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シリンダー内で上下運動を繰り返すエンジンの“ピストン”とは?

シリンダー内で上下運動を繰り返すエンジンのピストン

ピストンとはシリンダーの中で上下運動する円筒状のパーツ。ピストン径とシリンダー径を拡大することで爆発力が増大してパワーもアップするのが特徴。モンキーやエイプなどの4ミニ用ピストンには、ヘッド部分が盛り上がった高圧縮型もラインアップされている。

ピストンは爆発力を受け止める要

シリンダーの筒の中で上下運動を繰り返すピストン。市販のボアアップキットの場合、シリンダーとセットになって発売されている場合がほとんど。

→ 高性能シリンダーの違いはココ

ピストンは下降して物を吸い込む力、つまり負圧を発生させてシリンダー内に混合気を吸い込み、上昇することによって混合気を圧縮。圧縮された混合気は、点火プラグによって着火されて爆発。爆発の力はピストンの頭に直接加わり、再びピストンを押し下げる。以上の工程を繰り返す。

→ エンジン内でのピストンの動き

ノーマルよりも強いパワーを生み出すその訳とは?

ノーマルよりもシリンダーの内径とピストン径を広げるとどうなるのか?
シリンダー内により多くのパワーの源、混合気が吸い込まれ、圧縮・着火。その結果、ノーマル以上の爆発力=パワーを生み出すというわけだ。

ピストンには径を拡大したボアアップ用のほか、ノーマルと同径ながらピストンの頭の形状を変更したチューニング用も市販されている。このタイプの多くは、ピストンヘッドが盛り上がった「高圧縮型」のもの。ノーマルと同排気量ながら、ノーマルを凌ぐパワーアップを獲得しているのがポイントだ。

→ 圧縮比を上げるパワーアップ術

ノーマルエンジン用ピストン

写真上は12Vモンキーのノーマル用。ピストン径は39mm。

性能よりも燃費や扱いやすさを重視したノーマルのピストン。頭部はやや凹形状に設計されているのが特徴。頭頂部に刻まれた2つの溝は、ピストン最上昇時に吸気バルブと排気バルブの接触を防ぐ「バルブリセス」。

ボアアップ用54mmピストン

写真上は12Vモンキー用社外製54mmピストン。ノーマルとは違い、頭部はやや盛り上がっている。軽量化のため、スカート部を短くし、大胆な肉抜き処理を実施しているのも特徴。これにより上下運動がスムーズになりレスポンスが向上する、油膜を保持する性能がアップする等のメリットがある。

高圧縮型ピストン

ピストンの頭が山のように盛り上がった高圧縮型のピストン。ボアアップ用とノーマル排気量用がある。圧縮比を上げるこのピストンは、頭部を盛り上げることで混合気をより圧縮し、爆発力がアップ。風船は、押し潰すほどに破裂する力が強くなる。高圧縮型ピストンは、これと同じ原理だ。

フラット型ピストン

ピストンの頭が平らになったタイプ。このタイプは街乗り用からレース用まで幅広く採用。

頭部にある2つの削り跡は、ピストンが上死点(もっとも高い位置に到達した状態)に達した時、開いた吸気バルブフェイス及び排気バルブフェイスの接触を防ぐ「バルブリセス」と呼ばれる“バルブ逃がし”の部分。

超薄型ピストン

写真右はSP武川製の12Vモンキー用超薄型&オフセットピストン「57φスカットピストン」。スカート部を省くとともに、オフセットした同タイプは、ピストン最下降時にもスカート部がクランクケースに接触しないのが大きな特徴。

(通常、12Vモンキーのボアは53mmを超えると、ピストン最下降時、スカート部がクランクケースに接触。そのため切削加工が必要)。

つまり、ノーマルクランク(41.4mm)のまま排気量106ccにボアアップが可能となる。ちなみに写真左は同社の88cc用52φスタンダード。両者の薄さの違いがよく分かる一コマ。

ピストンの組み付け作業

ピストンリングの折れや破損に注意しながら、ピストンリングをピストン本体に組み付ける。装着後は、付属の説明書通りにピストンリングの合わせ面を設定する。

クランクシャフトのコンロッド部にピストンをセットし、ピストンピンを挿入する。

ピストンの溝にピストンクリップをセット。取り付けには細めのマイナスドライバーとラジオペンチを使用する。

【シリンダーヘッドの関連ページ】
→ 高性能シリンダーヘッドの構造
→ 圧縮比を上げるパワーアップ術

【シリンダー/ピストンの関連ページ】
→ 高性能シリンダーの違いはココ
→ エンジン内でのピストンの動き

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→ 腰上の分解と組み付け

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