4ストミニのエンジンチューニングの真髄とも呼ぶべきDOHC4バルブ化。カムシャフトを2個備えた高性能なモンキーやエイプのDOHCエンジンを、OHCエンジンと比較しながら詳しく見てみよう。
DOHC4バルブエンジンの特徴
DOHCは「ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト」の略。カムシャフトがシリンダーヘッド内に2個装備されていることから”ツインカム”とも呼ばれる。ミニバイクに多用されるOHC2バルブエンジンとの大きな違いは、
1 一般的にシリンダーヘッドのサイズが大きい
2 OHCよりも構造が複雑
3 吸気バルブ2本、排気バルブ2本を備えているため、吸排気効率が良い
ロッカーアームのないDOHC4バルブ
OHCはロッカーアームを介して吸排気バルブを動作。高回転になればロッカーアームやバルブに慣性力がかかり、バルブの開閉タイミングがズレてしまう場合がある。
一方、ロッカーアームを介さず、カムシャフトがダイレクトに吸排気バルブを開閉するDOHCエンジンは、開閉タイミングがズレにくく、高回転でも正確なタイミングでバルブを開閉してくれるのが特徴。
DOHC4バルブエンジンのシリンダーヘッドカバーを外したところ。上部にカムシャフトが2本収まっている。写真は12Vモンキー用。
シリンダーヘッド内に装備されているDOHC4バルブ用のカムシャフト。
DOHC4バルブ用の燃焼室部とピストン。燃焼室には吸気バルブ2本、排気バルブ2本を配置。ピストンヘッド部には、バルブリセス(バルブとピストンの接触を防ぐ逃げ)が4つ刻まれている。
1962年(昭和37年)に登場した市販レーサー、CR110カブレーシング。50ccのワークスレーサー、RC110の技術をフィードバックして製作。
同車に搭載のDOHC4バルブ50ccエンジンは、その細かさゆえ「精密機械」と呼ばれた。現在でもファンは多い。→ 伝説の名車、CR110カブレーシング
CR110カブレーシングのDOHC4バルブ50ccエンジン。パワーは8.5ps/1万3500rpm、最高速は130km/hオーバー(ともに市販レーサー版)を誇った。→ 伝説の名車、CR110カブレーシング
1997年(平成9年)には、CR110カブレーシングの復刻版として、高回転までスムーズに回るDOHC4バルブ50ccエンジン搭載のドリーム50がリリース。→ CR110が蘇った!ドリーム50
エイプ用の縦型OHC2バルブエンジン。DOHC4バルブエンジンよりもコンパクト、軽量、構造が簡単なのが特徴。
写真左はカムシャフトとロッカーアームを取り外した状態の縦型OHC2バルブのシリンダーヘッド部。写真右はカムシャフトとロッカーアームを組み付けた状態の横型OHC2バルブのシリンダーヘッド部。
OHC2バルブエンジンの燃焼室とピストン。吸気バルブ1本、排気バルブ1本を装備。ピストンヘッド部のバルブリセス(バルブとピストンの接触を防ぐ逃げ)は2つ。
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