モンキー用12Vエンジン。CDI点火方式のしくみとは?
12Vモンキーをボアアップした時は点火タイミングの変更が必要となるため、社外製CDIをチョイスするのが常識。ここでは「進角」と「遅角」という用語を軸に、点火タイミングの変更方法を説明しよう。
ジェネレーター部にあるフライホイールが回転することで、コンデンサーに電気が蓄積。同時にフライホイールに取り付けられたピックアップ部がピックアップセンサーを通過すると、点火時期を知らせる信号(パルス)を発信。
この信号がCDIに内臓のトリガー回路に伝わり、SCRをON。コンデンサーに溜まった電気がイグニッションコイルに伝わって電圧を高め、スパークプラグに着火して混合気が爆発する
モンキー用12Vエンジン。進角と遅角を解説
ボアアップキットを組み付けた場合は、圧縮比が上昇するなどの理由により、点火タイミングを変更してやる必要がある。なお、「進角」とは点火タイミングを早めること。一方、「遅角」とは点火タイミングを遅くすること。点火タイミングの調整が合っていないと、エンジン本来の性能を発揮しない、エンジンが壊れる等のトラブルを招くので注意しよう。
モンキー用12Vエンジンの点火タイミング。変更方法・その1
フライホイールの取り付け位置をズラす
CDIの点火タイミング調整は、クランク軸のフライホイール取り付け部に固定されているウッドラフキーを外し、フライホイールの固定位置をズラして進角(赤の方向)・遅角(緑の方向)させる。この方法は、社外CDIが普及する前から行われていた、昔ながらの手法。社外製CDIに交換すれば、簡単に理想的な点火タイミングが獲得できるため、現在この方法を使うユーザーは極めて少ない。
12Vモンキーのジェネレーター部。フライホイール側のピックアップ部とエンジン側のピックアップセンサーが合致したところが点火タイミングとなる。
エンジン側に設置されたピックアップセンサーと、フライホイール側に設置されたピックアップ部(凸部分)。
モンキー用12Vエンジン。点火タイミングの変更方法・その2
ピックアップセンサーの位置を変更する
社外の軽量アウターローターキットを装着した12Vモンキー。ステーターベースプレートに長穴を開けた(赤の矢印)このタイプは、任意に細かく点火タイミングの変更できるのがポイント。ステーターベースプレートの取り付けビスを緩めればピックアップセンサーが動き、任意に進角・遅角させることができる。
モンキー用12Vエンジン。点火タイミングの変更方法・その3
デジタルCDIに交換する
数種類の点火マップを備えた便利なデジタルCDI。コードのつなぎ替えや、CDI本体に装備されたダイヤルなどにより、自由に、しかも簡単に点火タイミングが変更できる。
アナログ式に比べて価格はやや高めだが、さらなる排気量アップやヘッドチューン等にも的確に対応してくれるのが嬉しいところ。各メーカーからいくつかのモデルが発売。用途や予算に合わせてセレクトしよう。
点火タイミングの異常とは、どんな現象?
イラスト左は高回転域で「ガリガリ」「カラカラ」と異音を発する“ノッキング”を表したもの。燃焼室の温度が過度に上昇し、ピストンが『吸気』『圧縮』『爆発』『排気』の4工程中、『爆発』以外の箇所、つまりスパークプラグによって点火される前に、熱によって着火してはいけないタイミングで爆発してしまうという非常に危険な現象だ。
ノッキングを起こしたままエンジンを回し続けるとどうなるのか? イラストの場合、ピストンは上昇しようとしているのに、想定外の爆発によってピストンを下降させる力が働く。
この相反する2つの力によってエンジンは破損する。エンジンにとって、点火タイミングは非常に重要な過程。経験や知識の浅いビギナーは、的確な点火を実現してくれる社外CDIの活用をおすすめしたい。
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