1986年(昭和61年)に発売開始されたジャズに加え、1995年(平成7年)に新しいゼロハンアメリカンが加わった。その名はマグナ フィフティ。チョッパーフォルムのジャズとは異なる、マッチョなドラッグレーサー風の外観が大きな特徴だ。
ゼロハンには見えない堂度たる風格
1993年(平成5年)、V型4気筒750ccエンジンを搭載したロー&ロングフォルムのマグナが、翌年の1994年(平成6年)には250ccのVツインマグナが登場。
そして1995年(平成7年)、50ccのマグナ フィフティがリリース。ボリューム感溢れるロー&ロングの車体、肉感的な外装類、迫力ある4.50-12サイズのリアタイヤなど、原付1種とは思えない堂々たる風格に仕上がっている。
マグナ フィフティの兄貴分
マグナフィフティの兄貴分であるVツインマグナ(250cc)とマグナ(750cc)。
便利なセル付エンジン
マグナフィフティのエンジンは、12Vモンキーと同じギアレシオのマニュアル式4速ミッションを採用。ポイントは、スターターモーター始動スイッチを押すだけでエンジン始動が可能な、便利なセルフスターターが装備されている点。ただしキックスターターは装着されていない。
マグナ フィフティ用エンジンで注意したいのが、ボアアップ時。ボアアップキットの圧縮比や、バッテリー&セルモーターの新旧などによっても異なるが、一般的に75cc程度のボアアップならセルでの始動は可能。ただし88cc程度なら何とか回ってくれる程度、88ccを超えるとセルは回らなくなると考えていい。
エンジン始動時に圧縮を抜いてキックを軽くしたデコンプ付エンジンキット(SP武川製のスーパーヘッド+DやRステージ+Dなど)の場合は、オーバー88ccでもセル始動できる可能性が高い。
クランクケース上部に設置されたマグナ フィフティのセルモーター。
ダブルクレードルフレームにカブ系の横型エンジンを搭載。いくつかの問題をクリアーすれば、マグナ フィフティ用エンジンをモンキーに載せ換えることも可能だ。
モンキーへの載せ換えについては「4ミニ・チューニングへの道」の項を参照のこと。
マグナフィフティのエンジン型式は「AC09E~」で始まる。刻印が異なる、もしくは無い場合は、エンジンの載せ換えが考えられる。
オフセットされたカウンターシャフト
写真左(上)はマグナ フィフティ、写真右(下)は12Vモンキー。4.50-12サイズのタイヤを履いたマグナ フィフティ用は、12Vモンキー用よりもカウンターシャフトを長めに設定してドライブスプロケットを外側にオフセット。モンキーの足回りを太足仕様にするため、マグナ フィフティ用カウンターシャフトを流用するカスタム術もある。
マグナ フィフティのドライブスプロケットは左側(外側)にオフセット。なおマグナ フィフティとJAZZは同じオフセット量ながら、マグナ フィフティのみスプロケットカバー側にベアリングが装備されている。
フライホイール
250ccのVツインマグナに準じた幅広のティアドロップタンク。スピードメーターはタンク上にレイアウト。
クロームメッキ処理されたカスタム度満点のエアクリーナーカバー。
ロングツーリングにも耐えうるスタイリッシュなシートを採用。
ビッグバイクを彷彿させる大径エンド採用のエキゾーストシステム。表面は豪華なクロームメッキ仕上げ。
6V&12Vモンキー用マフラーは装着できる?
マグナ フィフティ用エンジンのフランジ部(マフラー取り付け部分)は、6V&12Vモンキー用エンジンと共通。従って取り付けステーの自作等により、6V&12Vモンキー用のマフラー(ただしダウン型マフラーなどに限定。またFIモンキー用マフラーは不可)の装着は基本的に可能となる。
ノーマルマフラーの取り付けステー部。
カスタムパーツで自分流にアレンジ!
マグナ フィフティ用カスタムパーツはモンキー・ゴリラ用には及ばないものの、各社からラインナップ。ボアアップキット等のエンジンパーツ、マフラー、外装パーツ、ステム等の足回り用パーツなどがリリース。専用のボルトオンパーツがないため、モンキー・ゴリラ用パーツを加工装着するユーザーも多数。
フォークの角度を8度寝かせたキタコ製のステム。同社のフォーク延長キットとの併用がおすすめ。
ステムを交換&フォークを延長して大胆なチョッパースタイルに仕上げたカスタム。<取材協力:A&7 >
前後にクラシカルフェンダー、2本出しマフラー、大アップハンドルをチョイスした個性的なカスタム。<取材協力:A&7>
アメリカンブームの火付け役!
アメリカンバイクブームの火付け役となった映画『イージー☆ライダー』。チョッパーバイク、ベトナム戦争、ドラッグ、フリーセックス、ヒッピーなど60年代のアメリカを鮮烈に描いた、アメリカンニューシネマの代表作。監督は奇才、デニス・ホッパー。出演はピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソンという大御所揃い。ステッペンウルフが唄う主題歌「ワイルドで行こう」も有名。アメリカンバイクに興味のある人は必見です!
初期型のマグナフィフティ
1995年(平成7年)に発売された初期型のマグナ フィフティタイトルのシルバーとともにブラックがラインナップ。
1996年(平成8年)にはイエローカラーが登場。
1999年(平成11年)、ガソリンタンクのロゴマークとカラーを変更。またパンクに強いタフアップチューブ、新排ガス規制に対応したブローバイガス還元装置を新たに採用。写真は艶消しのマットビュレットシルバー。
2001年(平成13年)、カラーをブーンシルバーメタリックと新色のブラックに変更。ガソリンタンクのロゴマークは250ccのVツインマグナと同じものに変更された。
2003年(平成15年)、クラシカルホワイトとブラックの2色を設定。タンクにはセンターストライプを施すとともに、ガソリンタンクのロゴマークを一新。
2004年(平成16年)、従来のクラシカルホワイトに加え、パールヘロンブルーの2色を設定。
2007年(平成19年)、光沢のあるグラファイトブラックを新たに設定。
●スペック
全長:1960mm/全高:945mm/全幅:760mm/乾燥重量:87kg/燃料タンク容量:8.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/圧縮比:10/最大出力:3.9ps/8000rpm/最大トルク:0.38kgm/6000rpm/変速機:4速リターン/クラッチ形式:マニュアル式/タイヤサイズ:前80/100-16 後4.50-12/発売価格(当時):29万9000円<2007年モデルのみ31万5000円> |
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