バイクのマフラー – エキパイの取り回しは性能にも影響する

モンキーやエイプなどの4ミニ用マフラーにはダウン型、アップ型、ショート型など様々な取り回しがある。これはどのくらい性能に影響があるのだろうか? ミニバイクレースでも圧倒的な強さを誇る水本レーシングの水本氏にお話を伺った。

レースシーンにおいて、縦型はアップ型のセンター出しが有利?

– ズバリ、“速くなるマフラー”というのはどんなタイプですか。

「排気量に見合ったエキパイの太さ、排気ガスが外に流れやすい形状、そして適度な長さを持ったマフラーです」

– 排ガスの流れを良くするため、いっそのことマフラーを取っ払うというのはどうでしょう。

「百害あって一利なし。爆音をまき散らすだけで、マトモに走らないでしょう。排ガスの抜けを良くするというのは、効率良く排ガスを放出するということ。ただ単純に放出してしまえばいいというものではありません」

– 4MINI用マフラーにはいろんなカタチのマフラーがあります。レースに強いマフラーはダウン型、それともアップ型?

「高回転域を多用するウチのレース用マシン(NSRフレームにエイプの縦型エンジンを搭載した125cc)には、長年アップ型を採用してきました。カートコースでアップ型とダウン型の両方を乗り比べてみたんですが、パワーや加速感はアップ型、しかもセンター出しのほうが体感的にではありますが、若干上回るような気がしました。また、サーキット走行ではアップ型のセンター出しはバンク角も稼げますし、転倒時のダメージも少ない。そちらの面でも有利なのでは」

横型は僅差の勝負!?

– モンキー系の横型はどうでしょう。

「ウチのレース用マシン(124cc)には、ダウン型とアップ型センター出しの両方を採用してきました。横型にアップ型マフラーを付ける場合、一度エキパイをメインフレーム方向まで戻して、それから後ろへ引っ張ってこなくちゃいけない。排気ガスを極限までスムーズに排出してやるという観点から考えた場合、横型にはダウンマフラーの取り回しの方が若干ではありますが有利なのかもしれません」

エキパイは長いほど性能が出る?

– モトGPマシンのエキパイはかなり複雑な曲線を描いていますね。あれをギューっと伸ばしてみると、かなり長くなると思われます。長い方が性能は出るものなんですか。

「モトGPマシンと4ミニでは排気量もエンジン性能も違いますから。4ミニ用マフラーの場合、ただ闇雲に長くすればいいというわけではありません。ウチのマフラーにも取り回しの関係でエキパイを長くしているタイプがありますが、決して『速くするために長くしよう』としたわけではありません。排気ガスの抵抗を可能な限り少なくする=排ガスをスムーズに流すこと。これが4スト用レーシングマフラーの基本です」

縦型ならスポーティーなショート型も可能?

– ところでショート型マフラーなんてのもありますが

「横型エンジン+ショート型はストリートで使う分にはまったく問題ないんですが、エキパイが短くなってしまうからレースで使うにはかなり不利。エンジン本来が持つ性能を、フルに発揮しにくいんです。でも縦型+ショート型はエキパイの長さも適度に保てる。性能的にも期待できるんじゃないかと思います。エンジン下部にサイレンサー部をレイアウトした縦型用のショートマフラーは、ヨシムラさんからもすでに発売されてますし(写真は2009年モデル・絶版)」

センター出しのツイン型は最強か?

– サイレンサーの形状は速さに影響しますか。

「もちろん。内径が太すぎても狭すぎても駄目ですね」

– マフラーにはセンター出しのツインサイレンサーというカッコいいモデルもラインナップされてますね。

「あれはカッコ良さだけではないんです。サイレンサーを2本にすることでトルクも増すしエンジンも良く回るんです。ただしエキパイの分かれ目(2方向にエキパイが分かれる箇所)を可能な限りサイレンサー入口に近付けること。これが重要かな」

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