ホンダの4ミニエンジンには、モンキーやカブに搭載されている横型エンジン、エイプに搭載されている縦型エンジンがある。両者の違いを検証してみよう。
元々はスーパーカブ用に開発された横型エンジン
エンジンの腰上部分が水平(正確には10度の傾斜あり)に向いたホンダの横型エンジン。モンキー、ゴリラ、スーパーカブ、リトルカブ、マグナ50、ベンリィ、ダックス、シャリー等々、実に幅広く採用されている。元々このエンジンは、スーパーカブへ搭載するために設計されたものだ。
1958年(昭和33年)に発売されたスーパーカブは、「誰でも気軽に乗れる、実用性の高いモデル」を目指して開発。特徴的なのは、女性でも乗り降りしやすいアンダーボーンフレームが採用されていること。性別や年齢を問わず、跨りやすい取り回しのこのフレームに収まるよう開発されたのが、シリンダー&シリンダーヘッド部の腰上がフロントタイヤ方向に向いた横型エンジンというわけだ。
スポーツモデルのCB系用に開発された縦型エンジン
エイプやXR50/100モタード等に採用された縦型エンジンのルーツは、1970年(昭和45年)に登場したスポーツモデルのベンリイCB90。翌1971年(昭和46年)、CB90ベースのエンジンを搭載した50ccスポーツモデル、ベンリイCB50(写真)がリリース。その後、縦型エンジンはR&P、XR、XE、TLなどにも採用された。
一般に縦型エンジンは、ピストンやコンロッドなどの重さ(物が地面に落下する万有引力)を利用できるので、クランクシャフトの動きがスムーズになりパワーを出しやすいという特徴がある。
ベンリイCB50が登場以来、ホンダの4ミニは、縦型エンジン搭載車を走り重視のスポーツモデル、横型エンジン搭載車を燃費や利便性を重視した実用派モデル、または楽しさを重視したレジャーモデルに位置付けしている(※注1)。
※注1:ノーマルのカブとモンキーは同系の横型エンジンを搭載しているものの、セッティングは異なっている。
横型エンジンは、<1> ロングストローク型
カブ用に開発された横型エンジンは、ボア径よりもストローク量が大きいロングストローク型。ノーマルの横型エンジンは燃費も良く、ネバリ強くて扱いやすいのがポイントだ。エイプ系の縦型エンジンに社外のロングストローク型ボア&ストロークアップキットを組み込んだ場合、ショートストローク型とは対照的に、低中回転域でズ太いトルクを発揮するトルク型エンジンに仕上がる。
縦型エンジンは、<3> ショートストローク型
前傾12度の傾斜を持つCB系の縦型エンジンは、ストローク量よりもボア径が大きいショートストローク型。ノーマルの縦型エンジンは、スポーツ性と扱いやすさを両立させた味付けとなっている。一般的にショートストローク型は、高回転までスムーズに回ってくれるため、レーシングエンジンなどに採用。縦型&横型とも社外のショートストローク型ボアアップキットを組み込んだ場合、ロングストローク型とは対照的に、高回転域でパワーを稼ぐレーシーなエンジンフィールとなる。
124ccフルチューンモンキーに多用される <2> スクエアストローク型
ボア径とストロー量が同寸のエンジン。一般的にロングストローク型とショートストローク型の中間的な特性を併せ持つ。モンキーなど横型エンジンの場合、原付2種規定ギリギリの排気量となるボア54mm×ストローク54mm=124ccのスクエアストローク型エンジンキットが各種発売されている。
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