OHV49ccエンジン搭載の初代カブ、スーパーカブC100

1958年(昭和33年)8月、ホンダの超ベストセラーモデル、スーパーカブ(C100)が誕生した。レトロなカブの中でも、特に初期型のC100は貴重なモデル。今でもフリークの中では人気の高いスーパーカブC100をクローズアップしてみよう。

■取材協力:ホンダコレクションホール

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レトロな外観が魅力的

時代の変遷とともに、スーパーカブのハンドル回り、ライト回り、レッグシールド、リヤの荷台など、各部のデザインは微妙に変更されてきた。その中でも初期型は「カブの中のカブ」と呼ばれ、正統派フリークの間でも特にリスペクトされ人気が高い。

多くのフリークたちがこだわる初期型カブカスタムのポイント。それは「いかにノーマルの外観を再現できているか」という点。

ただし、発売からすでに半世紀以上を経た初期型カブ。車両はもちろん、旧車ゆえノーマルパーツのストックはメーカーにもなく、入手は困難な状態。ではどう復活させるのか?

ノーマルパーツが入手できなかったハイエンドユーザーたちは、自作パーツや他年式カブ用パーツ、社外のカブ用パーツなどを巧みに使い、初期型カブを再現している場合が多い。

C100をベースにしたカスタムは、速さやカッコ良さを求めるモンキーカスタムとは一線を画した、別カテゴリーであるといえるかもしれない。

まだまだ現役のOHVエンジン

初期型のスーパーカブ、C100のエンジンは、懐かしい横型OHV(オーバー・ヘッド・バルブ)型。OHVエンジンはプッシュロッドという長い棒を介してロッカーアームを動作させ、バルブを開閉させるシステムだ。

OHVエンジンは現行のOHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)エンジンに比べ、高回転域においてバルブ開閉が安定しにくいという特徴を持っているものの、正統派カブフリークには根強い人気を誇っている。

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ところでこの横型OHVエンジン。OHCエンジンのようにカムシャフトを潤滑・冷却させる必要がない等の理由によって、オイルポンプは設けられていなかったのが大きなポイント。

→ OHCエンジンに採用のオイルポンプ

ちなみにこのOHVエンジン。現行のOHCエンジン同様、エンジン各部が非常に頑丈なため、きちんとメンテナンスを行えば、たとえ年式が古くてもまだまだ元気に動いてくれる。

C100のリヤビュー。小さめのウインカーとテールランプでスッキリとした雰囲気。

ノーマルのマフラー部分。エンド部は魚の尾へい(尻尾の部分)のように絞り込まれた薄型のフィッシュテール型。製法はプレス成形された2枚のスチールを溶接した「モナカ合わせ」を採用。

クラッチカバー部。カバーの形状は、現行のFIモデルはもちろん、12V時代とも大きく異なるもの。

シーソー型のチェンジペダルはカブの代名詞。もちろん現行モデルにも採用。6V用アウターローターが収まったジェネレーターカバーも独特の形状。

センタースタンド掛け時に便利な専用ハンドルを装備。

スーパーカブC100の諸元(1958年モデル)

エンジン形式:空冷4スト単気筒OHV49cc/ボア×ストローク:40mm×39mm/最高出力:4.3ps/9500rpm/最大トルク:0.33kgm/8000rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ3段リターン/最高速度:70km/h/タイヤ:前後2.25-17/重量:55kg/価格:5万5000円(発売当時)※1960年の公務員初任給:約1万800円

OHVエンジンとOHCエンジンの違い

現行のスーパーカブに採用のOHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)エンジンは、カムチェーンとカムシャフトを介してロッカーアームを動作させ、吸排気バルブを開閉させる方式。

一方、初代カブに採用のOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)エンジンは、プッシュロッドという長い棒を介してロッカーアームを動作させ、バルブを開閉させる方式。

現況、国内ではほとんどの小排気量モデルにOHCを採用。OHVはアメリカン等の中型車以上に搭載されるのみとなっている。

→ 初代スーパーカブに採用のOHVエンジンの特徴

キャブレターはダウンドラフト式

C100(写真はハンターカブ)のキャブレターは、ショート型インテークを 採用したダウンドラフト式。現在では「スポーツモデル=キャブレターと燃焼室を近づける」という考え方が一般的だが、C100は実用性を重視したモデルながら、取り回しの関係上、ダウンドラフト式が採用されている。

エンジンガードをオプション設定

まだまだ未舗装の道が多かった当時は、エンジン下部に装着するエンジンガードをオプションにて発売。このパーツもC100同様、現在では非常に貴重なアイテムとなっている。

純正の専用パイプハンドルキットもラインアップ

C100には、スポーティーなC100用バーハンドルキットもオプション設定された。写真は同キットを組み込んだ、とても貴重なC100。バーハンドル化は、当時も人気のカスタム術だった。

49ccのカブに54cc用パーツを流用!

1961年には新道路交通法が施行され、原付1種の法定速度が30km/h、原付2種の法定速度が40km/h、加えて原付1種の二人乗りが禁止になった。これに伴い、ボアを40mmから42mm(ストロークは39mmのまま)に広げてタンデムステップを追加した、排気量54ccのC105(5万7000円)とセル付のCD105(6万4000円)がリリースされた。

驚きなのは、当時からすでに49ccのC100に、C105用シリンダー&ピストンを流用して54ccにボアアップ。また、シリンダーを42mmまでボーリングして、スポーツカブC115(54cc)用の42mmハイコンプピストンが流用されていたこと。圧縮比を上げてパワーアップを狙うチューナーも存在したという。

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C100のテールランプ形状

OHCエンジン搭載のC50が登場する1966年まで生産されたC100は、生産年式によってテールランプの形状が微妙に異なるのが特徴だ。

鷲鼻

初期型のC100に採用されたワシの鼻のような形状のテールランプ。

チビ角

鷲鼻からリフレクターを備えたチビ角に変更。当時、ブレーキのストップランプはオプション扱い(ただしリヤブレーキのみに連動)。写真は61年式。

でか角

チビ角よりも出っ張った「でか角」に変更。このタイプは「角」「ピノキオテール」とも呼ばれる。その他、台座の付いた最終型の「おむすび」もあり。

クラッチカバーの形状

C100のクラッチカバーも、年式によって異なる。違いを見てみよう。

二つ星

初期のC100に採用されていたクラッチアジャストナットが2つある通称「二つ星」エンジン。

一つ星

中期以降のC100に採用されたクラッチアジャストナットが1つの通称「一つ星」エンジン。

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