ポイントマグネット式は定期的なメンテナンスや調整が必要
モンキーの点火方式は、FI(フューエルインジェクション)モデルがフルトランジスタ式、12VモデルがCDI式、そして6Vモデルがポイントマグネット式。メンテナンスフリーのフルトランジスタ式やCDI式と違い、ポイントマグネット式は定期的なメンテナンスや調整が必要となることをお忘れなく!
6Vモンキーに採用の「ポイント式」の特徴
6Vモンキー用エンジンに採用のポイントマグネット点火方式、略してポイント式とは、フライホイール内に設けられたカムが、回路へと続くポイント(コンタクトブレーカーとも呼ぶ)の接点を開閉。これにより、スパークプラグに火花を飛ばすための電流をON/OFF制御している機械式の点火装置だ。
ポイントの接点は、エンジンが掛かっている間は常時「カチカチ」と開閉。電流のON/OFFを、何度も何度も繰り返すという非常に過酷な状況下にある。そのため、定期的にメンテナンス及び調整をしないと接点が汚れて接触が悪くなり、電流が弱くなる、点火タイミングがずれてしまう等のトラブルを招いてしまう。
決して難しくない!6Vモンキーのメンテナンス方法
上記トラブルを回避するため、ポイント式は定期的にポイント接点の掃除や点火時期の調整を行う必要がある。
一般的にポイント調整=難しいというイメージがあるが、決して難しい作業ではない。コツさえ掴んでおけば、誰でも簡単にメンテナンスできるはずだ。
ポイント調整のメリットは、何といっても『点火のタイミングとエンジンのしくみ』がよく理解できるということ。「点火時期がズレると、なぜエンジンの掛かり具合や走行性能が悪くなるのか」など、点火とエンジンの関係が掴みやすいはず。
しっかりとメンテナンスすれば、6V車もまだまだ現役。安い6V車を買って、残りのお金でカスタムしてみるのも4ミニカスタムの楽しみ方のひとつだろう。
「電球」を利用した、点火時期の確認と調整方法とは?
ショップなどでは、6Vモンキーの点火時期の調整は「タイミングライト」という専用工具を使用するが一般的。
それ以外にもうひとつ、昔から一般ユーザーの間で行われてきた方法がある。ビギナーでも簡単に、しかも安価に6Vモンキーの点火時期の確認・調整ができる画期的な手法を、順を追ってご紹介しよう。
<1>取り外した6Vの車載バッテリー、6V/5W程度の電球、配線を用意する。
<2>ジェネレーターカバーとACジェネレーターのカプラーを外し、バッテリーの-極とカプラーの一次線(黒色の配線)をつなぐ。
<3>電球の片方の配線をバッテリーの+極に接続し、もう一方を車体にアースする。
<4>電球が明るく点灯したところでフライホイールを回転方向に回し、切り欠きになったエンジン側の合わせマークと、フライホイール側のFマーク(点火の位置)とを合致させる。この時、ランプの明かりが暗くなったら点火のタイミングは適正(ポイントの接点が開いた状態)。
フライホイールの窓からポイントを確認してみた
切り欠きになったエンジン側の合わせマークと、フライホイール側のFマークを合致させてもランプが暗くならない場合は、点火のタイミングが不適正、もしくはポイント接点の接触不良等が考えられる。エンジン側の合わせマークとフライホイール側のFマークを合致させた時、フライホイールの長穴からポイントの一部が見える。なお、点火時期はこの長穴からでも調整可能。
フライホイールの取り外し作業
構造及び作業の方法を分かりやすくするため、フライホイールを取り外してみる。取り外しには、専用工具のフライホールプーラーが必要。同工具はパーツメーカーからリリースされている(写真は12Vモンキーの取り外し作業の模様)。
点火時期の調整方法
点火のタイミング調整は、フライホイールを装着したままの状態で行う。写真は構造及び作業の方法を分かりやすくするため、フライホイールを取り外したところ。
<1> 長穴にドライバーを突っ込み、ポイントを固定しているプレートのビスを緩める。
<2> 細めのマイナスドライバーで凹部分を上下に動かし、ブレーカープレートの位置を変更して点火時期を調整。
<3> 作業のポイントは、Fマークと切り欠きが合致し始める時、ポイントの接点が開き始めるようにすること。
<4> もうひとつのポイントは、まず接点のすき間を開けておき、徐々に閉まる側へ動かして調整すること。例えばすき間が0.1mm違えば、フライホイールでは10mmのズレになってしまうため、少しずつ動かすことが大切だ。調整が終わればブレーカープレート取り付けビスを、元通りに締め込む。
<5> 6Vバッテリーと電球を使い、フライホイールを回して適正な点火時期であるかを確認(上記作業)。点火時期が適正でなければ、再度<1>~<5>を繰り返す。
ポイント接点の掃除の方法
<1> フライホイールを取り外す。
<2> 耐水性の紙ヤスリを二つ折りにして、ポイントの接点部分に差し込む。この状態でゴシゴシとこすり、上下の接点の汚れをキレイにする。
<3> 取り外したフライホイール内側のサビや汚れもキレイに除去。なお、ポイントの反対側にはオイルを含ませるフエルトが設置。このフエルトにもオイルを注油しておくこと。
ポイント本体の交換方法
ポイントを調整しても接点の掃除をしても、点火時期が適正でない場合は、過度の接点の汚れや焼けによるポイントの不具合が考えられる。
<1> クランクシャフトとブレーカープレートを動かし、ポイントの接点が一番開く位置に合わせる。
<2> 特殊工具の「シックネスゲージ」を使い、接点のすき間を測定。規定値は0.3~0.4mm。規定値外ならばブレーカープレート取り付け用ビスを緩め、ポイントを交換する。
「すき間」を計測するためのシックネスゲージ。写真はエンジンのバルブクリアランスを計測しているところ。
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