エンジンの空燃比とは、空気とガソリンの比率のこと

キャブレターやインジェクションが作り出す、空気とガソリンが混ざり合った混合気。”空燃比”とは、混合気における「空気とガソリンの比率」のこと。モンキーやエイプの空燃比を的確に把握することで、キャブレターやFIなど吸気系のセッティングはスムーズになり、エンジンのポテンシャルもフルに活かすことができる。

混合気中の「ガソリン」:「空気」で表記

空気とガソリンが混ざり合った混合気。例えば混合気の中のガソリン=1に対し、空気の占める比率=13であれば、空燃比は「1:13」。ガソリン=1で空気=14ならば、空燃比は「1:14」となる。空燃比はガソリンの比率「1:」を省き、空気の比率である「13」「14」で表す場合が多い。

空燃比は「数値が大きい=薄い」「数値が小さい=濃い」

もっとも燃焼効率の良い理想的な空燃比は、ガソリン=1に対し、空気=14.7だとされる。この比率を「理想空燃比」と呼ぶ。この「14.7」という数値よりも大きいか、小さいかで、混合気の状態、つまり良し悪しを判断することができる。

例えば街乗り仕様の場合。もしも空燃比が「17」であれば、空気の占める割合(量)が多すぎて混合気は薄い状態。逆に空燃比が「12」の場合は、空気の量が少なくて混合気は濃い状態だといえる。

ただしレース仕様の場合。レース中に多用する高回転域においてパワーが出やすいという理由から、高回転域は12~13くらいのやや濃いめに設定する場合が多い。

空燃比の計測方法

空燃比の計測は、空燃比計を使って排気ガスに含まれる酸素濃度(O2)の値を計測する。写真はエキパイ部にО2センサー取り付け用の穴(О2ボス)を設置したキャブレター車用マフラー。

走行中の計測も可能

写真はО2ボスを設置したマフラー専用の空燃比計。О2センサーをマフラーのО2ボスに挿入して使用する。空燃比が瞬時にデジタル表示される便利なアイテムだ。ハンドル周りに空燃比計が取り付けできるコンパクトなタイプなので、走行中に数値が確認可能。「何回転でどのくらいの空燃比なのか?」これが一目で分かるのだ。

市販の空燃比計はО2ボスのないマフラーでも、独自にО2センサー取り付け用の穴開け加工すれば取り付け可能。取り付け用穴加工はパーツメーカーやカスタムショップ等でも受け付けている。

こちらは据え置き型空燃比計。マフラーのエキパイ部にО2ボスを設け、О2センサーを挿入するタイプだが、後輪出力やパワーの出方を測定するシャシーダイナモと併用・計測するのが一般的。マフラー製作時やレース車両製作時などに使用することが多い。

こちらはシャシーダイナモに併設されたタイプ。O2センサーをマフラーエンド部に挿入し、マシンをシャシダイにセット。リヤタイヤを回転させながら空燃比を計測するシステム。こちらもマフラー製作時やレース車両製作時などに使用する場合が多い。

空燃比を変更するには?

空燃比の変更=吸気系のセッティング変更。キャブレターやフューエルインジェクション(FI)など吸気系のセッティングは、空燃比の数値と走行フィールを併せながら煮詰めていくのが一般的。

混合気が濃いor薄い場合は…

キャブレターの場合、ジェット類の変更。FIの場合はサブコントローラーの追加、コンピュータのプログラム変更、燃料を噴射するインジェクターの交換などで噴射量(燃料調整・略して燃調)を変更してやるのが一般的。

FI車における燃調変更の必要性

一般的にFI車はマフラーにО2センサーを備え、酸素濃度を計測・監視。もしも規定値以外であればコンピュータがFIに修正をかけるという画期的なシステムを採用している。

市販のスポーツマフラーへの交換程度であれば、コンピュータが空燃比を自動的に修正してくれるため、基本的に燃調変更の必要はなし(マフラーの種類によっては燃調変更の必要あり)。ただし排気量アップなどのチューニング時には燃調変更は必須となる。

ガソリンが濃いor薄いとどうなる?

●濃い場合

・スロットルを開けるとトルク感はあるが、回転上昇が鈍い。

・排気音が重く、スムーズに吹け上がらない。

・空燃比は常に10未満。加速中でも数値が11程度から下がらない。

・常にマフラーからガソリンの臭いがする。

●薄い場合

・ アイドリングが不安定で、何度も止まりそうになる。

・ スロットルを開けると「パスン」「パスン」と軽い炸裂音がして回転が不安定。

・ スロットルを急に開けるとエンスト寸前になり、ゆっくりとしか開けられない。

・ スロットルを戻すと、マフラーから「パン」「パン」という炸裂音がする。

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