排気量やチューニング度に応じたキャブ選びを!
ガソリンと空気を混ぜて混合気を作り出すキャブレター。キャブレターのタイプや口径の違いによって、モンキーやエイプのエンジン特性も大きく違ってくるのがポイント。セッティングの調整、味のある吸気音、外観とのバランスの考慮等、キャブレターにはエンジンチューニングの楽しさが目一杯詰まっている。
豊富な形式・口径のタイプがラインアップされている4ストミニ用のキャブレター。ストリートに適したモデルから生粋のレーシングモデルまで多種多様。4ストミニ用キャブは、まさに選び放題といえよう。
ただしすべてのキャブレターが、どんなタイプのエンジンにでも適合するわけではない。
キャブレターの役割である「混合気の製造」は、極めて繊細で高度な仕事。仮にノーマル50ccのエンジンに28φの大口径キャブを選択しても、エンジン本来の性能を発揮することはまずない。ポン付けでは、まずまともに走らないだろう。
キャブレターはとにかく神経質で繊細なパーツ。排気量やチューニング度合いに応じたモデルを選択することが大切だ。
多くの場合、チューニング用エンジンキットには各メーカーが推奨するキャブレターが記載されている。セッティングの出しやすさも考慮し、ビギナーは推奨のキャブをセレクトすることをお勧めしたい。写真はケーヒンPE24φ。
キャブレターの各部の名称
<1> トップカバー
スロットルバルブが収められているスロットルボディーのカバー。このカバーを取り外せばスロットルバルブが脱着できる。
<2> スロットルワイヤー
スロットルとスロットルバルブをつなぐワイヤー。ワイヤーが上下すればピストンバルブも上下する。
<3> スロットルボディー
キャブレターの本体部分。
<4> スロットルバルブ
スロットルワイヤーにつながった部分。スロットルバルブの上下によって空気を吸入する通路の径(<5>ベンチュリー)が変化する。
<5> ベンチュリー
空気の通路を狭く、絞った部分。 <6>フロートチャンバーボディー ガソリンを貯めておく部分。
<6> フロートチャンバーボディー
ガソリンを貯めておく部分。
キャブレターの動き
キャブレターは空気とガソリンを混ぜ合わせ、混合気を作るパーツ。
空気とガソリンの比率を「空燃比」と呼び、
低中回転域…ガソリン1:空気14.5
高回転域…ガソリン1:空気12~13
以上が一般的な理想の空燃比とされる。
負圧によって混合気がエンジン内に吸入
<1> 爆発の衝撃でエンジンのピストンが下降すると、エンジン側に空気が移動。つまり「負圧」の力が発生する。
<2> 空気とガソリンが混じり合い、混合気となる。混合気は負圧によってエンジン内に吸い込まれる。
<3> アクセルを開けるとスロットルバルブが上昇。さらに空気が吸い込まれると同時に、スロットルバルブに接続された紫色の針(ジェットニードル)も上昇。爆発力の高い大量の混合気がエンジン内に送り込まれる。
キャブレターのセッティング変更用パーツ
キャブレターのセッティングを変更するには<1>~<5>のパーツを変更、もしくは位置変更を行う。
<1> メインジェット
ガソリンの通路を設けたガソリンを供給するパーツ。中央には小さな通路穴が開いている。穴の径が異なるタイプに交換し、エンジンのセッティングを煮詰めてゆく。キャブセッティング変更の要となる部品のひとつ。
<2> ジェットニードル
スロットルバルブに直結したテーパー状のパーツ。<3> ニードルジェットとのすき間からガソリンを供給。テーパー形状によって特性は変化する。
<3> ニードルジェット
ガソリンの通路。<2>ジェットニードルの上下運動によって、ガソリン供給路の幅が調整される。下側には1メインジェットが接続。
<4> スロージェット
パイロットジェットとも呼ばれる。メインジェットが接続されたメイン通路とは別に、もうひとつ設けられた通路に接続。スロットルがあまり開いていない状態の時にガソリンを供給。通路穴の径を変更することで、ガソリンの供給量は調整される。
<5> ジェットニードルクリップ
クリップの位置を上下することでジェットニードルの高さを変更。ガソリンの供給量を調整する。クリップを下げればニードルは上がりガソリンは濃くなり、クリップを上げればニードルは下がりガソリンは薄くなる。
調整用パーツとスロットル開度
ガソリンの量を司る<1>~<5>には、スロットル開度によって“受け持ち”がある。
アイドリング時~スロットル開け始めの1/8程度は<4>スロージェットで調整する。
中速域のスロットル開度1/8~3/4付近は<5>ジェットニードルクリップの高さを調整。またジェットニードルのテーパー形状を変更することでもセッティングは変わってくるが、こちらは上級者向けとなる。
スロットル開度1/2~全開域はキャブセッティングの要となる<1>メインジェットで調整。なお各パーツの受け持ちにはオーバーラップしている領域もあるため、セッティングはそれぞれのバランスも重要になってくることをお忘れなく。
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