モンキー・エイプのエンジン分解・組み付けに必要な専用工具たち

モンキー・エイプのエンジン分解・組み付けに必要な専用工具

モンキーやエイプはカスタムパーツも豊富だからチューニングに大人気。このエンジンをバラすためには一般工具はもちろん、専用工具も必要となります。どのような専用工具が必要なのか見てみましょう。

一箇所のみの作業に秀でた専用工具は、一般工具よりも便利で使いやすいのが特徴

「一般工具」とは、プラス&マイナスドライバー、モンキーレンチ、メガネレンチ、ボックスレンチ、スパナ、プライヤー、ラジオペンチ、ニッパーなど、ホームセンターなどで入手できるツールたちです。

日常的に使用する一般工具は使いやすく、逆に専用工具(特殊工具)は専門知識が必要で扱いにくい。そんなイメージを抱いている人もいるでしょう。

しかしそれは間違い。専用工具はとっても便利です。

確かに専用工具は一般工具のような「何でもこなせる」という万能性はありません。ただし「ある特定のパーツの取り外し・取り付け」においては、一般工具では遠く及ばない物凄い力を発揮。一般工具で作業するよりも遥かに使いやすく、しかも短時間でこなすことができます。

専用工具を使わず、無理をして一般工具を使用する…・これは時間と体力の無駄です。「専用工具代をケチったばかりにパーツ破損を招いた」という話は珍しくありません。特定箇所の作業には、必ず専用工具を使うべし。一度使えば「何て便利なんだろう!」と感動すること間違いなしです。

腰上の分解・取り付けに必要な専用工具

腰上の分解は一般工具で作業OK

腰上(シリンダーヘッド、シリンダー、ピストン等)の分解は一般工具のみで作業可能です。

エンジンの腰上と腰下

エンジンの腰上パーツたち

エンジンの分解方法-腰上(ヘッド回り)

エンジンの組み付け方法-腰上(ヘッド回り)

モンキー・エイプのエンジン分解・組み付けに必要な専用工具
モンキー・エイプのエンジン分解・組み付けに必要な専用工具

腰上の組み付けには専用工具が必要

ただし注意したいのが組み付け時。規定トルク値でボルトやナットを締め付けるための「トルクレンチ」、吸気側のバルブと排気側のバルブクリアランス(すき間)を調整するための「シックネスゲージ」や「タペットアジャストレンチ」などの専用工具が必要です。

バルブクリアランスの調整方法

モンキーのエンジンをトルクレンチで締め付け
トルクレンチ
トルクレンチ

各部の取り付けにはトルクレンチを使い、規定トルクで締め付けることが大切。規定トルク以外で締め付けた場合は、

1. トルクの掛けすぎによるパーツの破損

2. ボルトやネジの緩み

を招く恐れがあるので注意しましょう。

写真上はグリップ部を回転させて規定トルクに設置するタイプ。設定トルクをデジタルで表示する便利なタイプもあります。

ピストンの取り外し・取り付けにはラジオペンチが大活躍

ピストンの取り外し・取り付けには、一般工具の定番であるラジオペンチを使用。ラジオペンチの先端でピストンクリップをつまみ、外へと引っ張り出します。

モンキーのピストン組み付け
モンキーのピストン取り外し

サークリップの取り外し・取り付け方法

「スナップリングプライヤー」を使用

クラッチ本体やキックスターターアームを固定しているサークリップ。このクリップの取り外しには『スナップリングプライヤー』を使用するのが常識です。

クラッチ回りの分解・組み付け

両端に2つの穴が設けられたサークリップは、シャフト類にパーツを挿入し、固定するのに使われているアイテム。スナップリングプライヤーを使えば簡単に取り外し・取り付けできます。

スナップリングプライヤー
スナップリングプライヤーでサークリップを取り外し

スナップリングプライヤーは小さく凸状になった先端をサークリップの2つの穴に挿入・固定し、サークリップを広げて取り外すしくみ。工具店等で購入可能。価格はスタンダードなタイプで5000円前後。

ドライバーで取り外しは可能か?

試しにマイナスドライバー(精密ドライバー)を2本使用して作業に挑戦。両手にマイナスドライバーを持ち、指に全神経を集中させ、左右にギューっと広げて取り外し。思いのほかドライバーに力が入らず、両穴からドライバー先端が何度もスッポ抜け。素直に専用工具を使ったほうがベターです。

サークリップを取り外し

ロックナットの取り外し・取り付け方法

「ロックナットレンチ」を使用

クランクシャフトのシャフト部に直付けされ、ミッションへと回転力を伝えるプライマリードライブギヤ。このパーツを固定しているのがロックナット。このナットは4つの切り欠きを設けた特殊ナット。

これを緩める時&締め付ける時には、専用工具の「ロックナットレンチ」を使うのが常識です。4MINI用のロックナットレンチは各パーツメーカーから発売。価格は3000円前後です。

モンキーのエンジンのロックナット
ロックナットレンチ

Tレンチにロックナットレンチを接続し、4つの切り欠きにロックナットレンチ凹凸部を合致させて回転させます。高回転するこの部分はかなり固く締まっているので、滑らないように上からしっかりと押さえつけながら回すのがポイント。

ロックナットレンチでロックナットを取り外し
ロックナットを取り外し

一般工具でロックナットは取り外せるか?

ロックナットを取り外し

ビギナーの中にはマイナスドライバーやタガネなどをロックナットの凹部にカマし、ハンマーで叩く人もいますが、クランクシャフトの歪み等の原因になるので絶対にNGです。

フライホイールの取り外し

「フライホイールプーラー」を使用

保安部品やスパークプラグへの発電だけでなく、クランクシャフトに重みをもたせて低中回転域での安定感を保つフライホイール。

フライホイールの中央部に逆ネジになったフライホイールプーラー本体をねじ込みます。次にフライホイール本体をモンキー等でしっかりと固定し、フライホイールのハンドルを回転。すると意図も簡単にフライホイールがカパッと外れます。

バイクの電装 – ジェネレーター

ジェネレーターの分解。組み付け

モンキーやエイプのアウターローターとインナーローター

モンキーのフライホイール
フライホイールプーラー
モンキーのフライホイールを取り外す
モンキーのフライホイールを取り外す

フフライホイールプーラーはライホイール取り外しの必須アイテム(フライホイール取り付け時は必要なし)。4MINI用は各パーツメーカーから発売中。価格は3000円前後。

モンキーのフライホイールを取り外す

フライホイールは一般工具で取り外し可能?

試しに2本のマイナスドライバーを使い、テコの原理でフライホイールの取り外しに挑戦。ドライバーに力をかけ、かなり強引にフライホイールの周りをグイグイと攻めてみたが、ビクともせず。フライホイールプーラーがなければ、フライホイールの取り外しは不可能です。

固いネジやボルトの取り外し

「ショックドライバー」を使用

ハンマーで柄の部分を叩くとドライバーの先端部が回転する専用工具、ショックドライバー。古くて固着、またはネジロックされた固いネジやボルトを緩める時の必須アイテム。ネジ山のナメを防いでくれるのが特徴です。

ショックドライバー
ショックドライバー

5速ミッションのシフトドラムストッパープレートのプラスビス(ノーマルは六角ビス)を取り外しているところ。この箇所は緩み防止のため、ネジロックを使用。「素手では固くて緩まない」「ネジをナメて(ネジ山が潰れて)しまいそうだ」という場合は、ショックドライバーを使用します。

古い車両のレストア時などにネジやボルトが固着して回らない場合は、ショックドライバーを使用する前に、CRCなどの潤滑剤をたっぷりと吹き付け、内部にしみ込むまでしばらく放置することが大切。

いきなりショックドライバーを使うと、ネジやボルトが折れてしまう可能性があるので注意しましょう。

スプリングを引っ掛ける

「スプリングフック」を使用

スプリングを引っ掛けるのに便利なのがスプリングフック。スプリングの片方を引っ掛け、引っ張りながら目的の箇所に引っ掛けます。場所によってはラジオペンチ等を使うこともできますが、効率性や確実性を考えればスプリングフックを使用したいところです。

モンキーのエンジン分解にスプリングフックを使用
モンキーのエンジン分解にラジオペンチを使用

写真上はキックスターターアームを取り付けているところ。ラジオペンチではクランクケースに傷が付く可能性もあるので、できればスプリングフックを使用したいところです。

モンキー・エイプのエンジン分解・組み付けに必要な専用工具

1 個のコメント

  • TAKEYAMA より:

    ビス、ボルトについてですが、なぜキャップボルトを使わないのでしょうか?

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