モンキーに採用の1次側クラッチ・特徴と強化の方法

モンキーに採用の1次側クラッチ

クラッチはスムーズな変速のため、リヤタイヤへとつながるエンジンの動力を断絶・接続するシステム。ノーマルのモンキーには「1次側クラッチ」を採用。特徴やチューニング方法を挙げてみよう。

モンキーの1次側クラッチ

モンキーに採用の1次側クラッチ

1次側クラッチ・外観の特徴

ノーマルモンキーに採用されたタイプ。クラッチカバーの前側が凸状になっているのが外観上の大きな特徴。写真はドレスアップ用のクラッチカバーがチョイスされたモンキー。

モンキーに採用の1次側クラッチ

1次側クラッチのカバーを取り外してみると…

クラッチカバーを取り外し、クラッチを分解するところ。クラッチカバーの凸部分にクラッチ本体が収まるしくみ。左側に固定されている大径のギヤは、プライマリードリブンギヤ。クラッチの分解作業は、クラッチ本体とプライマリードリブンギヤの供回りを防ぐため、手に持っているような小径のギヤをかますとスムーズ。

→ クラッチの分解・組み付け

モンキーの1次側クラッチの特徴

モンキーに採用の1次側クラッチ

1次側クラッチはクランクシャフト、つまり動力の“1次側”にクラッチ本体が取り付けられている。非力なノーマル50ccでの使用を想定したこのタイプは、街中でも扱いやすいのが特徴。

1次側クラッチのポイントは、

<1> 回転変動が小さく、街乗りなど実用域(低中回転域)で扱いやすい。
<2> クラッチのタッチやつながりが優しい。
<3> クランクシャフトに適度な遠心力が掛かり、巡航がラク。

ただし、
<1> 排気量アップ時には向上したパワーを受け止められず、クラッチが滑ってしまうことが多い。
<2> 排気量を上げてパワーアップした車両は、クランクシャフトに負担が掛かりやすい。特に超高回転時にシフトダウンした場合、クランク軸がねじ切れることもある。

以上のようなトラブルを招く恐れがあるので注意したい。

1次側クラッチが切れた状態

モンキーに採用の1次側クラッチ

クラッチレバー&ワイヤーに接続されたリフターロッド(PUSHされる部分)が作動すると、クラッチスプリングが縮まり、クラッチプレッシャープレート、フリクションディスク、クラッチプレートが離れてエンジンの動力を断絶。クランクシャフトが空回り=ギヤ側への回転運動が遮断される。

1次側クラッチがつながった状態

モンキーに採用の1次側クラッチ

クラッチレバーを戻すと縮まっていたクラッチスプリングが伸び、クラッチプレッシャープレート、フリクションディスク、クラッチプレートが密着。クランクシャフトの回転がギヤに伝わる。

1次側クラッチの強化法・その1

モンキーに採用の1次側クラッチ

強化クラッチスプリング及び、摩擦抵抗を増やしたフリクションディスクに変更するリーズナブルな方法。どちらもクラッチの圧着力アップを可能にするチューニング術。

写真のようにスプリングやフリクションディスクが1セットになったもの、または別々になっているもの、軽量型クラッチアウターを付属したものなどタイプは様々。交換にはノーマルクラッチの分解が必要となる(分解には専用工具も必要)。

1次側クラッチの強化法・その2

モンキーに採用の1次側クラッチ

写真はSP武川製のモンキー用1次側クラッチ(SP武川カタログより)。フリクションディスクを3枚に増やしたタイプだ(ノーマルは1枚)。

フリクションディスクの枚数を増やし、圧着面積を増やすことで、パワーアップに伴うクラッチの滑りを大幅に防いでくれる。社外品は組み立てられた状態で出荷されるモデルが多いため、一般的にクラッチの分解作業は不要。

1次側クラッチは油圧式への変更も可能

モンキーに採用の1次側クラッチ

写真はSP武川からリリースされる1次側マニュアルクラッチ用の油圧クラッチキット装着車。クラッチの強化で悪化してしまったクラッチフィールを、ライトなタッチに変更してくれる。マスターシリンダー、リレーズシリンダー、ホースなど装着に必要なものが1セットとなっている。

エンジンパワーをフルに体感したいのなら…

モンキーに採用の1次側クラッチ

例えば88ccにボアアップした場合。

低中回転域を重視した街乗り派ならば、1次側クラッチの強化のみでも支障をきたすことは少ない。しかしながら…。

ボア径52mm×ストローク長41.4mm=88ccのショートストローク型エンジンの醍醐味は、なんといっても高回転域までスムーズに回ってくれるレーシーな特性。事実、「ガンガン回してこそ、88ccは価値がある」と言い切るユーザーも数多い。

そこで登場するのが、モンキー用の2次側クラッチキット。ボアアップエンジンのパワーを100%体感したい時の必須アイテムだ。シリンダーヘッド加工やピストン交換、ビッグキャブ化などでパワーアップした50ccエンジンにもおすすめ。

→ これがエイプに採用の2次側クラッチ!
→ 2次側クラッチの分解・組み付け

遠心式からマニュアル式への変更もOK

モンキーに採用の1次側クラッチ

一部の6Vモンキーやスーパーカブには、クラッチ操作を省いた自動遠心式クラッチが採用。このタイプをクラッチ操作のあるマニュアル式に変更するキットも各社からリリースされている。

「1次式クラッチのまま、ミッションをマニュアル化したい」という自動遠心式ユーザーにはぴったりのアイテムだ。

→ 自動遠心式クラッチをマニュアル式クラッチにする方法

【クラッチの関連ページ・初級編】
→ モンキーとエイプのクラッチの違い
→ エイプに採用の2次側クラッチ

【クラッチの関連ページ・中級編】
→ 湿式クラッチと乾式クラッチの違いを知ろう
→ レースの観点から見た湿式&乾式クラッチ
→ 自動遠心式クラッチをマニュアル式クラッチにする方法

【クラッチの関連ページ・上級編】
→ クラッチの分解・組み付け

 

モンキーに採用の1次側クラッチ

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