マフラーは大きく分けてフランジ、エキゾーストパイプ、サイレンサーの3つに分類される。一見同じように見えるマフラーも、各モデルによって様々な工夫が施されている。モンキーやエイプのマフラーを例に説明しよう。
フランジ
エンジンとの接続部。マフラーの入り口。エンジンから排出された排気ガスはここから入る。
金型とプレス機を使って打ち抜かれたフランジ部(ボルト穴が2つ開いている金属)。このタイプのフランジは量産しやすいのが特徴。
こちらはフランジ部、排気漏れを阻止するガスケット、マフラーのエキパイが分割されたタイプ。
製作に時間がかかるゼイタクなアルミ削り出しのフランジ部を採用したタイプ。振動を吸収してくれるスプリングも備えている。
エキゾーストパイプ(エキパイ)
排気ガスが通過する金属の管。通称エキパイ。素材には主にスチール、ステンレス、チタンを使用。入り口から出口までエキパイ径の変わらないモデル、段階的にエキパイ径を太くしているモデル、同じ径がまったくないテーパー形状のモデルなど、各社によって仕様は様々。
一般に細めの径に設定したモデルは低中回転域重視のトルク型、太めの径に設定したモデルは高回転域重視の高速型となる。
エキパイに触媒やO2センサー取り付け用穴を設けたインジェクション用モデルもあり。
径の異なるパイプを溶接でつなぎ、エキパイを段階的に大径化したモデルもあり。
エキパイの曲げには「パイプベンダー」という工作機械を使用。この製法は「機械曲げ」と呼ばれる。機械曲げは均一の製品を大量に製作できる、不良品が出にくい、低コストで製作できる等が大きな特徴だ。
写真下は万力などでパイプを固定。曲げたい箇所をバーナーであぶり、職人が1本1本手で曲げた「手曲げ」のエキパイ。カスタム度の高い滑らかな曲線、味のある虹色の焼け跡がポイント。一般に機械曲げモデルよりも製作に手間がかかるため、やや高額。
複雑な曲線を描くエキゾーストパイプ。一見、何気ない金属製のパイプだが、各メーカーともスムーズな排気を目指し、エキパイ径、形状などを徹底研究。蓄積したデータを、この1本に注ぎ込んでいる。
写真下は「バフ研磨」で磨き込まれた美しいステンレス製エキパイ。回転する研磨機に素材を押し当て、光沢を出す手法だ。
サイレンサー
エキパイから送られてきた排気ガスの騒音を静かにするためのもの。エンジンの持つポテンシャルを存分に引き出してくれるストレート構造タイプ、性能よりも静粛性を最優先させた隔壁構造タイプなどがある。サイレンサー内に触媒を設けたインジェクション用モデルもラインナップ。
サイレンサーの素材にはスチール、アルミ、ステンレス、チタン、カーボンなどがチョイスされる。長さ、径、エンド形状なども各社によって様々。好みによって選べるのが嬉しいところ。
ストレート構造タイプ
排気ガスの抜け道を直線的にレイアウトしたストレート構造。スムーズな排気ガスの流れを可能にした本格派スポーツモデルやレース用モデルに採用されている高性能タイプだ。イラストは筒状に曲げたパンチングメタル(無数の穴の開いた金属板)の周りに消音材を巻きつけ、排気音を吸収しているタイプ。
隔壁構造タイプ
隔壁と厚みのある外壁を設置。排気ガスをいくつもの部屋に導くことで消音効果をアップ。性能よりも静粛性を優先さたこのタイプは、ノーマルマフラーにも数多く採用されている。
写真上は工作機械を使い、サイレンサーのカバーを製作しているところ。
スプリングフック
一部のマフラーに採用。一般にフランジ部、エキゾーストパイプとテールパイプ、テールパイプとサイレンサーの接続部に使用。マフラーにかかるエンジンや排圧、地面からの振動を吸収してくれる。1本接続タイプ、2本接続タイプなど、掛けられる本数は各マフラーによって異なる。レーシーな外観に仕上がるのもポイント。
エキパイのテールパイプとサイレンサーの接続部に採用されたタイプ。このモデルの各スプリング部にはゴム製のカバーを装備。
スプリングフックにも各社のこだわりがある。写真はヨシムラ製マフラーのスプリングフック。「ヨシムラ」のロゴ入りゴム製カバーが採用されている。
2分割したエキパイを1本のスプリングフックでつないだタイプ。
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