モンキーのエンジン分解・組付 3 – 湿式クラッチ回り

腰上の分解が終わったら、今度は腰下の分解。まずはクラッチ周りを分解してみます。写真のエンジンにはチューニングエンジンの必須アイテム、2次側クラッチが組み込まれています。

モンキー用エンジンに装着された2次側クラッチを分解してみる。

クラッチカバー取り付け用ボルトをすべて緩める。

ボルトの長さは数種類あり。再び取り付ける時は、まずすべてのボルトを挿入し、頭の出っ張りが均等になっているかを確認すること。

●規定トルク:1.2kg・m(※)

ボルトを取り外し、クラッチアームを作動させればカバーは外れる。
外れない場合はプラスチックハンマーでカバーの周りを軽く叩いてやる。ボルトの取り付け穴周辺など、強度の高い箇所を万遍なく叩くのがポイント。

クラッチカバーの裏にはクラッチを動作させるための「クラッチリフターロッド」というパーツが固定(手に持っている小さなパーツ)。紛失や組み忘れには十分注意すること。

4本のボルトを対角線状に均等に緩め、クラッチリフタープレートを取り外す。 再び組み込む時も、対角線状に均等に締め込むことが重要。

●規定トルク:1.0kg・m(※)

クラッチリフタープレートの奥にはクラッチスプリングが4つセットされている。

プライマリードライブギヤの先端にあるオイルスルーパスを取り外す。 このパーツの詰まりは焼き付きの原因となる。組み付け前にパーツクリーナー等でしっかりと洗浄しておこう。

特殊工具の「ロックナットレンチ」使い、ロックナットを緩める。 作業時はクランクシャフトの供回りを防ぐため、クランクシャフトのコンロッド部に「コンロッドストッパー」をかませる。下記参照。

●規定トルク:4.0~4.5kg・m(※)

取り外したロックナットとロックワッシャー、そして専用カラー。

腰下分解の必須アイテム、コンロッドストッパー。写真はSP武川製。

こちらも腰下分解の必須アイテム、ロックナットレンチ。 各パーツメーカーからリリース。


特殊工具の「スナップリングプライヤー」で、クラッチ中央にハメ込まれているサークリップを取り外す。

取り付け時はサークリップ取り付け用の溝が露出していることが前提。溝が露出していない時は、クラッチ本体が根本まで沈み込んでいない証拠。もう一度組み直してみよう。

腰下分解の必須アイテム、スナップリングプライヤーは、各パーツメーカーや工具店などで発売。

サークリップを外せば、クラッチ本体がごっそりと取り外せる。写真右はクラッチセンターを取り外したところ。

このクラッチはフリクションディスクを4枚装備し、オーバー100ccのハイパワーにも対応。 取り外し後はクラッチ板の磨耗具合を点検しておく。

クラッチをスムーズに動作させるスラストベアリング、スラストワッシャー、ベアリングリテーナーを取り外したところ。

スラストベアリングは2枚のスラストワッシャーで挟まれている。取り付け時はスラストベアリングにオイルを注入。

クランクシャフトに固定されているプライマリードライブギヤとカラーを取り外したところ。 これで2次側クラッチの分解は終了。

パーツの取り付けにはトルクレンチを使用

各部の取り付けにはトルクレンチを使い、規定トルクで締め付けることが大切。規定トルク以外で締め付けた場合は、

1. トルクの掛けすぎによるパーツの破損

2. ボルトやネジの緩み

を招く恐れがあるので注意しよう。


グリップ部を回転させて規定トルクに設置。設定トルクをデジタルで表示する便利なタイプもあるので要チェック。

※注:上記締め付けトルク値はメーカーのサービスマニュアルによるものであり、各メーカーのパーツによって異なる場合があります。

次なるステップ →オイルポンプの分解・組み付け

前の作業に戻る →腰上パーツの組み付け

【合わせて読みたいクラッチの関連ページ】

→ モンキーとエイプのクラッチ

→ ノーマルモンキーに採用の1次側クラッチ

→ エイプに採用の2次側クラッチ

→ 湿式クラッチと乾式クラッチ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です