オイルポンプとはクランクケース下のオイルパンに溜まったエンジンオイルを汲み上げ、シリンダーヘッドやクラッチなどにオイルを送り込むパーツ。モンキーやエイプの排気量を大幅にアップすると、オイルポンプの容量が足りなくなるため要交換となる。
オイルポンプの大型化で、より多くのオイルを循環させ的確にエンジンを冷却
モンキーの場合、ノーマルのオイルポンプは50ccでの使用を想定した容量となっている。仮に100ccまで排気量を上げたとしよう。この時、ノーマルのオイルポンプのままではどうなるか?。
オイルの吐出が追いつかなくなり、エンジンが焼き付いてしまう。そこで必要となるのが、大容量のオイルポンプへの交換。排気量に見合うオイルを循環させることにより、的確にエンジンの各部を潤滑してくれる。
何ccに排気量アップすれば、オイルポンプは要交換?
一般的にオイルポンプは、「●●ccだから絶対に交換」というはっきりした区切りがなく、かなり曖昧。これは、各エンジンキットのタイプや方向性が異なるため。
例えばモンキー用88ccのボアアップキットの場合。高回転型のレーシング型シリンダーヘッドを備えたエンジンキットであれば、基本的に各メーカーはオイルポンプの交換を“指定”している。
しかし、ノーマルシリンダーヘッドを流用する低・中回転を重視した街乗り仕様は、オイルポンプの交換を“推奨”していても、“指定”していない場合がある。ここで注意したいことが…。
ノーマルシリンダーヘッドを流用する低・中回転を重視した街乗り仕様の88ccでも、長時間高回転を維持し続けるなど酷使した時には、ノーマルのオイルポンプではオイルの供給が追いつかなくなり、エンジンが焼き付いてしまう可能性もありうる。
メーカーがオイルポンプの交換を推奨している場合は、転ばぬ先の杖としてぜひとも交換しておこう。
ちなみにノーマルエンジンに大容量のオイルポンプを装着したら吐出量が多すぎて故障の原因となるので要注意。
写真左は12Vモンキー用のノーマル。写真右はSP武川製のモンキー用スーパーオイルポンプ。6Vモンキー取り付けの場合は3倍、12Vモンキー取り付けの場合は1.8倍の吐出量を誇る。
オイルポンプの交換方法
12Vモンキーの場合、オイルポンプは右側のクランクケースに固定。まずはノーマルを取り外し、古いガスケットをキレイに除去。次に新しいガスケットに交換し、中央の孔にガイドピンを挿入する。ガイドピンはノーマルを流用する場合が多いので、無くさないようにしよう。
オイルポンプを交換したら「オリフィス」を拡大
モンキー系エンジンのオイルポンプを大容量化した場合は、オイルの噴出口である矢印のオリフィスを拡大する。
オリフィスのサイズは12Vモンキーの場合、基本的に2mm。市販もしくは付属のドリルを使って作業する。
汲み上げられたオイルはシリンダーヘッド方向へ
オイルポンプに汲み上げられてオリフィスから吐出したエンジンオイルは、オイルラインを伝って赤い矢印のシリンダーヘッド方向に循環し、コンロッドやカムシャフトなどを潤滑する。
またオリフィスから出たオイルはクラッチ方向にも向かい、クラッチ板なども潤滑。写真は12Vモンキーのオリフィス部。
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