バイクのミッション,ギアレシオとクロスミッション

モンキーやエイプのミッションには用途に応じた「ギヤ(ギア)レシオ」が設定されている。ギヤ(ギア)レシオなんて言葉を聞くと凄く難しそうだけど、実はとっても簡単。ギヤ(ギア)レシオを知れば、「自分はストリート用ミッションを選ぶべき? それともレースに最適なクロスミッションが最適なのか?」がすぐに分かるはず。

後ろ側のギヤ÷前側のギヤ=ギヤレシオ(ギヤ比)

ミッションはメインシャフト側に組み込まれたメインシャフトギヤと、カウンターシャフト側に組み込まれたカウンターシャフトギヤが噛み合った状態で固定されるが、ギヤレシオとは両ギヤの比率のこと。

この比率は、

カウンターシャフトギヤ÷メインシャフトギヤ

で表す。この比率によって、1速から2速、2速から3速、3速から4速など、“ギヤからギヤのつながり方”や“加速”が違ってくるのだ。

ノーマルモンキーの場合

丁数とは歯車の数。1速の場合、メインシャフト側(MS)のギヤが11丁、カウンターシャフト側(CS)のギヤが36丁。ギヤレシオは、

36÷11=3.273

となる。なお、各ギヤレシオは次のようになる。

●4速ノーマル

ミッション 1速 2速 3速 4速
ギヤレシオ 3.273 1.938 1.350 1.043
カウンター/メイン 36/11 31/16 27/20 24/23

ギヤレシオを見てみると、1速と2速の数字が離れている、つまりロング化されているのが分かる。これが1速から2速にシフトアップした時に起こる衝撃の原因。特に1速で回転を上げながら2速にシフトアップした時は、この現象が顕著に表れる。

またロング化されたミッションは、シフトアップ時にエンジンの回転が落ち込んでしまうのが特徴。

これらを解消すべく、ノーマル4速のギヤレシオを見直したのが4速クロスミッションだ。ギヤレシオは次の通り。

●4速クロス

ミッション 1速 2速 3速 4速
ギヤレシオ 2.615 1.823 1.350 1.090
カウンター/メイン 34/13 31/17 27/20 24/22

1速のギヤレシオを3.273から2.615にハイギヤード化。1速と2速のギヤレシオ近付ける、つまりショート化されている。

ショート化することにより、シフトアップ時のエンジン回転の落ち込みを低下。1速から2速にシフトアップする時の「ガクン」というショックを和らげるとともに、シフトアップ直後のスムーズな加速を実現している。

モンキー用は他車にない豊富な種類がリリース

チューニングして使用回転数やスピード、またパワーが大幅に上昇したモンキーに、ノーマル4速ミッションを使い続けたら一体どうなるのか?

シフトチェンジの衝撃はどんどん大きくなり、エンジンも扱いにくくなる。加えてエンジン各部や駆動系にも大きな負担を掛けてしまう。

モンキー用のミッションは、他の車種にはない豊富なラインナップ数を誇るのがポイント。“コースや使用条件によってミッションをセレクト”なんてゼイタクな選択も決して不可能ではない。

ストリートミッションとクロスミッションの違い

下記はモンキー用のストリート用5速とクロス5速のギヤレシオ比較の一例。ストリート5速は街乗りのしやすさ重視したレシオ設定、クロス5速はサーキット走行を重視したレシオ設定としている。

ストリート5速に比べ、クロス5速はパワーバンドをキープさせるため、各ギヤのレシオが近い=ショート化されている。このように各ギヤのレシオをショート化したタイプをクロスミッションと呼ぶ。

低中回転域を多用する公道では、限られたパワーバンドをキープするよりも扱いやすさが重要。そのため、各レシオはクロス5速よりもややロングに振られている。

ストリート5速
ミッション 1速 2速 3速 4速 5速
ギヤレシオ 2.357 1.764 1.400 1.136 0.958
カウンターメイン 33/14 30/17 28/20 25/22 23/24

ただしストリート用ミッションをサーキットで使用した場合、シフトアップ時にエンジン回転がパワーバンドから外れてしまい、加速に時間がかかる。

加えてシフトダウン時にエンジン回転が上がり過ぎ、オーバーレブ(回転が規定値以上に回ってしまう現象)を引き起こす場合がある。

クロスミッションはパワーバンドを中心とした高回転域を多用するレースで強みを発揮するタイプ。平坦な直線路はもちろん、コーナリング時や登坂走行時でもパワーバンドをキープしながらのシフトアップが可能だ。

 

クロス5速          
ミッション 1速 2速 3速 4速 5速
ギヤレシオ 2.357 1.526 1.286 1.130 1.000
カウンターメイン 33/14 29/19 27/21 26/23 24/24

ただし、低・中回転域ではストリート用よりも頻繁にギアチェンジを行う必要があるため、基本的に公道走行は不向きだとされる(スプロケット調整等によって乗りやすくなるタイプもある)。

 

【合わせて読みたい関連ページ】
→ ミッションのしくみと構造
→ ミッションの分解・組み付け
→ 組み付け時のシフトチェンジ確認