降し、ガソリン流入口が開放されてガソリンが流れ込んできます。

●写真右はフロートがガソリンの中で100%浮いた状態。つまりフロート室内にガソリンが目一杯満たされた状態=ニードルバルブが上昇し、ガソリン流入口が完全に塞がれてガソリンの流れがストップします。

燃料を外に排出するしくみ

もしもフロートチャンバーボディー(フロート室)内に満たされたガソリンがフロートチャンバーボディー内にある管を超えたら、矢印のルートを通って外に排出されます。

STEP・4 フロート位置(油面)の調整方法

油面の調整とは、フロートチャンバーボディー内に満たされるガソリン量を調整すること。フロート本体の中央部にある金具の凸部を、上部もしくは下部(矢印の各方向)に曲げて調節します。凸部の位置を調整することで、フロートの“上昇限界点”が変更でき、油面の位置が変更できるというわけです。

キャブレターからガソリンが漏れてしまう原因の多くが、油面の高すぎ。この場合、一般的にプラグがかぶるなど、“ガソリンが濃すぎる”という現象が現れるのが特徴。逆に油面が低すぎると、ガソリンが薄くなる傾向にあります。

キャブレターからのガソリン漏れは、フロートチャンバーボディーとキャブ本体の接続部に挟まれているパッキン(写真)の劣化、もしくは振動による接続ボルトの緩みも原因となる場合があります。

作業に使用した工具とケミカル

今回の作業に使用したのは、マイナスドライバー、六角レンチ、ラジオペンチ、キャブクリーナー、パーツクリーナー。

キャブクリーナーとパーツクリーナーの違いとは?

一般的にキャブクリーナーは、パーツクリーナーでは落とせない頑固な汚れを溶かしてしまう高い洗浄・溶解作用を持っているのがポイント。今回使用したキャブクリーナーの主成分はメチルエチルケトン(MEK)・トルエン・キシレン・アルコール。一方、パーツクリーナーは石油系溶剤が主成分。パーツクリーナーよりもキャブクリーナーの価格は高めです。

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