モンキーの「腰上」と呼ばれるシリンダーヘッド、シリンダー、ピストンを分解してみよう
「エンジンの分解や組み付けは、何だか難しそう…」というビギナーさんへ。そんなことはありません。モンキーやエイプのエンジン構造は、とってもシンプル。コツさえつかめば楽しく作業できます。ここでは12Vモンキー用のチューニングエンジンを例に、その構造を要チェック。まずは「腰上」と呼ばれるシリンダーヘッド、シリンダー、ピストンを分解してみましょう!
モンキー用エンジンの腰上とは?
スパークプラグ側のカバーボルトを緩め、次にタコメーター用の社外ギヤボックスを取り外す。ちなみにノーマルには通常、ギヤボックスの代わりにヘッドサイドカバーがセットされている。
腰上の分解方法
スパークプラグを取り外す。スパークプラグは取り外し用の専用工具を使用。社外シリンダーヘッドの中には、この専用工具が付属している場合もある。なお緊急時はメガネレンチを使用する。
シリンダーヘッド及びシリンダーの取り付けボルト(赤○)を取り外す。
写真のエンジンは六角レンチで取り外すが、六角ボルトが採用されたノーマルエンジンはスパナを使用。ボルトがナメやすい箇所なので十分注意すること。
4本のシリンダーヘッドカバー取り付けナットを均等に緩める。
写真は4つの取り付けナットを取り外したところ。
矢印の1箇所のみ、銅ワッシャーが採用されている(スタッドボルト部分がオイルラインとなっているため)。
ワッシャーの位置を間違えるとオイル漏れが発生するので、組み付け時は間違わないように。
フライホイールのTマークとクランクケース側の切り欠き、カムスプロケットの○マークとクランクケース側の切り欠き(ともに赤○)を合致させる。
次にカムスプロケットが動かないよう、フライホイールを手で押さえながら固定ボルト(黄○)を緩める。
腰上の分解はココがポイント!
細めのマイナスドライバーを使い、カムシャフトからカムスプロケットを取り外す。
シリンダーヘッド固定ボルトを外し(矢印)、シリンダーヘッドをゆっくりと抜いていく。
取り外したシリンダーヘッド。
フライホイールのT字マークとクランクケースの切り欠き、カムスプロケットの○印とシリンダーヘッドの切り欠き(ともに上記の赤○)を合わせた状態でシリンダーヘッドを取り外せば、カムシャフトがスッポリと抜ける(カム山が下に向くため)。
シリンダーヘッドとシリンダーの間にはヘッドガスケットが挟まれている。
なおOリングも2箇所設置(矢印)。紛失に注意しよう。
シリンダー横の固定ボルト(矢印)を緩め、カムチェーンガイドローラーを取り外す。
慎重にシリンダーを取り外す。フライホイールを少し回し、シリンダーからピストンを抜き取るようにすれば作業しやすい。
取り外したシリンダー。シリンダー下部にはノックピンが2本ある(矢印)。紛失や組み忘れに注意しよう。
ラジオペンチを使い、片方のピストンクリップを取り外す。
脱着時に力を入れすぎるとクリップが折れ曲がってしまうことがあるので要注意。
またピストンクリップは脱着時に弾け飛び、紛失しやすいので注意しよう。
取り外したピストンは、ココをよーく確認!
取り外したピストン。
1. ピストンのヘッド部分に損傷はないか?
2. ピストンのスカート部などに激しい擦り傷はないか?
3. ピストンリングがピストン本体に固着していないか?
以上を確認。
ひとつでも当てはまっていれば、基本的にピストン交換。
加えてシリンダーの内径部やシリンダーヘッドの燃焼室周りに損傷はないかを確認しておこう。
これで腰上パーツはスタッドボルトのみとなった。
腰上の分解・組み付けは、フレームにエンジンを載せたままでもOK(ただしフロントタイヤの空気を抜く。またシリンダーヘッドの種類によってはフロントホイールを取り外す、フロント周りを取り外す等の作業が必要)。ぜひ挑戦してみよう!
次なるステップ →腰上パーツの組み付け
前の作業に戻る →エンジンの積み降ろしに挑戦