ホンダ(HONDA) CT110 CT50 [ハンターカブ]

バイク=ハーレーなどの大排気量車が定番だった1950年代のアメリカ。ホンダはバイクの新たな楽しさを提案すべく1961年、カブを市場に投入。カブの需要は拡大し、レジャー、狩猟、広大な農園管理など、多方面にて活躍。ただしそのフォルムは、日本のカブとは明確に異なっていた。

■取材協力:ホンダコレクションホール

1962年 CA100

アメリカにおけるバイク&ライダーに対する偏ったイメージを覆し、ホンダの知名度アップのきっかけとなったCA100。アメリカ市場に向けて開発された輸出専用モデルだ。

アメリカでの車名は「HONDA 50」。エンジン、フレーム、足回りは初代スーパーカブのC100がベース。ツートンカラーのダブルシート、タンデムステップを装備しているのがポイントだ。

このマシンは愛らしい外観やリッター90kmの低燃費エンジンなどで、アメリカでも好評を得た。カラーはスカーレットレッド/ホワイトの他、ホワイト、ブルー/ホワイト、ブラック/ホワイトも設定。1970年まで生産された。

●SPEC 

全長:1780mm/全幅:575mm/全高:945mm/重量:55kg/燃料タンク容量:3.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒49cc/ボア×ストローク:40mm×39mm/圧縮比:8.5/最大出力:4.3ps/9500rpm/最大トルク:0.33kgm/8000rpm/変速機:3速/クラッチ:自動遠心式/タイヤサイズ:前後2.25-17

1962年 C105T トレール55

1961年、アメリカ市場に投入されたトレール車「C100T トレール50」の次モデル。レッグシールドを取り外し、ブロックパターンタイヤを装着したワイルドなフォルムのTシリーズは「トレールカブ」と呼ばれ、アメリカでも人気となった。

登坂力アップのため、大小2枚型のWリヤスプロケットを採用。チェーンを掛けかえることで、好みの走りに変更できるというユニークなシステムも導入された。写真のメッキ仕様は優良ディーラーに贈られた貴重な非売品。

●SPEC 

全長:1725mm/全幅:575mm/全高:945mm/重量:73kg/燃料タンク容量:4.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒54cc/ボア×ストローク:42mm×39mm/圧縮比:8.5/最大出力:5.0ps/9500rpm/最大トルク:0.38kgm/8500rpm/変速機:3速/クラッチ:自動遠心式/タイヤサイズ:前2.25-17 後2.50-17/最高速度:65km/h

メッキパーツも随所に投入

エンジンはカブC105ベースのOHV54cc。アンダーガードはオプションだった。

国内仕様のC105やC100と同形状の薄型フィッシュテールマフラーを装備。

1963年 CA105T トレール55

アメリカホンダ(1959年に設立)がさらなる需要拡大を目指して開発したレジャーモデル。

前モデルのC105Tと同様、レッグシールドを除去し、ブロックパターンタイヤ、大小2枚のWリヤスプロケットを装備。ただしCA105Tはフロントフェンダーが取り外され、アップマフラーを採用。狩猟用のガンキャリアやサイドキャリアもオプション設定された。

日本では当時、フェンダーなどを取り付け、「ハンターカブC105H」の車名で少数ながら市販されている

●SPEC 

全長:1725mm/全幅:575mm/全高:945mm/重量:73kg/燃料タンク容量:3.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒54cc/ボア×ストローク:42mm×39mm/圧縮比:8.5/最大出力:5.0ps/9500rpm/最大トルク:0.38kgm/8500rpm/変速機:3速/クラッチ:自動遠心式/タイヤサイズ:前2.25-17 後2.50-17/最高速度:65km/h/日本での当時の価格:6万円(1965年の公務員初任給は2万1600円) 

 

ヒートガード付きのアップマフラーを装備。

クランクケース下に装着されたエンジンガードはオプション設定のもの。

1964年 トレールCT200

1964年にOHV87ccエンジンを搭載したモデルが登場。パワフルになり、オフロードでの走破性を一段とアップさせた。

レッグシールドレス、Wリヤスプロケット、ヒートガード付きアップマフラーは健在。ただしヘッドライトの大型化やパイプハンドルの採用など、フロント回りのデザインは変更されている。

●SPEC 

全長:1805mm/全幅:565mm/全高:720mm/重量:82kg/燃料タンク容量:6.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒87cc/最大出力:6.0ps/8000rpm/最大トルク:0.65kgm/6000rpm/変速機:3速/クラッチ:自動遠心式/タイヤサイズ:前2.25-17 後2.50-17/最高速度:65km/h/日本での当時の価格:6万円(1965年の公務員初任給は2万1600円)

バーハンドルやエンジンガードを装備

フロントマスクは一新。エンジンガードを兼ねたサブフレームも新たに装備。

ヒートガード付きアップマフラー、大型のリアキャリアを採用。

レッグシールドを外しているため、箱型のエアクリーナーカバーを装備。

前モデルから採用されているWスプロケットも健在。

1969年 トレール90

エンジンがOHC型になり、排気量も89ccにアップ。強力なトルク特性と副変速機により、25度の登坂力を発揮した。

テレスコピック型フロントフォークの採用によって足回りも強化。街乗り、レジャー、スポーツ、狩猟など、幅広く活躍した。

1972年モデルより補助燃料タンクが装備され、行動範囲も大幅に広がった。

●SPEC 

エンジン:空冷4スト単気筒OHC89cc/最大出力:7.0ps/8500rpm/最大トルク:0.69kgm/6000rpm/ミッション:副変速機4段/重量:88kg

 

レッグカバーはサイドカバーと一体化。サブフレーム、アンダーガードも装備済み。

遠距離走行を想定し、リア部には補助タンクを装備。

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