鉄のサビは素人にどこまで落とせるのでしょう。DIYで手に入るツールやケミカルを使って、ガンコなサビ落としにチャレンジしてみました。
目次
市販ツールとケミカルのみで、サビをキレイにしたい!
鉄はなぜ、サビてしまうのでしょう。
それは海水や潮風、雨に含まれる塩(塩化ナトリウム)が、鉄の酸化(サビ)を促進させるから。川の水や日常生活の中の湿気、水道水、ミネラルウォーターも、鉄を酸化させる要因のひとつです。
鉄の大敵は、ズバリ水分なのです。
中でも塩分を大量に含んだ海水は、鉄がもっともニガテとするもの。
メッキのサビを阻止するには「水洗い」と「拭き取り」が基本
表面にメッキが施された鉄製の商品や部品がありますよね。あれは美しい外観に仕上げるだけでなく、表面をコーティングすることでサビを防いでいるのです。
スチールに施されたメッキは絶対にサビさせてはダメ。たとえ小さなサビでも、その個所からどんどん浸食していくからです。
仮にもしも美しいメッキにサビが浮いてしまったら…。基本的に専門業者に頼んでメッキを剥がし、再メッキしてもらう必要があります。
バイクの場合、メッキのサビを阻止するには、真水での洗車とウエスでの拭き取りをマメに実施すること。これが基本です。拭き取り後はよく乾燥させ、サビ止めコートを塗布。保管は屋外でシートを被せるよりも、やはり屋根の付いた屋内が理想的です。
1.軽度のサビを落とす
鉄の表面にうっすらと浮いた軽度のサビ。擦れば落ちそうなこのサビを落としてみます。
メッキやシールコート剤の施されていない12Vモンキー用エンジンパーツ「キックスタータースピンドル」。湿気の多いジメジメとした倉庫に放置していたためか、所々にサビが発生。擦れば軽く落ちそう。
400番・800番・1600番の耐水ペーパー、ワイヤーブラシ(ステンレス)、金属磨き用ケミカルの定番「ピカール」を使用してみます。
まずはもっとも目の粗い400番の耐水ペーパーで擦ってみます。表面のサビは比較的簡単に除去可能。しかし凹部分がスムーズに落ちてくれません。試しに目の細かい800番、1600番で作業してみましたが、結果は同じ。
続いてワイヤーブラシを使用。耐水ペーパーに比べ、凹部分のサビも比較的スムーズに除去できます。ただし凹部の端に発生した細かなサビが、なかなか落ちてくれません。
今度はワイヤーブラシに研磨剤(ピカール)を垂らし、擦ってみます。歯ブラシに歯磨き粉を付ける、食後の歯磨きと同じ要領です。
研磨剤が凹部の隅々にまで入り込み、ペーパーやワイヤーブラシのみでは落とせなかった細かなサビも除去。ウエスでの磨き、研磨剤での磨き、ウエスでの磨き…を繰り返します。
ワイヤーブラシと研磨剤を併用した例。研磨剤の効果で凹部分の細かなサビもキレイに落とすことができました。
作業前の予想難易度:★ 作業の難易度:★★ 満足度:★★★
その2、かなり酷い錆び
倉庫に長年放置されていたアクスルシャフト。上記に比べ、かなり深いところまで侵食している模様です。かなり年期の入った、お世辞にもキレイとはいえない状態。相当キッタナイ。これはかなり強敵ですぞ…。
まずはワイヤーブラシ+研磨剤を駆使。浮き出たサビは除去できたものの、黒や茶色の染みや汚れがなかなか落ちてくれません。ワイヤーブラシ+研磨剤での磨きとウエスでの磨き作業を10回以上繰り返したところで無念のギブアップ。
ワイヤーブラシ+研磨剤を諦め、今度はケミカルを使用してみます。
使用したのは、ソフト99コーポレーションから発売の錆び落とし剤「99工房サビ落としセット(サビ止め剤付属)」。化学の力でガンコな錆びも分解して除去してくれるとのこと。サビ止め油も付属していました。DIYでの購入価格は550円。
化学の力はスゴかった
表面にサビ取り剤を塗り、しばらく放置します。次にウエスでサビ取り剤を拭います。
これを何度か繰り返すうちに、表面の茶色い染みが消えてきました。黒い染みは若干残っているものの、錆びの除去前とは比べ物にならないほどキレイに仕上がりました。
作業前の予想難易度:★★ 作業の難易度:★ 満足度:★★★
その3、致命的だと思われるサビ
誰もが「ここまで放っておくか…」と思うであろう、致命的ともいえる強烈なサビ。このクラスのサビ落とし作業は、半分土に埋まっていた旧車をレストアするような、相当困難なレベルだと推測されます。
これぞ鉄のサビ、サビの真髄、サビの大統領、というほど、サビ具合に気合が入っています。
上記で使用したサビ落とし剤「99工房サビ落としセット」を使用。ズタボロ状態のボルトに、サビ落とし剤をたっぷりと塗布します。
サビ落とし剤の説明書に従い、塗布、10分間放置、ウエスでの拭い、塗布…を繰り返します。写真上は反復作業5回目の模様。表面のサビは落ちてきたものの、相変わらずくすんだ状態です。
化学の力のみでは勝負できない、想像以上にしくこくて厄介なサビです。ならば物理の力を! というわけで「化学と物理の夢のコラボ作戦」に変更。
サビ落とし剤をたっぷりと塗り、10分間放置した後、ウエスではなくワイヤーブラシで「これでもか!」「かかってきやがれ!」という按配で、さながら親の仇のごとく気合を入れて擦ってみました。
写真上はサビ落とし剤とワイヤーブラシを駆使した「化学と物理の夢のコラボ作戦」を5回繰り返し、ウエスでキレイに拭ったところ。細かい箇所にまだドス黒いサビが残っているものの、大部分の地肌が見えてきました。
DIYでもここまでやれる!
「サビ落とし剤をたっぷりと塗布、10分間放置、ワイヤーブラシでの擦り、ウエスでの拭い」以上を10回繰り返した状態(ボルトの左側。右側は未着手の部分)。5回目に比べ、さらに細かなサビが除去できました。
じっくりと時間をかければ、致命的だと思われていた酷いサビも、ここまで落とせます。
作業前の予想難易度:★★★ 作業の難易度:★★ 満足度:★★
「ワシは忙しい。そんな悠長なこと、してられるか!」という人は、業者にサビ落としを依頼してみるのもオススメです。「サンドブラスト(細かな砂を吹き付けて錆びを落とす機器)」を駆使すれば、手作業以上にパーツのサビをキレイに・簡単に・完璧に落とせますよ。
まとめ:鉄製品の保管方法
素材がむき出しになった部品(メッキや塗装のないもの)など、サビ止め処理されていないものは、とにかくサビやすいのがネックです。
取り外した部品は、①サビ止め用油やエンジンオイルを塗布しておく ②ビニール袋に包み、除湿剤を入れたプラスチックケース等に入れる ③屋内の涼しい場所に保管するのが理想的です。