モンキー・エイプのレースでは湿式より乾式クラッチが有利なの?

GPマシンなどのロードレーサー、NSR250-R(SP)やGSX-R750Rなどの国内市販レーサーレプリカ、イタリアのドゥカティなどにも採用の乾式クラッチ。乾式クラッチには、やはりレースシーンがよく似合う。モンキーやエイプを使ったサーキット走行では、レーシーな乾式クラッチが有利なのか? これまで数々の4ミニレースを制してきた「水本レーシング」に伺った。

クラッチのカスがオイルに混じらない乾式

—  サーキット走行では扱いやすい湿式よりも、乾式の方が強みを発揮するのでしょうか。

「経験上、4ミニは湿式でも問題ないと思います。しかし乾式の方が有利といえば有利。現在、乾式クラッチはストリートカスタムでも多用されていますが、元々はレースで使うために生まれたもの。フリクションディスクやクラッチプレートが”むき出し”の乾式は、エンジンオイルがクラッチを循環する湿式よりも整備性が良いですし」

– 乾式クラッチはダイレクト感が強く、クラッチがつながる時の音もレーシー。その他に特徴はありますか。

「かなりミクロな話ですが、オイルにクラッチ板(フリクションディスク)の摩擦部のカスが混じらない点ですね。高回転域でクラッチを切ったりつないだりを繰り返す過酷なレースでは、クラッチは想像以上に酷使されます。公道走行に比べ、当然クラッチ板の摩擦部は急激に減る。つまり短時間で多くのカスが発生します。摩擦部のカスがオイルに混じらない乾式は、湿式よりもオイルをクリーンな状態に保てます。その点では、乾式は湿式よりも有利かもしれません」

→ クラッチの分解・組み付け

たった1枚のディスクが走りを大きく左右

 – モンキー系もエイプ系も、原付二種枠いっぱいの124ccまで排気量アップした場合、5ディスククラッチは必須。モンキー用は2005年まで、社外の乾式クラッチといえば4ディスクが主流でした。4ディスクと5ディスク、たった1枚の違いですが、走行に影響はあるものなんですか?

「限界までエンジンを回すことの多いレースの場合、影響は大きいです。124ccのパワーをサーキット、特にシフトチェンジの多いテクニカルなコースでフルに使うとしたら、4枚ディスクではどうしても役不足。5枚じゃないと、クラッチがパワーに負けて滑ってしまう。たった1枚の違いで大きな差が出るわけですから、サーキットでのクラッチ選びは極めて重要だといえますね」

– 現在では横型エンジンのオーバー125ccも当たり前となり、6ディスクのクラッチキットもあります。

「ノーマル50ccは1次側1枚クラッチ。75cc程度なら1次側3枚クラッチに強化。100cc前後なら2次側の4枚クラッチを。原付2種枠内の~125ccなら5枚クラッチに。オーバー125ccなら6枚クラッチ等々、排気量に合わせてステップアップするのもオススメですね」

数々のレースを制した水本レーシングのモンキーRレーサー。エンジンはスーパーヘッド124cc。このマシンにはSP武川製の湿式クラッチが採用されている。

クラッチがむき出しになった乾式クラッチとは異なり、クラッチにオイルが潤滑する湿式クラッチ(写真はデイトナ製)。ただし多くの2次側多板湿式クラッチは、レースでも十分ポテンシャルを発揮。4ミニの場合、湿式か乾式かはユーザーの好みによって分かれることが大きい。

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