エイプに採用の2次側クラッチ・特徴と強化の方法

エイプに採用の2次側クラッチ

クラッチはスムーズな変速のため、リヤタイヤへとつながるエンジンの動力を断絶・接続するシステム。「1次側クラッチ」のモンキーと違い、エイプには「2次側クラッチ」が採用されている。その特徴とは?

これがエイプに採用の2次側クラッチ

エイプに採用の2次側クラッチ

2次側クラッチ・外観の特徴 

ノーマルのエイプやXR50/100モタード、ドリーム50など、縦型エンジンのスポーツモデルに採用されたタイプ。クラッチカバーの後側が凸状になっているのが外観上の特徴。

→ 1次側と2次側を比べてみよう!

エイプに採用の2次側クラッチ

2次側クラッチのカバーを取り外してみると…

クラッチカバーを取り外したところ。ノーマルモンキーとは反対側の、クラッチカバー左側の凸部分にクラッチ本体が収まるしくみ。クランクシャフトのクランク軸には、一般的に小径のプライマリードライブギヤのみが装着。大径のプライマリードリブンギヤは、クラッチと一体化している。

→ 2次側クラッチの分解・組み付け

2次側クラッチの特徴

エイプに採用の2次側クラッチ

2次側クラッチはクラッチ本体がクランクシャフトではなく、動力の“2次側”、つまりトランスミッションに取り付けられているのが大きな特徴。

エイプなどの縦型スポーツモデルにも採用された2次側クラッチは、一般にノーマルモンキーに採用された1次側クラッチに比べ、

<1> クランクシャフトの軸周りが軽くなるために高回転域までスムーズに回り、加速性やレスポンスが向上。

<2> クランクシャフトに装着されたプライマリードライブギヤを介するため、1次側クラッチよりもクラッチ本体の回転数が大幅に減少。そのため、1次側クラッチよりもクラッチの負担が少ない。

エイプに採用の2次側クラッチ

<3> 1次側のようにクラッチ本体をクランクシャフトに接続しないため、クランク軸に掛かる負担が少ない。

<4> 最高回転数が高まり、最高速もアップ。

<5> 一般的に1次側クラッチよりもクラッチ板の枚数を増やしているため、圧着力がアップ。エンジンのパワーロスが極めて少ない。

<6> 感覚的にクラッチの切れが良い

 ちなみにモンキーの場合、2次側クラッチに変更するには、

<1> 1次側クラッチ強化よりもパーツ代が高額。

<2> 装着には腰下を分解する必要があり手間がかかる(一部商品を除く)。

 などの特徴もある。

→ これがモンキーに採用の1次側クラッチ!

 2次側クラッチが切れた状態

エイプに採用の2次側クラッチ

クラッチレバー&ワイヤーに接続されたリフターロッド(PUSHされる部分)が作動すると、クラッチスプリングが縮まり、フリクションディスクやクラッチプレートが離れてエンジンの動力を断絶。クランクシャフトが空回り=ギヤ側への回転運動が遮断される。

2次側クラッチがつながった状態

エイプに採用の2次側クラッチ
エイプに採用の2次側クラッチ

クラッチレバーを戻すと縮まっていたクラッチスプリングが伸び、フリクションディスクやクラッチプレートが密着。クランクシャフトの回転がギヤに伝わる。

手軽にエイプ系縦型エンジンのクラッチを強化

エイプに採用の2次側クラッチ

エイプ系縦型エンジンも、ボアアップによるパワーアップ時にはクラッチの滑りを防止するため、クラッチの強化が必要。

各社からクラッチの圧着力アップを可能にする強化クラッチスプリングや、摩擦抵抗を増やしたフリクションディスクがリリースされている。

写真のようにスプリングやフリクションディスクが1セットになったもの、各パーツが別々になっているものなどタイプは様々。

2次側クラッチの強化は、基本的にクラッチカバーを開けて各パーツを入れ替えるだけだから、作業は比較的簡単。

5ディスク型や6ディスク型は125ccのフルパワーにも対応

エイプに採用の2次側クラッチフリクションディスクを5枚採用した高性能な5ディスククラッチキット。

卓越した圧着力を誇る5ディスク仕様は、エイプ系縦型の125cc、モンキー系横型の124ccなどモンスターパワーを発揮するフルチューンエンジンにもバッチリ適合。エンジンの持つポテンシャルを100%発揮してくれる。各社から発売されているので要チェックだ。

写真上はフリクションディスクを5枚採用したSP武川の2次側5ディスククラッチのイメージ(SP武川カタログより)。

→ レースの観点から見た5ディスククラッチ

社外クラッチカバーには様々な工夫あり

エイプに採用の2次側クラッチ

社外の2次側クラッチキットの多くは、クラッチカバーにオイルの汚れ具合が一目で確認できる便利なチェック窓を設置。

ケースカバーもスタンダードな鋳造から、マグネシウム、バフ研磨仕様など多種多様。予算や好みに合わせてセレクトできるのが嬉しいところ。

エンジンパワーをフルに体感したいのなら…

エイプに採用の2次側クラッチ

例えば88ccにボアアップした場合、低中回転域を重視した街乗り派ならば、1次側クラッチの強化のみでも支障をきたすことは少ない。

しかし、ボア径52mm×ストローク長41.4mm=88ccのショートストローク型エンジンの醍醐味は、なんといっても高回転域まで一気に回ってくれるレーシーな特性。事実、「ガンガン回してこそ、88ccは価値がある」と言い切るユーザーも数多い。

そこで登場するのがモンキー用の2次側クラッチキット。ボアアップエンジンのパワーを100%体感したい時の必須アイテム。チューニングでパワーアップした50ccエンジンにもおすすめだ。

【クラッチの関連ページ・初級編】
→ モンキーとエイプのクラッチの違い
→ モンキーに採用の1次側クラッチ

【クラッチの関連ページ・中級編】
→ 湿式クラッチと乾式クラッチの違いを知ろう
→ レースの観点から見た湿式&乾式クラッチ
→ 自動遠心式クラッチをマニュアル式クラッチにする方法

【クラッチの関連ページ・上級編】
→ クラッチの分解・組み付け

エイプに採用の2次側クラッチ

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