カムチェーンテンショナーとはカムチェーンの張りを調整する機能。6Vモンキーはマニュアル式、12VモンキーとFIモンキーは、油圧を利用した自動式を採用している。カムチェーンテンショナーのしくみと、腰上パーツ組み付け時に覚えておきたい大切なポイントをクローズアップしてみよう。
カムチェーンとカムスプロケットの固定は…
12Vモンキーの腰上パーツ交換作業時にはカムスプロケットにカムチェーンを噛ませ、専用ボルトでカムスプロケットを固定する。限界までカムチェーンが張っている場合、この作業は結構やりづらい。
テンションを抜いてやれば、作業もラク
作業しづらいのは、カムチェーンにテンションが掛かっているから。
油圧式の場合、カムチェーンのテンションを抜くのは簡単。シフトアーム前にある油圧解除用ボルト(手に持っているボルト)を緩め、カムチェーンを引っ張ってやればOKだ。
油圧解除用ボルトを抜いた瞬間、ボルト孔からエンジンオイルが出てくる。そのため、作業前に拭き取り用のウエスを用意しておくことが大切だ。
エンジンオイルの漏れを最小限に防ぐため、油圧解除用ボルトはテンションが抜けたらすぐに元通り締めること(カムチェーンは再度、自動調整される)。
オートカムチェーンテンショナーのしくみ
写真は12Vモンキーのオートカムチェーンテンショナー部分。
クランクシャフトの歯車に引っ掛かったカムチェーンが、オイルポンプに直結した黒い歯車と、カムチェーンテンショナー用の黒い歯車に挟まれているのが分かる。
テンションスプリングによってテンションの掛かったプッシュロッドが、油圧(エンジンオイルを利用)によって適切な位置に動作(矢印)。カムチェーンの張りを自動的に調整してくれる。
油圧解除用ボルトを緩めて油圧を抜き、指で歯車を押し上げ、限界までカムチェーンのテンションを抜いたところ。テンショナーアームがプッシュロッドを押し下げているのが分かる(矢印)。
エンジンオイルを抜き、プッシュロッドにつながるシーリングボルトを外したところ。シーリングボルトとプッシュロッドの間には、プッシュロッドにテンションを掛けるためのテンションスプリングがセットされている。
テンションスプリングを外すとプッシュロッドが姿を見せる。
12Vモンキー用のプッシュロッド。円柱状の外観にはいくつかの孔が設けられている。
取り外したカムチェーンテンショナー関連パーツ。
6Vモンキーはマニュアル式
6Vモンキーのカムチェーンテンショナーは油圧の自動式ではなく、アジャストボルトで調整するマニュアル式(69年発売のZ50Aを除く)。
カムチェーンの張りの調節は、まずは8mmのロックナットとアジャストボルトAを緩め、プッシュロッドをフリーにする。
次にエンジン底にあるシーリングボルトを外し、アジャストボルトBを締めるor緩める。
任意に調整したい時に便利なマニュアル式
8mmのロックナットとアジャストボルトAを緩めれば、カムチェーンの張りはテンションスプリングによって自動調整される。
カムチェーンの張りを任意に調整したい時は(カムチェーンの音が消えない等)、エンジン底にあるシーリングボルトを外し、アジャストボルトBを締めるor緩めてやる。
互換性があるため、6Vエンジンに12V用の油圧式カムチェーンテンショナーを、もしくは12Vエンジンに6V用のマニュアル式カムチェーンテンショナーを流用することも可能だ。
12Vエンジンをマニュアル化してカムチェーンを張り、高回転域でのカムチェーンのたるみを防ぐというレーサーも存在。ただしカムチェーンは張りすぎても緩すぎても、動作不良や各部破損の原因となるので注意したい。
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