2003年(平成15年)、2ストエンジンを搭載した人気のKSR-1(49cc)/2(79cc)に変わり、4スト111ccエンジンを搭載したKSR110が登場した。カスタムパーツも豊富な同車は発売以来、ストリートカスタムからカリカリのレース仕様まで幅広い人気を誇っている。
機動力抜群のミニモタード、KSR110
2ストエンジンを搭載したカットビ系モデル、KSR-Ⅰ(49cc)/ Ⅱ(79cc)。排ガス規制によって生産終了となった両モデルに変わり、2003年に登場したのがKSR110。
同車はKSR-Ⅰ/Ⅱに採用のフレーム、足回り、戦闘的なモタードルックの外装をベースに、4スト111ccエンジンを搭載。腰上をフロントフォーク側にレイアウトした空冷OHCエンジンは、オフロード競技用モデル「KLX110」がベース。
ミッションは左手でのクラッチレバー操作を省いた、ビギナーにも親しみやすい自動遠心式4速を採用(※注1:普通二輪小型限定のオートマチック免許で乗車可能)。タンデムステップなどタンデム走行機能はないため、乗車定員は1名。生産はタイカワサキ。新排ガス規制により、日本仕様車は2009年モデルをもって生産終了となった。
KSR110はそのスパルタンな外観から、カスタムベースにも大人気。ボアアップ、マフラー交換、マニュアルミッション化、足回りの強化など、カスタムメニューも非常に豊富。誰でも手軽に装着できる専用ボルトオンパーツも各種ラインナップ中だ。
※注1:左手でのクラッチ操作を省いたKSR110は、普通二輪小型限定のオートマチック免許で乗車が可能。
KSR110はカスタムベースにも大人気!
フロントフォークにはインナーチューブ径30φの倒立フォークを採用。リヤサスペンションはスタビライザー付の角型スイングアームに、シングルショックを組み合わせている。前後ホイールは12インチで、タイヤはオンロードパターンのチューブレスタイプをチョイス。
ブレーキは前後とも油圧式ディスクブレーキを装備。ディスクローターはフロント200φ・リヤ184φとし、111ccのエンジンパワーに見合う、十分な制動力を確保している。
同車はスパルタンな外観から、カスタムベースにも大人気。マフラー交換程度のライトチューンから、本格的なレース仕様まで実に幅広いのが特徴。ボアアップ、マフラー交換、マニュアルミッション化、足回りの強化などカスタムメニューも非常に豊富だ。
KSR110のクラッチをマニュアル式にチェンジ
KSR110のミッションは、N→1速→2速→3速→4速へとシフトする独特のボトムニュートラル式リターン。クラッチは左手の操作を省いた自動遠心式としている。
この自動遠心式4速ミッションを、マニュアル式4速ミッションに変更するキットもリリース。スポーティーな外観同様、キレのある走りを実現してくれる。
写真上はSP武川からリリースされているハイドロクラッチコンバージョンキット。KSR110の自動遠心式クラッチの部品を流用しながら、手軽にマニュアル化が実現する。シフト操作が軽くなるのも大きなポイント。なお、同社製の4速クロスミッションキットを使えば、現行のノーマルモンキーと同じ1ダウン3アップリターン式に、6速クロスミッションキットを使えばスポーティーな1ダウン5アップリターン式に変更可能。
「ボトムニュートラル式」から「1ダウン3アップ式」にチェンジ!
ノーマルのKSR110は
ニュートラル・1速・2速・3速・4速
の順でシフトするボトムニュートラル式。これを一般的なスポーツモデルと同じ、
1速・ニュートラル・2速・3速・4速
の順でシフトさせることも可能。
写真上はSP武川製の4速クロスミッションキット。このキットは1速・ニュートラル・2速・3速・4速の順でシフトさせるとともに、チューニングエンジンでも扱いやすいよう2速以外のギア比を変更。ノーマルの自動遠心クラッチにも対応しているのがポイントだ。「ボトムニュートラル式には慣れないんだよなあ」「1速から2速へのシフトアップ時にギクシャクしてしまう」というユーザー要チェック。
1速 | 2速 | 3速 | 4速 | |
ノーマル | 3.272 | 1.937 | 1.350 | 1.086 |
SP武川製 | 2.623 | 1.937 | 1.437 | 1.300 |
ボアアップキットで怒涛のパワーを獲得!
111ccのノーマルエンジンは8.4psという余裕のパワー。街乗り程度なら十分なんだけど、「もう少しパワーが欲しい!」という欲張りはにはボアアップキットがおすすめ。
KSR110用は125cc、138cc、143cc、160cc、178cc、4バルブバージョンなど品揃えも豊富。ワンランク上の走りが狙えるシリンダー&ピストン交換のみの125cc、ちょっぴり過激なシリンダーヘッド付きの125cc、ノーマルとは別次元のパワーが獲得できる143cc、モンスターパワーの160ccなど、用途に応じて選べるのが嬉しいところだ。
写真は大口径ポート&バルブを採用して大幅なパワーアップを実現するキタコのKSR110用ULTRA-SEシリンダーヘッド。吸気ポート径26φ、排気ポート径20φ、吸気バルブ径28φ、排気バルブ径23φに設定し、吸排気効率をアップ。
KSR110と同じ横型エンジン用となる同社製モンキー用UKTRA-SEシリンダーヘッドは、吸気ポート径26φ、排気ポート径22φ、吸気バルブ径27.5φ、排気バルブ径23.5φという仕様。125ccの場合、どちらも18ps近くまで出力(以上は同社カタログ値)。原付2種枠となる125ccの場合、KSR110はクランクシャフト交換の必要がないので、モンキー用エンジンよりも安上がり。
また、KSR110用シリンダーの特徴。それはモンキー用とは異なり、カムチェーンテンショナーをシリンダー本体に固定するということ。KSR110用ボアアップキットは125cc、138cc、143cc、160cc、178cc、4バルブバージョンなど品揃えも豊富。ワンランク上の走りが狙えるシリンダー&ピストン交換のみの125cc、ちょっぴり過激なシリンダーヘッド付きの125cc、ノーマルとは別次元のパワーが獲得できる143cc、モンスターパワーの160ccなど、用途に応じて選択可能。
外装、エンジン、足回りをフルチューン
ノジマエンジニアリングがプロデュースしたレース仕様のKSR110改。124ccボアアップエンジンにFCR28φキャブ、ノジマエンジニアリング製マフラーを組み合わせ。足回りはGクラフト製アルミスイングアーム、NSR用ホイール、ブレンボ製キャリパーなどで徹底武装。Z1000を彷彿させる外装は、Fフェンダー、ビキニカウル、タンクカバー、シングルシート、アンダーカウルが1セットになった才谷屋ファクトリー製。
重量感溢れるZRX1200Rレプリカ
MSセーリングがプロデュースした「ホンモノのZRXに迫る」パワフルなKSR110改。MSセーリング製のスクリーン付きビキニカウル、フロントフェンダー、シート&シートカウル、タンクカバー、アンダーカウルを装着。ノーマルとは大きく取り回しを変更したチタンダウンタイプマフラーもジャストフィット。
マニュアルミッション採用のKSR PRO/ダート
自動遠心式クラッチを採用するKSR110をベースに、マニュアル式4速リターン式ミッションを採用したKSRプロ。前後ホイールはスポーティーな12インチキャストとし、フロントカウルなど外装も変更されている。
KSRプロをベースに、ダート用タイヤ、マニュアル式4速リターンミッション、アジャスター付きリアショックを備えた「KSRダート」もあり。
両車はタイカワサキで生産され、日本にも輸入。
初期型のKSR110
2003年に発売された初期型。ライムグリーンとブラックの2色を設定。
●KSR110のSPEC
全長:1670mm/全幅:705mm/全幅:995mm/ホイールベース:1165mm/シート高:705mm/重量:92kg/燃料タンク容量:7.3L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒111cc/ボア×ストローク:53.0mm×50.6mm/圧縮比:9.5/最大出力:8.4ps/8500rpm/最大トルク: 0.83kgm/6500rpm/キャブレター:ケイヒンPB18φ/点火方式:CDI式/変速機:4速リターン/クラッチ:自動遠心式/タイヤサイズ:前後110/90-12/当時の価格:24万9000円(税抜) ★KSR110のギアレシオ 1速:3.000 2速:1.937 3速:1.350 4速:1.086 |
KSR用フォークは他車にも人気!
KSR用の倒立型フォークをモンキーやエイプに流用するカスタムは人気の手法(ダックスやシャリィにはショート加工して装着するのが人気)。社外のステムキット等を使えば、ボルトオンで装着できるのがポイント。写真はGクラフト製ステムやキャリパーサポートを使い、KSR用フォーク、ブレンボ製4POTキャリパー、ペータルディスクローター、ゲイルスピード12インチホイールを組み合わせたエイプ改。
KSR110と共通のFフォークを装備した2ストのKSR-Ⅱ/-Ⅱは、1990年発売のロングセラーモデル。中古パーツも豊富で、一般的にフォーク自体が安価で入手しやすいのも大きな特徴だ
KSR用の倒立型フォークがモンキーに装着できるGクラフト製ステムキット。 → ステムの選び方
モトクロス競技用モデル「KLX110」
KSR110のエンジンは、競技用のKLX110用の111ccがベース。クラッチは両車とも左レバーの操作を省いた自動遠心式だが、KLX110のミッションは3速(KSR110は4速)。
フロントフォークはインナーチューブ径30φのテレスコピック型、リアショックはトラス型スイングアームとガス封入式ショックアブソーバーを組み合わせた本格派。ドライブチェーンには巻き込み防止のため、大型チェーンガイドを装備している。
●KLX110のSPEC(2010年型)
全長:1555mm/全幅:660mm/全高:955mm/ホイールベース:1065mm/シート高:650mm/重量:68kg/燃料タンク容量:3.8L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒111cc/ボア×ストローク:53.0mm×50.6mm/圧縮比:9.5/最大出力:-/最大トルク: -/キャブレター:ケイヒンPB18φ/点火方式:CDI式/変速機:3速リターン/クラッチ:自動遠心式/タイヤサイズ:前2.50-14 後3.00-12//当時の価格:21万4000円 ★KLX110のギアレシオ 1速:3.000 2速:1.938 3速:1.350 |
2004/2005年
2004年、2005年の価格は26万1450円。
2006年
ライムグリーンは27万1950円、それ以外は26万1450円。
2007年
価格は26万1450円。
2008年
価格は26万1450円。
2009年
国内仕様のファイナルモデル。価格は27万2000円。外装パーツのカラー変更の他、フロントフォークのアウター部もブラックカラーに変更。