モンキー・エイプのディスクブレーキ化で制動力アップ

ドラムブレーキよりもコントロール性が高く、制動力に優れたディスクブレーキ。ポテンシャルの高さはもちろん、メカニカルな雰囲気に仕上がるのも見逃せないところ。モンキーやエイプの定番の足周りカスタム術をクローズアップ。

卓越した制動力を誇るディスク式ブレーキ

ディスク式ブレーキは、車輪と一体になって回転する金属の円板(ディスクローター)を、ブレーキキャリパーでギューっと挟み込んで回転力を抑制させるシステム。

油圧(※1)を利用したこのブレーキは、ブレーキレバーを握る力に比例して制動力が変化。ブレーキの感覚が指先に伝わりやすいのが大きな特徴だ。

ディスク式のしくみとは?

イラストは前方もしくは後方から見たブレーキキャリパーの断面図。

油圧(※1)を利用したディスク式は、ブレーキを握る=マスターシリンダー側のピストンが押し下げられる。するとブレーキキャリパー側に、「ブレーキフルード」と呼ばれるブレーキオイルが移動・加圧。ブレーキキャリパーに装備されたピストンが反応し、ブレーキパッドをギュッと押し込む。その結果、ブレーキパッドがディスクローターを挟み込み、ホイールの回転を止めてくれる。

なおイラストのような2個のピストンを備えたキャリパーを「対向2ポット2ピストン式キャリパー」、略して2ポットキャリパーと呼んでいる。

※1:油圧とは液体を利用し、小さな力で大きなものを持ち上げるという「パスカルの原理」を用いたもの。ディスク式ブレーキのほか、自動車のタイヤ交換時に用いるジャッキ、クレーンやフォークリフトなどの重機にも採用されている。

ディスクブレーキの長所

<1> コントロール性が高く、効きも強力。

<2> 放熱性に優れ、制動力も安定。フェード現象(※2)が起こりにくい。

<3> カスタム度が高く、見た目もスポーティー。

<4> ブレーキパッド、ディスクローター、キャリパーなど優れた社外のボルトオンパーツが豊富にラインナップ。

<5> 消耗部品であるブレーキパッドの交換が簡単。

ディスクブレーキの短所

<1> 転倒時にブレーキキャリパーの破損、ディスクローターの歪みなど、ダメージを受ける場合がある(キャリパーガードの装着で回避可能)。

<2> ブレーキフルードの交換等、ドラム式よりもメンテナンスに手間とコストがかかる。

※2:磨耗係数(μ・ミュー)が低下して制動力が鈍る現象。

ディスクキャリパー

フロントフォークに固定され、ディスクローターを挟み込むパーツ。「ブレーキキャリパー」「キャリパー」とも呼ばれる。写真は4個のピストンを備えた4ポットキャリパー。4ミニカスタムではクリアランスの関係上、フロントに採用される場合がほとんど。

→ キャリパーの種類と装着箇所

→ 人気のブレンボ製キャリパーをチェック!

→ NISSIN製キャリパーで制動力をUP!

ディスクブレーキパッド

「ブレーキパッド」「パッド」とも呼ばれる、ブレーキキャリパー本体に固定する消耗パーツ。固定用プレートには、ディスクローターに接触する磨耗材がしっかりと貼り付けられている。ブレーキパッドは磨耗材が規定値以下まで減ると要交換。制動力に優れたハイパフォーマンスモデルが、各社からリリースされている。

→ ブレーキパッドの選び方

ディスクローター

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ハブに固定する金属板。このパーツは、ホイールと一緒に回転する。ディスクキャリパーがディスクローターを挟み込むことにより、ホイールの回転を抑制。素材にはステンレスや鋳鉄が使用される。フロント用・リヤ用ともに、円形状のほか、優れた制動力と軽量さがポイントのウェーブ形状がある。

→ ディスクローター選択時の注意点

キャリパーサポート

適正な位置にディスクキャリパーを取り付けるためのブラケット。主にアルミ削り出しが用いられる。

→ キャリパーサポートの「取り付けピッチ」とは?

マスターシリンダー

マスターシリンダーとはブレーキフルード(ブレーキオイル)を溜めておくためのリザーブタンク及び、ブレーキフルードをディスクキャリパー側に加圧するためのピストンのこと。メカニカルなハンドル周りに仕上がるのが特徴。写真はリザーブタンク別体型。

写真はリザーブタンク一体型のNSR50用。

ブレーキホース

マスターシリンダーとディスクキャリパーをつなぐ、ブレーキフルード(ブレーキオイル)の通路。「オイルライン」「ライン」とも呼ばれる。カスタム車には耐圧性とドレスアップ性に優れたステンレスメッシュタイプ、通称・メッシュホースが用いられることが多い。メッシュホースは、イギリスのブランド『グッドリッジ』とアメリカのブランド『アールズ』が定番。

ブレーキホースの径や長さは各パーツメーカーから各種リリース。キャリパーやマスターシリンダーに合ったメーカー指定のサイズを選ぼう。

リヤのディスク化で絶妙なブレーキコントロールを実現

ボアアップなどで大幅にパワーアップしたマシンは、フロントだけでなくリアもディスクブレーキを採用した車両が多い。特に、コーナリング中での微妙なリアブレーキコントロールが必要とされるレース用マシンの多くは、フロントと同様にリヤもディスク化。コーナリング中のコントロール性能が向上し、走行安定性もアップする。

写真はGクラフト製のスイングアーム、キャリパーサポート、バックステップを使い、NSR50用のホイール、ディスクキャリパー、ディスクローター、マスターシリンダーを移植したエイプカスタム。ブレーキホースはNSR50用ではなく、カスタム度の高いステンレス製メッシュに変更している。

リアのディスク用パーツ

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写真はGクラフト製のリヤディスク用アルミ削り出しリザーバータンクとキャリパーサポート。キャリパーサポートは各部の削り込みや肉抜き処理を実施することで、存在感を大幅にアップ。

ノーマルホイール&フォークのままディスク化

SP武川製ディスクキットを使い、ノーマルのフロント周りのままディスク化。エンジンはチューンしているが、ノーマルフォルムは崩したくないというユーザーに最適。

【ディスクブレーキの関連ページ STEP 1】

→ ディスク化に便利な「ディスクブレーキキット」

→ キャリパーの種類と装着箇所

→ ディスクローター選択時の注意点

【ディスクブレーキの関連ページ STEP 2】

→ キャリパーサポートの「取り付けピッチ」とは?

→ ブレーキパッドの選び方

→ 人気のブレンボ製キャリパーをチェック!

→ NISSIN製キャリパーで制動力をUP!

 

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