ホンダ(HONDA) MONKEY [モンキー]・Z100、CZ100、Z50M




リジッド式サスを採用した懐かしいモンキー。特にZ100やCZ100、そしてZ50Mなどは今では滅多にお目にかかれない貴重なお宝級のビンテージモデルとなった。長くて華麗なモンキーの歴史は、ここから始まった。

1961年(昭和36年)10月 Z100

モンキーヒストリーの原点はこのモデル

1961年10月、東京・晴海で開催された自動車ショー。このイベントで発表されたモンキーの第1号とも呼ぶべき車両がこのモデルだ。前後5インチホイール、前後リジッドサス、アップマフラー、三角形の樹脂タンク、現行モデルとは異なる工具なしで取り外しが可能な折り畳み式ハンドルなどを採用。エンジンはスーパーカブ系のOHV49ccエンジンを搭載している。

当時このモデルは受注生産方式により、ごく一部のルートのみに流通。東京都日野市にあった「多摩テック」の遊戯車両としても採用された。

多摩テック=モンキー発祥の地と言われる由縁はここにある。同地では子供でも安全に走れるよう、最高速度が15kmから20km/h程度に抑制されていたという。62年末からは、ヨーロッパに輸出が開始された。「タマ数は極少」「製造元のホンダにも詳しい資料がない」という貴重なモンキーだ。

●SPEC 

全長:-/全高:-/全幅-/乾燥重量:-/燃料タンク容量:-/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒49cc/最大出力:4.5ps/9500rpm/最大トルク:-/変速機:3速ロータリー/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後4.0-5

1963年(昭和38年) CZ100

多摩テックでも活躍した輸出用モデル

61年型スポーツカブ(C111)の6ℓメッキタンクを流用してコストダウンを図った64年発表のモンキー、CZ100。Z100同様、ホンダにも詳細な資料が残っていないという超お宝モデルだ。Z100との違いはタンクのほか、フレーム形状、エンジン特性、キャブレターなど。このモデルは主にヨーロッパなどに向けて輸出。国内では子供たちの遊技用として多摩テックでも大活躍した。

●SPEC 

全長:-/全高:-/全幅-/乾燥重量:-/燃料タンク容量:6ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHV単気筒49cc/最大出力:4.3ps/9500rpm/最大トルク:0.34kgm/8500rpm/変速機:3速ロータリー/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後4.0-5

 

Z100にはサイドドラフト式キャブレターが装着されているが、CZ100にはダウンドラフト式キャブレターが採用されている。歴代のモンキーでダウンドラフト式を採用しているのはCZ100のみ。ちなみにOHV49cc+ダウンドラフト式キャブの組み合せは、当時のスーパーカブC100と同じ方式。これはスポーツカブC110用の大型メッキタンクとの干渉を防ぐためだと推測される。

スーパーカブのスポーツモデル、C110。CZ100のタンクは同車用(61年型のC111用)が流用された。写真はタンクにメッキ処理が施されていない初期型の60年モデル。

→スポーツカブC110

モンキー発祥の地、多摩テックは1961年(昭和36年)、「ユーザーに思う存分走れる場所を提供する」をスローガンにオフロードコースなどを設置。本格的なモータースポーツランドとして開園した。

その歴史は62年に完成した「鈴鹿サーキット」よりも古く、元世界GPライダーであり元レーシングドライバーの高橋国光氏、元レーシングドライバーの長谷見昌弘氏など多くのオフロードライダーたちがこの地でテクニックを磨いた。その後は操る喜びを提供する遊園地へと進化。2009年9月末に惜しまれつつ閉園となった。

1967年(昭和47年)3月 Z50M(型式:1967 Z50M Z50M-101000~)

OHCエンジン搭載の国内量産モデル

当時ヨーロッパを中心に輸出されていたモンキーは、海外のモーターショーなどにも展示。高い評価を獲得していた。国内では多摩テックの遊技用の乗り物として活躍していたが、子供だけでなく一緒に遊びに来ていた大人たちからも大好評。「国内でも市販して欲しい」という声が高まり、67年、ついに公道用として国内販売された。

派手なレッドのフレームとチェック柄のシート、車にも積み込みやすいよう折り畳み式に設計されたハンドルを採用。バイク=運搬用が当たり前だった当時としては、とびきり斬新な設計だった。ちなみに発売当時のキャッチコピーは、「ピクニックの必需品」。

国内ではZ50Mこそ初代モンキー

フレーム&足周りは前モデルのCZ100同様、リジッド式&5インチ。エンジンはOHVからスーパーカブC50系のOHCに変更されている。Z50Mは日本国内で正式に発表された公道走行用モデル第1号。そのため、Z50Mを「初代モンキー」とする場合が多い。またホンダでも「モンキー○周年記念モデル」は、Z50Mが誕生した67年を起点にしている。

●SPEC 

全長:1150mm/全高:790mm/全幅:545mm/乾燥重量:47.5kg/燃料タンク容量:2.5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.5ps/6000rpm/最大トルク:0.31kgm/5500rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後4.0-5/価格:6万3000円(当時) ※67年銀行員初任給(大卒平均)2万8500円

 

42年を経た今でもしっかりと受け継がれている折り畳み式ハンドル。ハンドルを畳めば、幅350mmまでコンパクト化。

コンパクトな形状のガソリンタンク。

シフトペダルはスーパーカブと同じシーソー式を採用。

シート下にはオイルキャッチタンクのようなサイレンサーがレイアウト。

リア同様、フロントもリジッド式サスペンションを採用。

ホイールは現行モデル採用の8インチではなく5インチ。

1969年(昭和44年)7月:Z50A( 型式:Z50A Z50A-1697806~)
1970年(昭和45年)4月:Z50Z (型式:Z50Z Z50A-263303~)
1972年(昭和47年)4月:Z50ZK<1> (型式:Z50A-2000002~2010525)

前後8インチ化で安定性をアップ

1969年、モンキーは5インチのレジャーモデルから、公道での走行安定性も重視した8インチにモデルチェンジ。リヤサスはリジッド式のままだが、フロントフォークはテレスコピック型に変更されている。Z50Aはリヤブレーキを左レバーで操作する方式を採用。また電装系簡略化のためにZ50Mには搭載されなかったバッテリーを新たに採用し、ウインカーも装着。カムチェーンテンショナーはマニュアル式から自動油圧式に変更されている。

翌70年には再度リヤブレーキのフットペダル化にしたZ50Zがリリース(写真)。同車には69年発売のダックスに採用された、工具なしでフロントフォークの取り外しができるフォーク脱着機能を採用。またフォーク脱着作業を考慮し、センタースタンドも装備。車への積み込み・固定を一層容易にしている。

72年にはZ50Zをベースにヘルメットホルダーを追加したZ50ZK1が登場。なお、カムチェーンテンショナーは再度マニュアル式に戻されている。

●SPEC 

全長:1225mm/全幅:580mm/全高:875mm/乾燥重量:47.0kg/燃料タンク容量:3.0ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.30kgm/5000rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:6万3000円(Z50A/当時) ※69年公務員初任給 3万1000円

Z50Zのトップブリッジ回り。フロントフォークはダックスにも採用の脱着式。中央のハンドルレバーを回して取り外し&取り付けを行うシステムだ。

シフトペダルは前モデルのZ50Mと同じシーソー式。

テールランプはかなりビッグサイズ。

Z50Aはダウンマフラーだが、Z50Zには6Vモデルと同様の取り回しのアップマフラーを採用。

リジッド式サスペンションの特徴とは?

初期のモンキーに採用(Z50A/Zはリヤのみ)されていたリジッド式サスとは、スプリング、もしくはスプリング&ダンパーで構成されたサスペンションシステムを装着せず、固定式にしたもの(※注1)。なぜサスペンションシステムを採用しなかったのか?

それはコストダウンのため、また低速走行用の“遊び用”“短距離用”として位置づけられていたためだと予測される。ちなみにリジッド式サスはサスペンション型に比べ、直進安定性&コーナリング性能が低い、乗り心地が悪い等のデメリットがある。

※注1:リジッド式のリジッドとは英語でRIGID、日本語訳すると「硬い」「こわばった」などの意味がある。

短い直線の走行タイムを競うドラッグレースマシンには、トラクションを確保するためにあえてリジッド式サスに変更したマシンもある。

→衝撃を吸収するリヤショック

FI仕様モンキーの魅力 →FIモンキー/限定モデル

次モデルの6Vモンキー →6Vモンキー/限定モデル

 


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