エイプ50登場から1年後の2002年(平成14年)、兄貴分のエイプ100が発売。以来、ストリートからレースまで、幅広いユーザー層からの人気を獲得。2008年(平成20年)には、エイプ50同様、前後ディスク化&アルミキャストホイールによって足回りを強化したType Dもリリースされた。
パワフルなXR100R系縦型エンジンを搭載
2001年(平成13年)にエイプ50が発売。翌年の2002年(平成14年)、二人乗り走行も可能なダブルシートやタンデムステップ、パワフルな100ccエンジン搭載のエイプ100が新登場した。 エンジンはオフロードレース専用モデル、XR100Rがベース(ただし、パワーはXR100R用の9.8psから7.0psにダウン)。足回りは弟分のエイプ50をベースに、スイングアームなどが強化されている。
キャブレター仕様のエイプ50同様、簡素化のためバッテリーは搭載されていない(ただし社外バッテリーキットの装着により、バッテリー搭載型にすることも可能)。
エイプ100とエイプ50の外観上の大きな違い
1) 排気量の大きい100は、シリンダーヘッドの位置が50よりも高い。
2) 100はシートレールを延長してダブルシートを、またステーを追加してタンデム用ステップを装備。
3) パワフルかつ二人乗り用に設計された100のスイングアームとアクスルシャフトは、50よりも太くて頑丈なタイプを採用。また、ホイールベースも5mm延長(50は1185mm、100は1190mm)。
4) 強度を高めるため、100用のリヤホイールは窓(穴)が塞がれている。
エイプ100にエイプ50用社外パーツは装着できるのか?
商品に「50/100共用」と明記してあれば装着可能。特に外装パーツは純正パーツも共通であることが多いため、50/100共用である場合が比較的多い。足周りパーツも比較的共通。ただしマフラーは50/100共用が多い一方、商品によっては50専用・100専用に差別化されていることもある。
注意したいのが、ボアアップキットなどのエンジン用パーツ。50と100は排気量やストロークだけでなく、クランクシャフトやクランクケースの細部のつくりなどが微妙に異なる。そのため、50用エンジンに100用エンジンパーツは取り付け不可の場合がほとんど。エイプ用パーツを購入する際は、必ず50/100共用なのか、50専用なのか、100専用なのかをよく確認しよう。
インシュレーターを抜いてパワーアップ
エイプ100のキャブレター接続口(マニホールド側)に装着されている、パワーを抑制するための半月形の孔の開いたインシュレーター。これを外してパワーアップさせる0円チューニングは、エイプ100カスタムの定番中の定番。ただし、この手法はエイプ100のみに適合。エイプ50には適合しないので要注意。
エイプ100とXR100モタード、インシュレーターの違い
写真左がエイプ100用インシュレーター、写真右がXR100モタード用インシュレーター。XR100モタード用は半月孔の上部に小さな穴が設けられている。両車のキャブレターセッティングの微妙な違いが分かる一コマ。
2002年モデル
2002年(平成14年)登場の初期型には、エイプ50にも採用のカラーオーダープランを設定。「フューエルタンク7色」「フレーム3色」「フェンダー・サイドカバー・ヘッドライトカバーの組合せ2色」からセレクト可能だった。
●エイプ100のSPEC(2002年モデル)
型式:BC-HC07/全長:1715mm/全高:970mm/全幅:770mm/乾燥重量:82kg/燃料タンク容量:5.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒99.2cc/ボア×ストローク:53mm×45.0mm/圧縮比:9.4/最大出力:7.0ps/8000rpm/最大トルク:0.71kgm/6500rpm/点火方式:CDI/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後120/80-12/価格(当時):24万9000円<カラーオーダープランは26万4000円> |
★縦型エンジン搭載車の変速比の比較
1速 | 2速 | 3速 | 4速 | 5速 | 共通車両 | |
---|---|---|---|---|---|---|
エイプ50 | 3.083 | 1.882 | 1.400 | 1.130 | 0.960 | CRF100F、CB50、TL50、XE50/75(後期)、R&P |
エイプ100 | 3.083 | 1.882 | 1.400 | 1.130 | 0.923 | XR100R |
CRF80F | 2.692 | 1.823 | 1.400 | 1.130 | 0.960 | XR80R |
XE50/75(前期) | 3.083 | 1.882 | 1.333 | 1.041 | × |
★縦型エンジン搭載車 エンジンスペックの比較
50cc | 最高出力 | 最高トルク | 圧縮比 | ボア×ストローク(mm) | キャブレター(口径) |
---|---|---|---|---|---|
XR50モタード | 3.3ps/8000rpm | 0.33kgm/5000rpm | 9.2 | 42.0×35.6 | 14φ |
エイプ50 | 3.7ps/8000rpm | 0.37kgm/6000rpm | 9.2 | 42.0×35.6 | 14φ |
R&P(50cc) | 4.1ps/9000rpm | 0.36kgm/7000rpm | 9.5 | 42.0×35.6 | 15φ |
TL50 | 4.2ps/9500rpm | 0.36kgm/7500rpm | 9.5 | 42.0×35.6 | 15φ |
XE50 | 4.5ps/9000rpm | 0.37kgm/8000rpm | 9.5 | 42.0×35.6 | 15φ |
CB50JX | 6.3ps/1万500rpm | 0.43kgm/8500rpm | 9.5 | 42.0×35.6 | 18φ |
51cc~90cc | 最高出力 | 最高トルク | 圧縮比 | ボア×ストローク(mm) | キャブレター(口径) |
---|---|---|---|---|---|
XE75 | 6.0ps/8000rpm | 0.57kgm/6000rpm | 9.0 | 48.0×41.4 | 15φ |
XR80R | 8.8ps/1万rpm | 0.66kgm/9000rpm | 9.7 | 47.5×45.0 | 20φ |
CRF80F | 8.8ps/1万rpm | 0.66kgm/9000rpm | 9.7 | 47.5×45.0 | 20φ |
CB90JX | 10.5ps/1万500rpm | 0.76kgm/9000rpm | 9.5 | 50.0×45.0 | 20φ |
100cc | 最高出力 | 最高トルク | 圧縮比 | ボア×ストローク(mm) | キャブレター(口径) |
---|---|---|---|---|---|
XR100モタード | 6.5ps/8000rpm | 0.67kgm/6000rpm | 9.4 | 53.0×45.0 | 16φ |
エイプ100(08) | 6.3ps/8000rpm | 0.67kgm/6000rpm | 9.4 | 53.0×45.0 | 16φ |
エイプ100(初期型) | 7.0ps/8000rpm | 0.71kgm/6500rpm | 9.4 | 53.0×45.0 | 16φ |
XR100R | 9.8ps/9000rpm | 0.81kgm/7000rpm | 9.4 | 53.0×45.0 | 22φ |
CRF100F | 9.8ps/9500rpm | 0.81kgm/7000rpm | 9.4 | 53.0×45.0 | 22φ |
【上記マシンをチェックしよう!】
2003年モデル・高級感溢れるゼイタクなデラックス
2003年(平成15年)に登場のエイプ・100デラックス。精悍なブラックカラーのガソリンタンクには、ウイングマークロゴを採用。ヘッドライト、ハンドル、トップブリッジにはメッキを、クランクケース、シリンダーヘッドカバー、フロントフォークボトムケースにはバフ掛けを、ホイールはシャンパンゴールドとするなど、高級感を大幅にアップ。当時の価格25万9000円。
2004年モデル
2004年(平成16年)、スタンダードのカラーリングを追加。人気のクラシカルホワイトに加え、リバーサイドブルーがラインナップ。当時の価格24万9000円。
2005年モデル
2005年(平成17年)にリリースされたホワイトベースとブラックベースの2種類のデラックス。当時の価格27万3000円。
2006年モデル
2006年(平成18年)に登場したツートンカラーのデラックス2種類。当時の価格27万8250円。
2006年(平成18年)に登場のスタンダード2種類。ホワイトに加え、レッドとブラックをラインナップ。当時の価格26万2500円。
2008年モデル
2008年(平成20年)1月にリリースされたエイプ・100スペシャル。往年の名車、CB750FOURを彷彿させるカラーリング、メッキヘッドライトケース、パイピングシート、ゴールドカラーホイールなど、ゴージャスな雰囲気を演出。当時の価格29万4000円。
2008年(平成20年)1月にはスペシャルとともに、新しいデラックスも登場。ガソリンタンクとサイドカバーには、ストライプを採用。クラシカルなイメージの、デジタルシルバーメタリック、インディーグレーメタリック、グラファイトブラックの3色を設定。前後ホイールはゴールドカラーに塗装されている。当時の価格28万3500円。
新排ガス規制をクリアしたニューモデル
2008年(平成20年)9月には、平成19年の新排ガス規制適合モデルが新登場。エイプ50はFI化されたが、エイプ100はキャブレターのまま排ガス規制をクリア。キャブレターセッティングの最適化を図り、より適正な混合気の供給を実現。排気ガスを浄化する触媒装置(キャタライザー)をエキゾーストパイプ内に2個採用しているのもポイント。パワーは7.0psから6.3psにダウン。カラーはファイティングレッドの他、シャスタホワイトもラインナップ。サイドカバーはどちらもブラック。当時の価格31万3950円。
ディスクブレーキ採用のType Dが新登場
2008年(平成20年)9月、排ガス規制クリアするとともに、前後にXR50/100モタードやNSF100にも採用の6本スポーク型アルミキャストホイールとディスクブレーキを装備した「エイプ・100 Type D」がニューリリース。 制動力とカスタム度を大幅に向上させた。
ディスクキャリパーは、前が片押し2ピストン型、後が対向2ピストン型。ディスクローター径のサイズは、前が220φ、後が160φ。グレーに塗装されたエンジン、ブラックに塗装されたフロントボトムケースとスイングアームもポイント。
ディスクブレーキ式の重量は、ドラムブレーキ式(スタンダード)よりも2kg軽い。エンジンはドラムブレーキ仕様と同じ。
カラーはブラックベースとホワイトベースの3種類を設定。当時の価格36万6450円。
●エイプ100のSPEC(2008年モデル・カッコ内はType D)
型式:EBJ-HC07(EBJ-HC13)/全長:1715mm/全高:970mm/全幅:770mm(780mm)/重量:90kg(88kg)/燃料タンク容量:5.5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/ボア×ストローク:53mm×45.0mm/圧縮比:9.4/最大出力:6.3ps/8000rpm/最大トルク:0.67kgm/6000rpm/点火方式:CDI/変速機:5速リターン/クラッチ:手動式/タイヤサイズ:前後120/80-12 |
【縦型エンジン搭載マシンをチェックしよう!】