フルチューンされたレーシングマシンや、排気量アップしたストリートカスタムなどに装着されているオイルキャッチタンク。パワーロスや不純物を溜める4ストならではのお役立ちパーツだ。
オイルキャッチタンク=クランクケース内の圧力を逃がすという重要な役割
エンジンはピストンが上昇する時に混合気を圧縮。プラグが着火して爆発が起こり、その反動でピストンはクランクケース方向に押し下げられる。
この時、クランクケース内が密閉されていると、ケース内部に圧力がかかり、ピストンの下降する動きが鈍くなる。
この圧力をクランクケース側からブリーザーホースをつないで逃がしてやり(2)、パワーロスを防いでいるのがオイルキャッチタンク(3)だ。
オイルキャッチタンクはブローバイガスを溜めて空気とオイルを分離
高回転域を多用するサーキット走行では、ケース内の圧力が上昇し、ブローバイガス(※注1)が多量に発生。
そこでシリンダーヘッド部にブリーザーホースを接続して(1)、このガスをオイルキャッチタンク側に移動させる。移動したブローバイガスは空気と不純物に分離され、不純物はタンク内に沈殿。空気は大気放出またはキャブレターに還元される。
※注1…圧縮時にシリンダーとピストンの間から吹き抜ける有毒ガス。オイルやスラッジ、カーボンなどが含まれている。
<1> シリンダーヘッド側の取り出し口
写真は12Vモンキー用エンジンのシリンダーヘッド部。吸気側タペットキャップ部分に、市販の専用取り出し口を固定。オイルキャッチタンクにブリーザーホースを接続する。
<2> クランクケース側の取り出し口
写真は12Vモンキーに社外2次側クラッチキットを装着し、ブリーザーホースを接続したところ。
<3> オイルキャッチタンク本体
オイルキャッチタンクの形状は各タイプによって様々。写真はフレームに対して垂直にレイアウトするタイプ。
モンキー・ゴリラ、オイルキャッチタンクを自作!
仕事の合間にステンレス素材を使い、ゴリラのオイルキャッチタンクの製作に挑戦しました。市販品は比較的安値ですが、あえて「自作」にこだわり挑戦した次第です。<投稿:伊藤さん>
筒状の外周部分
まずは材料。職場で余った端材のステンレス版(厚さ1.0)を手頃なパイプに合わせ、プラスチックハンマーで叩いて筒状にして溶接します。パイプがあれば良かったんですが…。
側面に合う大きさで材料を切り、溶接します。 この状態で缶コーヒー程度の大きさになります。
ホースニップルの取り付け
ホースを繋げるためのホースニップルですが、手頃なものがなかったので、ステンレスのボルト(M8x30)を加工し流用しました。 ボルト中心に穴を開け、溶接しやすいようにキャップ部分を薄くカット。 またネジ山部分もホース内径に合わせシェイプ。 側面の部分に前2箇所・後1箇所、計3箇所の穴を開け、加工したニップルを溶接します。
オイルキャッチタンクの仕上げ作業
このままで取り付けても機能するとは思います。 しかし見た目がちょっと地味なので、表面をキレイに磨き上げます。
ブラケットを作成し、ゴリラに装着!
当初は自分のバイクに装着の予定でしたが、急遽後輩のゴリラに装着が決定。 そこでゴリラ用のブラケットを製作し、これを取り付け。 今も元気に走行しております。メデタシめでたし。
ゴリラに装着したところ。 このほかにもエイプのマフラー、シート張り替え等々、カスタムを楽しんでいます。